第13話 06 鉄の光弾
ギムが魔法陣に手を伸ばす
魔方陣は揺らめいた
そして呼びかける
「さぁ、準備は整った。出ておいで。」
紫色の魔法陣からゆっくりと人影が現れ始める
「ビエラ。」
淡い緑の光を放ち、両の目を閉じ姿勢よく直立した姿はビエラはまるで人形だった
シルフィーネが目を凝らす
”あれは・・・駄目だ・・・”
ビエラと呼ばれた女性は聖職者の姿をしているが、そこから感じられる気配は・・・
・・・闇・・・いや・・・混沌・・・
どうやってあの魔力を体に乗せることができたのか・・・
シルフィーネにはわからないが・・・・
どうにかしなくては・・・・と思考を巡らせる
シルフィーネは大きく息を吸い込み始める
「それはやめてもらいたいね。」
ギムがその仕草に気付き、シルフィーネに向かって指をパチンと鳴らす
ドン!
とシルフィーネの鳩尾に空気の塊が勢いよく当たり、せっかく吸った息が吐き出される
「・・・がはっ!!」
再び悶絶するシルフィーネ
「・・・あ・・・がっ・・・ごほっ・・・ごほっ・・」
苦しそうにむせかえるシルフィーネにギムが視線を送る
「そんな技をどこで取得してくるのかねぇ・・・」
シルフィーネに感心するギム。彼女が出そうとした技を知っているようだった。
両手を地面につけ悶絶するシルフィーネが今一度ギムに視線を向け力なく左手を伸ばす
「・・・か・・・囲え・・・」
グンと魔力が消えるのがわかる・・・嘔吐感が激しくなるが・・それよりも・・・
シルフィーネの目つきが鋭くなる
「・・・・三点の・・星・・・」
ギムとビエラの周りに三つの光が正三角形の形を現す
「まったく、君は多彩だねぇ・・・」
「!!」
「『還り道』も通る気はないよ。」
そう言うと
「地に在りし印『破魔』」
ギムを中心に灰色の影が円形に広がり三点の光を飲み込み霧散する
「・・・あ・・ぐっ・・・」
言葉が出なかった・・・・
「まったく・・・奈落を滅したかったのかい・・・。」
この魔法を知っているのか、ギムは苦笑しながらそう言った。
ここまで手も足も出ないなんて・・・シルフィーネは伸ばした手を地面につけ項垂れた
「もう終わりでいいかな?」
「・・・はぁ・・・はぁ・・・」
呼吸の荒いシルフィーネは応えれない
「あぁ・・・まだ金色の・・・」
ギムが何か言いかけたが、ボロボロのシルフィーネを一瞥すると
「・・・もう、そんな体力もなさそうだね。」
「ま・・・まだ・・・!!」
ギムの言葉にシルフィーネは反論を返す
そして
「天に在りしは全て星!」
項垂れたまま、吐き出すように強く声を出し詠唱を始める
辺りが暗くなり、一点の光が頭上に現れる
「まったく・・・」
器用だね・・・ギムは呟いた後右手を天にかざし
「大気よ我らを護りし盾となれ」
小さく詠唱をする
シルフィーネも詠唱を止めない
「・・・熱く煌めき!・・眩く瞬き!・・・白光に輝けし!」
暗くなった空に小さく輝いた光はだんだんと轟音を伴って大きくなる。
「来たれ!洛星!!」
荒い息遣いのまま詠唱を唱え切ると、赤く燃え盛る巨大な隕石が強い光と轟音を伴い落下してくる
「凄い気合の入った巨星だねぇ・・・。」
感心するギムには余裕がある
「しかし・・・」
ギムのはるか上空で隕石が何かにぶつかったかのように砕け始め小さくなった破片が辺りに飛び散りはじめる
「想定内だよ。」
赤い光を受けながらシルフィーネに向け薄ら笑みを浮かべる
その時・・・
「はあぁぁぁぁ!」
シルフィーネが俯いたまま声を上げる
「そんなことはわかっていたわ・・・」
その言葉が終わる前に・・・地鳴りのような轟音を上げ、巨大な隕石は縦に大きく割れる
「!!」
その割れた中心に・・・・
まるで楔と化した白熱に焼ける塊が現れ・・・
ガシャーーン!!
ガラスを割るような大きな音と共にギムの作った空気の防壁をこじ開ける
「・・・穿て!!」
そして、ありったけの声を上げた
「鉄の光弾!」
一閃の光が大地に刺さる。
甚大な爆発が辺りを襲う
「あ‘ぐっ!!」
爆風はシルフィーネにも平等に訪れ、彼女は吹き飛ばされシガがそれを受け止めた。
「・・・がはっ・・・」
受け止められた強い衝撃がかかり、唸り声が上がった
ぐったりとした状態でシガに体を預けるシルフィーネ、受け止められた事を認識すると視線の定まらない瞳をシガに向け
「・・・あ・・・ありが・・・と・・・・」
朧気に言葉を出した
「ああ・・・しかし、もう無理はするな。」
シガが静かな口調でシルフィーネに苦言する
「まった・・く・・・・くやしい・・ばかりだ・・わ・・・・」
そのまま崩れ落ち、両膝をついた
爆風が収まり始める
「これで終わりかい?」
爆心から飄々としたギムの声が聞こえる。その姿からは鉄の光弾のダメージは見て取れない
爆風が収まり、シガの目前で力なく両膝をつき俯くシルフィーネを確認すると
「やっと諦めがついたみたいだねぇ。」
二人に向け確認するように言うと
「さあ、君達を遥かなる空間へ招待しよう。」
更にギムが言い放った。
ふと・・・このキャラクターはどうしてここにいるのだろうと思ったりします
今回のタナトスさんのことなんですが、なぜこの人ここに居るんだろうと、書いていて思い始めました
あれ?このキャラクタはここで活躍させるつもりはなかったのですが・・・
悩みは尽きませんが、
私が創作したキャラクターが自由に動いているところを見ると、
例え私の思っている通りに動かなくても嬉しくなることがあります
間違いなくシルフィーネは私の思い通りに動いてくれないのですけれど・・・




