41/160
秋の小詩二編
「秋のともし火」
秋のともし火
たとえば
妖精のランタンのような
明るい赤の小さな花
草木につるがすらすらと伸びて
あちらこちらに
小さなともし火
秋のともし火
たとえば
桜の葉
黄色や赤に色づいて
いつもはそっけない地面が
カラフルになって
そんな 小さなともし火
「秋の鳥」
遠くで鳥が鳴いている
澄んだ秋の空に
声がどこまでも響いていく
電線には、どこから飛来したのか
たくさんの鳥
この季節に姿をよく見かける
夏にはいなかったから
きっと彼らは渡り鳥
でも、その名を知らない
高いところにいるから
姿かたちがよく見えない
ギャッギャッという
あまり可愛くない声
大きさは、すずめよりも一回りでかい
秋の鳥よ、君たちの名は何と言う?




