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episode.1 Awakening.

連載中の小説に行き詰まった時、息抜きにとちまちま書き始めた作品です。


楽しんで頂けたら嬉しいです。


わたくしの名はシャーロット・ヴァロワ。

セスティア王国のヴァロワ侯爵家の長女として生まれた。


そんな生まれのわたくしには、前世の記憶があった。

『日本』という国で『コールセンター』で働いていて、『クレーム対応でのストレスで過労死』…それがわたくしの前世。


それを思い出したのは、なんとわたくしが生まれておよそ1日後。

最初に思ったのは「うっわ、異世界転生しちまったよ」だった。

なんせ眠りから覚めた乳児であるわたくしの目の前に、漫画とかアニメなんかで見るような、『The貴族令嬢』と『The貴族令嬢と一緒に出てくる婚約者とか夫っぽい男性』と『メイド服らしき服装の、多分侍女』がいて、少し向こうに『絶対名前はセバスチャンだ!という感じのモノクルをかけた執事』がいたから。

ちなみにその直後、今の自分の姿が赤子という事に気付き、「まさかの乳児から!?」と叫びたい気分にかられた。


混乱したわたくしは『いや、地球の外国の…例えばイギリスとかの王室の子供に転生したのかも』とかも考えたのだけれど、言葉も違うし、どこかの国の王室の子供が生まれそう!みたいなニュースも見覚えがなかったし。

そしてなにより、この世界には『魔法』があったから。



目覚めた当初は『うひょー!異世界転生上がるわー!』とか喜んでいたけれど、段々と、暇すぎて色々考えてしまい、不安になってきた。

普通に考えて、こんな産まれたての赤子の時からハッキリとした自我があるとか、ありえない。

それに異世界転生ものって、殆どがなんていうか…『17歳くらいで婚約破棄された衝撃で』とか『学院で浮気してる馬鹿な王子に、〇〇をいじめただろう!とか言われて噴水に突き落とされた衝撃で』とか、『幼少期に高熱を出して3日寝込んで』とかのきっかけで前世を思い出すじゃない?

なのにわたしが覚醒したのは、生まれた翌日。

まさに、生まれたてホヤホヤだったのよ。

喋ろうにも、まだ声帯とかの器官が発達していないのか言葉が発音できないし、そもそも言語がわからないから会話を聞いても意味不明で、意思疎通もはかれない。

体はやっぱり赤子だからか、ひたすら怠いというか眠くなるし、ミルクも味がなくて不味いし。

とにかく暇!もう、ホントに暇すぎて辛かった。


そんなこんなで、暇つぶしの様にひたすら眠り、なんとか暇死せずに半年を迎えた。

後に、泣きもせずひたすら寝る子で、産まれた時に産声を上げた以来、2歳まで1度も泣かなかったと言われ、思い当たるフシがありすぎたこの頃の自分に、何してんだよ、とちょっと引いた。

赤子は泣いてナンボでしょうに…。


その頃には衝撃の覚醒時に見た『The貴族令嬢』と思った人はわたしの母で、『The貴族令嬢と一緒に出てくる婚約者とか夫っぽい男性』は父で、侍女っぽいのは侍女で、執事は執事だった事が判明した。

ちなみに執事の名前はまだ不明。

異世界恋愛モノなんかでもたまに見たけど、貴族は子育ては乳母任せという知識の通り、乳母がついた。

それでもうちの両親は、二人連れ添ってよくわたしに会いに来た。

母が産後のはずなのに普通に動いている事に衝撃を受けたけれど、魔法があるから治癒魔法とかなのかな?と自己完結した。

だって、誰にも聞けないし。

そんな母はプラチナブロンドに紫の瞳の、可愛げも色気もある小悪魔的というか…とにかく超美人。

父はグレーの髪に藍色の瞳の、一見冷たそうな色合いなのに、朗らかに笑うためか、優しげなめちゃくそイケメン。

『政略結婚で子供が出来たらさあ愛人の元へ!』みたいな親じゃなさそうで少し安心した。


そしてわたしには兄がいた。

シャーロットご生誕!の時は居たらしいんだけど、産まれたのが夜中だったらしくて、翌日わたしが目覚めた時、兄は夢の中だったらしい。

そんな兄も、ちょくちょくわたしの所に来ては、ほっぺたをつんつんしてみたり、話しかけてくれたりして、最後にはいつも嬉しそうに笑って去っていく。

でもごめん、何言ってるかわからないのよ、お兄様。

兄は父をそのまま小さくしたような、将来間違いなくイケメンになる容姿だった。

現段階でだけれど『は?妹?ウザイ、興味無い』みたいな兄じゃなくてほっとした。


シャーロット6ヶ月。

わたしは言葉を理解し始めた。

名前がシャーロットであることは、呼びかけられる回数で把握してて、母の名前は父がよく呼ぶシャーナで、兄の名前は両親が呼ぶから、アンリだと把握。

父の名前だけは母も他の人も普段は呼ばないのか、なかなかわからなかったけど、両親の友人とやらが来た時に、ようやくローレンスだとわかった。

ちなみに執事はセバスチャンじゃなくてシリウスだった。

なにそのかっこいい名前。



シャーロット7ヶ月。

日常会話を把握出来るまでになってきたわたしは、意を決して話しかけてみた。


「お、かあたま」


うん、舌が回らないわ。

それに上手く声が出ない。まだ声帯が不完全なのかしら?

