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King of Sords  作者: カピパラ48世
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第11話 06 白き御影の地

筋肉質の大柄な男が目の前にいるオーガを切り倒す

「これで最後だな。」

振り返りニカッとした笑みを仲間の二人に見せる

「ふぅ・・・そうね・・・探知してるけど、もういないみたい」

大きめの白いシャツに青いベスト、青と白が基調のゆったりとした長いスカートを着た女性が息をつきながら言う

「リルが言うのなら、この辺りにはもう敵はいないのだろうなぁ・・・」

茶色のローブに身を包んだ男が少々しゃがれた声で確認するように言う

「じゃあ、とりあえず飯でも食うかねぇ。」

筋肉質の男がニカッとした笑みを見せ二人に言う

「ザグ・・・お前の食欲は果てしないのう・・・」

「そうか?まだ今日は4食目だぞ!」

あっけらかんと答えを返す

「そういうミドは食が細いじゃないか!体調でも悪いのか?」

茶色いローブの男・・・ミドは皴の多い顔に情けない表情を浮かべ

「わしゃ、お前の消化器官の方が心配じゃ・・・」

諦め気味にそう言った。

リルはそんな二人のやり取りをクスクス笑いながら見ていた

もうすぐ訪れる冬の風が辺りを過ぎて行った



焚火を囲んだ3人はくつろいでいた

「リルもそろそろ旅は辛くなってきたなぁ。」

ザグがリルを心配して口を開く

「この子はおとなしいから、何とか良かったけれど・・・そうね・・・そろそろ落ち着いた場所を見つけなければいけないわね・・・」

少々重そうなお腹を抱えながら座るリルは息をつきそう答える。

「そうじゃのう・・・この子が産れた後も落ち着けるところが良いのう・・・。」

ミドが火に薪をくべながらそう言う

リルは身重だった。父親はザグである。

「全く・・・計画性のない親を持つと子は苦労するのう・・・。」

ミドは冗談交じりにそう言いながら、フォッフォッフォッと老人らしく笑った


夜が明け3人が旅を続けていると

不穏な騒ぎの気配がした。

「おい、あれ」

ザグが声を出しながら指をさす

「おお・・・なんじゃ!」

指さす方向で魔物と人間が小競り合いをしていた



イオという村がある

それは岩肌に囲まれた隔壁された村

50人ほどの人口のその村は魔物の襲撃が多く、何とか自営団でそれを防いできた

「・・・レムがやられた・・・」

村人が暗い表情で呟く

レムとは村一番の強者だった・・・

最近は魔物の襲撃が増え、自営団も疲弊を隠せなかった。

そこに自営団を纏めていたレムが前回の討伐で深手を負い今は戦いに出せる状態ではない

次に魔物が襲ってきたときには追い払える保証が全く無くなってしまったのだ。

「村を捨てるか・・・?」

「村を出てどこへ行けばいいんだ!」

「しかし、次の魔物の襲来には耐えれないぞ!」

「負傷したもの、老人や子供が移動に耐えれるのか?」

「助けは頼むことはできないのかしら?」

「一体どこへ助けを求めれるというのだ!」

短い間にいろいろな言葉が飛び交う


何も結論が出ぬまま数日が経過した


その時が来てしまった・・・

魔物が襲来してきたのだ

オーガ1匹とゴブリンの集団が村へ食料を求めて襲ってきた

自営団は何とか食い止めるも、押され気味だ

何人か怪我を負うもまだ死者は出ていない

そんな時ザグ達がその戦場に駆けつける

「どうするんじゃい」

ミドの言葉にザグは「決まってる!」と応えると

「人を助ける!!」

そういうと、まずゴブリンを1匹倒す

「全く、お前と一緒だと忙しいのう!」

ミドはとりあえず愚痴をこぼすと

「風よ吹け悪しき者らを排他せよ!ウィンドシールド!」

魔物と村の自営団の間に風による壁が出来る

「な、なんだ!!」

自営団が戸惑っている間にゴブリンの集団に駆け寄るザグ

「うぉーりゃ!!」

激しい掛け声と共にザグが大剣を振りかざしてゴブリンを薙ぎ倒す

「そこのアンタ!無理なら下がって集落を守れ1」

ザグが動きに戸惑いのある男に言う

「し・・・しかし・・・」

「前衛は任せろ!ここで死ぬと人が減るぞ!」

ザグが一撃でゴブリンを倒す。

「そうですわ。私も一緒にお守りいたしますので、前衛は彼らにお任せくださいな。」

リルが負傷者や戦場での圧に押されている者たちに声をかける

「村人を守れ!戦いは彼らに任せろ!」

村人は前衛をザグに任す決断をしたようだ。とりあえず村の入口に集結する。

それを確認したところでリルの姿がゆらりと揺れ消える。

幻影のみをそこに映していたのだ。

「ここでの私のお仕事は終わったかしら」

身重なのでゆっくりと歩くリルは澄ました顔でそう言った。

「まったく!二人とも足が速いんだから」

軽く愚痴を呟きながら村の方向へと進んでいく

「ちょっと遠いわね・・・」

愚痴は続いている・・・


新たに陣形が決まったことで纏まりが出た

ザグとミドをすり抜けてきたゴブリンを村人が力を合わせて追い払う。

ザグは何体かゴブリンを倒すとオークの前に立った


