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行方不明

 出来上がった塩を見せたら、ミーニャは喜んでくれるかな?

 なんとか日没前に頂上に戻れた。

 日は殆ど沈みかけている。

 はる彼方かなたの水平線の上に頭をわずかにのぞかせているだけ。

 もう少し頂上に戻るのが遅れていたら、照明を持っていないので大変なことになるとこだった。

 まあ、そうなってもスライムさんの謎パワーでどうにかなった気もする。


 ミーニャはどうしてるんだろうな?

 麦の脱穀を頼んでおいたけど、終わってるかな?

 でも、あれだけの量だからさすがに終わってないかな?

 僕はミーニャたちに会いに食糧倉庫に向かった。


 食糧倉庫の中には脱穀途中の麦を残して誰もいなかった。

 僕の寝床のダンジョンも探してみたけど、そこにもいなかった。

 どうなってるんだ?

 嫌な予感がする。

 

 もしや、二人でダンジョンにもぐった?

 いや、そんな無茶はしないだろう。

 ユグも、ミーニャも戦闘能力はない。

 ダンジョンに潜るわけがない。


 じゃあ、さらわれた?

 でも誰に?

 僕らは海岸から登って来たんだから、外部からの侵入者は居ないだろう。

 でも、この島にはダンジョンの入り口が三つある。

 一つは寝床にしかならない、完全無害なダンジョン。

 でも、残り二つのダンジョンが変質して、モンスターが現れて二人をさらっていった。

 その可能性は十分にある。

 僕の頭を変な汗が流れた。


 その時、スライムさんが叫んだ!


「ぴきー!(あれなに?)」


 スライムさんが指し示す先を見てみた。

 ユグドラシルだ。

 なぜかぼんやりと光っている。


「なんだろう?」


 僕はミーニャたちのことを忘れ、大樹の元へと向かう。

 すると、ミーニャとユグが居た。


「こんなとこに居たのか。心配したぞ」

「ごめんなさい」

「ごめんなさいなのです」


 ミーニャは僕にぺこりと頭を下げた。


「ユグドラシルにお水をあげていたら、突然光り出したんです」


 みると、遥か頭上のユグドラシルの葉が光り輝いていた。


 それにしても、この樹。

 昼間見た時と比べて、さらに大きくなってるな。

 もう、僕とミーニャとユグが手をつないでも、幹を一周取り囲むのには全く足りないぐらい太くなってる。

 どうなってるんだ?


「お水をたくさんあげたので、成長して成木になったのです」


 あー、聖木だから魔力のこもった聖水をやればやるほど、木が大きくなるんだったな。

 それにしても、ものすごい成長速度だな。

 そんな事を考えていると、ユグが僕のそでをつんつん引っ張った。


「始まるのです」


 始まるって、何が始まるんだろう?

 すると、木の上から光るものがふわふわ降って来る。


「これは?」

「聖木からのギフトなのです」


 なんでも、聖木が成木になると、ギフトと呼ばれる実が綿毛を付けて地上に降るそうだ。

 その実の中には、さまざまな贈り物(ギフト)が入っているそうだ。


「これで、砂糖とイーストが手に入るのです」

「あー。ユグドラシルから砂糖が手に入るって言ってたのは、こういう事だったんだな」


 なるほどねー。

 聖木すごいな!


「砂糖以外にも入ってるの?」

「それはもう、いろいろ入ってるのです」

「ほほー」

「素材に、種に、調味料。それだけじゃなく、ごく稀なんですが武器に、道具に、宝珠まで入っているのです」

「宝珠?」

「使うだけで魔法を覚えられる物なのです」

「そりゃすごいな。ユグ、よくやった!」

「えへへ」


 ユグの頭をなででやる。

 照れるユグ。


「お父さんとお母さんの為に頑張りました」


 そういえば泣き顔になって、頭の双葉を引っこ抜いてたな。

 うんうん、ユグ頑張った。


 宝珠か。

 それが出れば、僕も魔法を使えるようになるのかな?

 攻撃魔法なんかよりも、病気を治せる回復魔法とか、暗くなったら明かりが灯せる魔法とかもいいな。

 ちょっと期待。


 ただ一つ、ユグに大きな誤算があった。

 ここは強風の吹き荒れる孤島の頂上だ。

 しかも防風林の外。


 ぴゅー!


 強風にあおられたギフトはみんなどっかに飛んで行った。


「あっ!」

「飛んで行っちゃったのです」

「あらら」


 おいおい、冗談だろ?

 茫然ぼうぜんとする僕らを横目に、ギフトの実は海の彼方へと飛んで行ってしまった。

 ギフトが海に……。


 *


 かみさまポイント

 ――――――――――

 繰り越し 120ポイント

 ―――――

 支出

 なし

 ―――――

 収入

 なし

 ――――――――――

 合計 120ポイント

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