水浴び
肩を寄せ合って座っているミーニャが、僕から顔を背けている。
どうしたんだろう?
もしかして、パンのことで嫌われたんだろうか?
それはちょっと……。
あれはやり過ぎた。
もう、からかうのは止めよう。
「ミーニャ、ごめん」
僕の謝罪の言葉を聞いたミーニャがきょとんとする。
「えっ? なんで、ジーンさまが謝るのですか?」
「僕のことを嫌って、顔を背けてるんじゃないの?」
「ジーンさまを嫌うわけが、ないですよ」
そうなのか?
じゃあ、さっきの態度はなんだったんだ?
「じゃあ、なんで僕から顔を背けたんだ?」
「それは……」
再び、僕から顔を背ける。
そして、小声でボソッと呟いた。
「わ、わたしの身体が汗臭いので……」
「あー、風呂に入ってないもんな」
「ううう……」
確かに意識して嗅ぐと少し汗臭いのが伝わってくる。
女の子だったら恥ずかしがるのも、わからなくもない。
「ごめんなさい。奴隷になってから一度もお風呂に入ってないんです」
「そっか。じゃあ、水浴びするか」
ミーニャの表情がパッと明るくなった。
「奴隷なのに、水浴びしていいのですか?」
「前にも言ったろ? もうミーニャは奴隷じゃない。ミーニャだ」
「ご主人様!」
顔を赤らめて、ぎゅっと僕のことを抱きしめてくる。
女の子に抱きしめられると、うれしい。
けれど、すごく恥ずかしい。
顔の火照りを誤魔化すために、僕は言う。
「ご主人様は止めろと言ったろ?」
「そうでした。それに、ジーンさまに抱きつくなんて、はしたないことをしてすいません」
ミーニャは身を正すと、僕に抱きつくのを止めてしまった。
もうちょっと、抱きしめてくれてもよかったのに。
*
僕はミーニャに、ろ過布と乳鉢を渡す。
草汁絞りに使ったものだけど、ちゃんと洗ってあるのでネギ臭さはもうない。
「身体を洗うのにこれを使ってね」
僕が、布と乳鉢を渡すと、ミーニャは喜んで受け取ってくれた。
ミーニャは遠慮がちに言葉を口にする。
「飲み水に使っている泉ですが、服を水洗いして構いませんか?」
「洗うことは構わない。でも、風が強いから着替えが用意できるまで服を洗ったらダメだ。風邪をひいたらどうするんだよ?」
「でも、臭いから……」
確かにミーニャの着ている服は大きな布切れ一枚を羽織っただけ。
しかも、ずっと洗っていないのかかなり汚れている。
ミーニャが洗いたいという気持ちもわかる。
「僕がなんとかするから、今日はそのまま着てくれよ」
「わかりました」
僕は泉から背を向けて座る。
背後から、衣擦れの音がして、水音も聞こえてくる。
たぶん、全裸だ。
きっと、ミーニャのことだから、きれいな身体をしているんだろうな。
見たいなー。
だが、見ない!
ここで覗きなんてしたら、僕の男としての株が下がる。
見たい気持ちを抑えて、僕はやることをする。
全身全霊のお祈りだ!
童女に頼るしかない!
シナトベさま、お願いします!
あなたしか頼れる人はおりません!
顔面を地につけて祈った。
かみさまポイント
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繰り越し 50ポイント
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なし
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合計50ポイント