幾時間が過ぎると、倒れたオークの前に剣を持ち堂々と立つザグの姿があった

生き残ったゴブリン達は、オークが負けた事を悟ると散り々に逃げて行き村人は安堵した。

ザグはそのまま振り返り辺りを見回す。村人に死者はいないようだ

「全く・・・間に合ってよかったぜ」

助けに来たのに助けられない者がいては目覚めが悪い。ザグがニタリと笑うと

「ミド、あとは適当に・・・俺はリルを迎えに行く!」

そう言って来た道を戻って行く。

「全く忙しい奴じゃな・・・」

ミドは呟いた・



「村にいて欲しい・・・」

オークとゴブリンから村を救った英雄に村人は事の顛末、今の村の状況などを説明し、最後にそう頼み込んだ

ザグは一度怪訝な顔をする

通りがかりに見つけただけといっても村の危機を救ったものではあるが、どうしたものか・・・

確かにいろいろと世界を回りたくて始めた旅で、強い目的があるわけではない

それに・・・ザグは身重のリルを見た。

「ちょっと3人で話をしてもいいか?」

そう言うとミドとリルに顔を向ける

「・・・儂は相談するまでもなく意見は決まっておるぞ!」

ミドはザグがこちらを見るや、リルの腹を一瞥しそう答える

「私は、どこでも頑張れるわ。」

リルからはさりげなく「任せたわ」との同義語を投げられる

「・・まぁ、想像通りで解りやすい返答だな・・・」

3人は暫くの間村に残り、今後魔物が襲ってきたときに力を貸すということを了承する。

また、リルの出産の事、その子育ての事を理解してもらうこととした。

冬が近くまで訪れていた。


厳しい寒さが村を襲う

冬の到来である

ザグ達が滞在してもう2か月になる

ここに滞在するきっかけとなったレムという村人も、まだ魔物討伐に赴くには無理だがかなり回復している。

また、先日リルは珠のような黒髪の男の子を出産し、アルと名付けられた。

村人もリルの育児を手伝ってくれる。

ザグ、リル、ミドの3人は村へと打ち解けていた。


冬とはいえ魔物はよく襲って来る、彼等も食料がないのだろう

狼など体力の蓄えれない・・・いわゆる冬眠のできない種族が多いのだが・・・

冬の魔物は素早い動きをするものが多い

今日も小さなスノーウルフを追いやったザグは、倒した2体のスノーウルフを背負いながら村の入り口に立つ

入口以外は切り立った崖という地形、しかも太陽は崖の方にあり、冬の間は朝日から少しと日の入り前の時しか見えない。

ザグはこの村へ来た時のことを思い返していた


「住むには偉く不便な土地だな・・・」

ザグは村人にそう言った

「ああ・・そうだな・・・」

傍らにいる短い白髪で細身の男、セムが答える

「しかしまぁ、どこかへ行けるわけでもなく、ここに住むしかないと我々は思っている・・・」

少々諦め気味の口調で今の解釈がされた

「なるほど・・・」

相槌をうち、再度視線を正面に向ける

入口から見て真正面を中心にまるで左右対称な景色を眺め

「まるで作られた風景だな・・・」

ザグは思ったことをそのまま口にした

「はは・・・そうかもな、もしかしたら我々の祖先が何かしら手を加えたのかもしれん・・・」

セムは笑いながらそう答え、崖の頂点を指さした

「天秤なんだそうだ・・・」

「・・・ん・・・?」

ザグは指さされた崖を見た。

真正面に一番高い崖があり、左右対称に低くなっている、その形は瓢箪の上部を間延びしたような形だ

左右共そのあとに同じ高さの低い崖が連なる

「夜の闇を溜めた左の天秤皿は、その重さで朝日を右の天秤皿で持ち上げるのだそうだ・・・」

ザグは日の出の見える左側を見る、そこは同じ高さの崖が連なり、この村からは此処から太陽が昇る。

そして、反対側、夕暮れ時に太陽が沈む方向を見る。

「そして紅き夕暮れの陽は、同じくその陽の重さで夜の闇を持ち上げる」

村の入口から毎日太陽の沈んでいく場所を眺め左右対称の景色を確認する

なるほど、天秤の皿とはよく言ったものだ。

しかし・・・

「なんだ・・・その話は・・・?」

思わず聞き返えす。するとセムが苦笑いをする

「言い伝えだよ・・・この村を設立した者達の・・・」

「言い伝え・・・?」

ザグはまた聞き返す

「そう、我らが先祖は女神を称えていてね・・・『白き御影』と云うらしいんだ」


曰く、ここはシャーマンの血筋の一族であり、かつての先祖は魔法も駆使できるものもいたらしく

その力の源に『精霊王』という光と闇の二人の女神が存在したという。

途轍もなく偉大な二人、金色の光を放つ光の精霊王、漆黒の闇を放つ闇の精霊王・・・

そして・・・その強大な力を持つ二人を取り持つもう一人の女神がいたというのだ

それは・・・平等を司る白き女神、

光と闇は常に世界にある

我々は光を追い求めるが、闇が無くては生きられない。

光と闇を平等に保つ神・・・それが・・・


「天秤・・・白き御影・・・か・・・・」

ザグはなんとなくその話を思い返し、2体のスノーウルフを背負いながら、眼前に見える崖に視線を合わせる


崖の上には冬の晴天が広がっていた。

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