赤子、不便だわ。

しかし母は涙まで流して狂喜乱舞。

父が「お父様って呼んで!!」と連呼するので、しかたなく「おとうたま」と舌っ足らずな口で言えば、母以上に狂喜乱舞した。

まぁ、いい両親だと思う。

ちなみにその日、兄にも「お兄様って呼んで!」と言われ、「おにいたま」と呼んだら両親と同じ反応だった。

とても親子だった。


シャーロット8ヶ月。

ベビーベッドに居ることにいい加減飽きたわたしは、ベッドの上で徐に立ち上がった。

その瞬間を見ていた乳母は、目ん玉落としそうになりながら立ち上がり「旦那様!奥様!」と、叫びながら部屋を飛び出して行った。

いや、ベッドで立ち上がったわたしを置き去りにするのはマズイのでは?

勝手に立ち上がったのはわたしだけれども。

2分もたたないうちに、両親と乳母が部屋に転がり込んできた。

その時わたしは座っていた。

赤子の足で立つのは思いのほか疲れたので。

しかし「見逃した」と項垂れる両親の顔を見て、仕方なくすくっと立ち上がるわたし。


「立った!立ったぞ!シャーロットが立った!」


「ええ!ええ!あなた!まだ1歳にもなっていないのに!凄いわシャーロット!」


お父様、それ、ク○ラが立った!ってやつ…思わず吹き出したわたし。

吹き出したと言っても、赤子の可愛らしい声よ。

キャッキャ!みたいな。

なんでかしらね?

まぁ、赤子が「ぶふっ」とか吹き出し笑いしたら、それはそれで引くけど。

わたしは前世でも出産経験はない…というか独身貫いてたので、赤子がいくつで喋って、いくつで立つとかよく知らない。

年の離れた兄はいたけど疎遠で、初めて兄の子供に会った時、甥っ子はすでに7歳だったし。

多分話すのも歩くのも1歳前後?くらいの知識だ。

それがこの世界でも当てはまるのかはわからないけれど、お母様の言葉を聞く限り、少し早すぎたらしい。

でも。だって。暇なんだもの。


そういえばこの頃、初めて鏡で自分を見て、あまりの可憐さにドン引きしたわ。

まだ短い髪はゆるふわで、色は明るめのプラチナアッシュ。

肌は美白化粧品のCMに出れる程透き通る白さ。

そしてトドメにくりくりの紫の瞳。

なにこれ、世界が違うとはいえ、本当に同じ人間?

実は人間ではなくて、美形揃いなイメージしかないエルフとか?

いや、耳が尖ってないから違うわね。

でもなにか…人間以外の違う種族だったり…?って何度も鏡に向かって首を傾げたものよ。


シャーロット1歳。

誕生日を盛大に祝われた。

あれだ、貴族のパーティー。

その時に我が家の苗字がヴァロワである事と、爵位が侯爵ということを知った。

わたしの感想としては「やった!公爵とかだと立場面倒らしいし、伯爵だと実は貧乏とかよくあるから侯爵なら安泰だわ!」だった。

パーティーの規模や、邸の調度品なんかを見る限り、見栄を張っている様子もなければ、貧乏でもなさそう…どちらかというと、多分お金はある方だと思う。

理由も知識も、前世で読んだ小説やら漫画やらの偏った知識で安易だけれど、生活は大事よ。


シャーロット1歳と半年。

両親から本をもらった。

すでにスラスラと喋る子だったわたしは「神童かも」と言われ出した。

そのせいか、両親が試しにとわたしに児童書をくれたのだ。

喋りは覚えたが、文字はまだ知らなかったので、乳母に聞きながら勉強してみた。

どうやら地球のアルファベットのような感じらしく、そこまで大変ではなかったため、すぐに覚えた。

それでさらに「やっぱり神童かも!」と、少し両親が焦り出した。

コールセンターで外国人の相手もしていたので、言語を覚えるのは得意だっただけなのだけど、なぜ両親が焦るのかは謎だった。


タイトルは仮なので、後々変えるかも。

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