仕事って嫌な事でもやらなきゃいけないのが辛いわ
「パートナーって人間じゃなくてもいいんだな。」
「失敬な!ジェシカは人間なんかと比べるまでもない高位の存在です!
人間に勤まってジェシカに出来ない訳がありません!」
「あんたのとこに来た天使は何て言ってたんだ?」
「天使ですか?そうですね……」
『すいませ~ん!』
「だ、誰ですか!?しかもなんですか、そのコスプレは!!」
『男なのに女性用スクール水着を着てる人に言われたくないです。しかも白スク。』
「これは我が家の正装なのです!」
『……あっそ。そんなとこはともかく、かくかくしかじかという訳でですね、
あなたにも戦いに参加してもらおうかと。』
白スク男が考える。
「どんな願いも一つだけ叶えられる……ですか。わかりました、参加しましょう。」
『ありがとうございます。早速ですが、あなたのパートナーとなりそうな方を
連れてきていただきたいのですが。』
「冗談がお上手ですね、さっきからそこにいるじゃないですか。」
白スク男が指をさした先にいたのは、
『……人形?これがどうかしましたか?』
「ですから、パートナーです。」
『……人形?これがどうかしましたか?』
「さっきと一字一句変わってませんよ?」
『いやいやいやいや、これはちょっと無理じゃないですかね!?だって生きてないし!』
「何て事を!ジェシカはこの世に生まれし崇高なる存在!
生きてる生きてないなど問題になるわけないじゃないですか!」
その後、五時間ほど経って、
『わかった、わかりました……疲れたからもういいです……』
「疲れたからもういいとは『すいませんでしたぁ!ジェシカ様は凄いです!
お綺麗です!唯一神です!これでいいですか!?』まぁ、わかればいいでしょう。」
そうして適当に儀式を済ませた後に天使は帰って行った。
「という感じでしたかね。」
ちょっとだけ同情するわ。だが天使が唯一神とか言っていいもんか?
「そしてワタシは素晴らしい能力を手に入れたのです!!」
そう言うとジェシカが……ジェシカが……
「「ジェシカが立ったぁ!?」」
「そうです!ワタシの能力、それはジェシカを動かす事の出来るの・う・りょ・く!!
素晴らし過ぎる!!」
しかし、ジェシカはゴム製。火で燃えるはず。
「でぇりゃ!」
「甘いですよ!」
思いっきり腕を振るっただけで火の玉が消えた。
「嘘だろ~……」
「ワタシが能力で動かしているときはジェシカの強度もアップするのです!
たかが火、しかも……ブフゥ、そんなしょぼい火の玉でやられる訳が
ないじゃないですか!ダァーハッハッハ!」
あのオヤジ、ぜってぇぶん殴る!!
今度はジェシカの方から攻撃を仕掛けてきた。が、
「うぉっと!」
「こら、避けるんじゃありません!」
「避けるわ!」
思った以上にジェシカが強い。前に出会ったショタ女よりはマシくらいだが、
自分も能力を全力で使えるわけじゃないので、このままだと押し負ける。
「葵!一旦逃げるぞ!」
「え!?」
俺は葵を抱えて庭から逃げ出した。今の内に作戦を考えておかないと。




