1.勇者アルク
俺の名はアルク。
ついこの前に神託が下りて勇者になった。
平民だから、剣の稽古もしたことがない。
こんな俺に勇者なんて出来るのか?
ま、何とかなるだろう。
それよりパーティと言えば、ハーレムパーティだよな。
男の夢だ。
せっかくパーティを組むなら、かわいい子や綺麗な子と組みたいよな。
毎日顔を見る仲間がかわいい方が、やる気も出て、いいじゃないか。
それくらい役得がないとやってられないよ。
まず最初に神殿に行って、パーティを組む神官と顔合わせをする。
勇者には、仲間を指名する権利があるという。
「おっさんは、ヤダ。......おっさんはヤダ。......おっさんはヤダ!」
呪文のようにブツブツ言っていると、聖女様をはじめ、何人かの神官が見えた。
もう聖女様で決まりでしょ!!
聖女様は、なんというか、清楚で、めちゃくちゃ綺麗な人だった。
「聖女様でお願いします!」
聖女様の眉がぴくっと動いたように見えた。
......気のせいかな。
「よろしくお願いしますね。勇者アルク。
聖女のイレーナです。」
とにっこり笑って挨拶された。
笑顔が素敵だ。
天にも昇る気持ちってこういうのを言うのかな。
そのあと、聖女様と一緒に魔術師団へ向かった。
今度は、魔術師のメンバー選びだ。
今度も男じゃないようにと祈ってみた。
聖女様も隣にいるし、祈りが届いたのかもしれない。
ものすごく妖艶でナイスボディのお姉さまがいた。
「この人がいいです!」
「まだ魔法の腕前も見ていないのに、決めてしまってよいのですか?」
「勇者の勘です!ビビッときました。彼女しかいません!」
ナイスボディのお姉さまは、肩をすくめた。
「神殿から勇者の要請は、できれば断らないでほしいと言われていてね。」
やったー!結構勇者の希望って通るんだなー。
「よろしくね。私は、魔術師のウルスラ。そこそこ使えると思うよ。
弓士が必要なら、知り合いにちょうどいいのがいるんだけど。
本人が嫌と言わなければ。」
「どんな人ですか?」
聖女様が尋ねた。
俺も気になる。
特に性別が。
「エルフでね、エリスっていうんだ。
私の友人で、なかなかの腕前の弓士だよ。
経験も豊富だと思う。」
エルフにブスはいない!
決定!!
「一応どんな方か、お会いしてみましょう。」
「そうだね。相性もあるしね。」
三人で、エリスがよくいるという冒険者ギルドに向かう。
どんな美人か、楽しみだなー!
予想通り超美人だった。
しなやかな体、スタイルがものすごくいい。
「久しぶり、ウルスラ。勇者パーティ?
ウルスラの紹介なら、参加してもいいよ。」
あっさり決まった。
ここまでは順調だ。
ハーレムパーティまであと一歩。
次は、剣士だ。
これが問題だ。
まず女性剣士が少ない。
そのうえ、筋肉ムキムキ系が多い。
俺は、癒しが欲しいんだー!!
おっさんみたいなムキムキに、癒しはない!
かすかな期待とともに、騎士団に向かった。
どうか、ムキムキだけは、勘弁してくれ。
騎士団の騎士たちを見渡す。
ごつい。どいつもこいつもごつい。
ムキムキは、いらないんだっ!!
はぁ~、俺の夢、終わった......
あれ?待てよ。
あれは......
神様、ありがとう!!
なんと、ボーイッシュだけど十分かわいい騎士がいた!!
早速勧誘してパーティに入ってもらおう。
「私が勇者パーティにですか?」
「ぜひ、あなたに入ってほしい!」
「わかりました。よろしくお願いします。
私は、オリビエといいます。」
短い挨拶だったが、真面目そうな騎士だった。
俺の夢がかなえられていく......
ものすごく幸せだ。
このときは、自分が世界一幸運な勇者だと思っていた。




