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2話 謎の訪問者2

「何処って……そこの魔の森だけど?あそこがこの辺りでは唯一の豊富な魂魄狩場なんだから」

「…え、え・・・ええええーーー!!?」


 コルンの言葉にそう叫び声を上げたセシルは、確認の意味でコルンが正気かを尋ねる。


「あ、あのさ?それ本当に言ってるの?」

「?本当だけど?何そんなに驚いてるの?…あ、危険だとか!?」

「う、うん…」


 コルンの質問にセシルは頷く。

 しかし、その返答にコルンは笑顔で心配のない事を伝える。


「大丈夫。確かに子供二人では危険だけど、せんせーの護衛として仕えてるこの二人が居るから、安心だよ?ソフィアさんとナギさんはそこいらの騎士団の人達より余程強いから。…ねえ?ソフィアさん?」

「ふふふ…、コルン様の言う通りですよ?お嬢さん?私はご存知かどうかは知りませんが4制(属性ではなくカテゴリー別に4つに制御する物)魔法という魔法を上級で扱えますし、こちらのナギも我が国では魔法騎士団の団長だった程に腕は立ちます。先ほどコルン様が言ったように、あそこの森位の魔物なら護衛序に魂狩をしても十分に役目を果たせるでしょう。安心してください。それに、お嬢さんの武器としても使って貰えますし、その際に私の使える魔法も多少は頭に入ってくる筈です。しかも己の魔力は一切使わずに。守護獣化とはそう言う物です」

「その通りだ。私と姫様が居れば何も恐れる物など無い。大船に乗ったつもりでいろ。」


 コルンに言葉を肯定する様に二人がそれぞれセシルに向かって声を掛ける。

 その三人の話を聞いて、少しは安心したのか、セシルも先ほどのこわばった顔から、少しだけだが綻んだ顔になった。

 そして、二人に向かって腰から丁寧に頭を下げてお願いする。


「分かりました。護衛よろしくお願いします!」

「あはは、そんなに畏まらなくても良いよ?「コルン様?それは私達のセリフでは?」…まあ、いいじゃない。それに、本来なら僕が練習に使い過ぎた物だから、僕とナギさんだけの筈だったんだから。それが偶然とはいえ、ソフィアさん迄使わせてくれるんだから、君には感謝してる位だよ。…っと、僕はコルン。君は?」

「…ああ、カイルさんには言ったけど、コルン君にはまだだったね。僕はセシル。よろしくね?」

「うん。こちらこそ!」


 そう言ってお互い笑い合って出発の準備をすることになった。


「さあて、今から行くんだけど、魂狩の注意点は分かる?」


 コルンがセシルに尋ねる。

 ソフィアたちは所詮護衛なので魂狩はコルンがやるが、セシルもいざと言う時の為に手順位は知って置いた方が良いと考えた為だ。


「…いや、僕は魂狩の現場自体見たことが無いから、分からない。何か注意点が有るの?」

「うん、勿論ある。一つは魔物の魂魄は基本、この魂袋一つに付1種類10が限界という事。…まあ、これは最低の魂袋だけどね?良い物に成ると最高5種類で、100個入れられる袋もある。…まあ、そんな袋は僕は見たこと無いけどね?せんせーがそう言ってただけ。…まあ、それは今は良いとして、セシルもその服は着替えて、僕の着てるのと同じ奴がそこにあるから着てね?これでないと魂狩に行けないから。僕は魂狩道具と商人ギルドに卸す食材を入れる籠を持ってくるから」


 コルンはそう言うとセシルをソフィアに任せ、ナギを連れて外にある材料庫に向かおうとする。


「…分かった。行ってらっしゃい」

「うん、まあ直ぐ帰ると思うけど、見られて拙かったら着替えを先にしててね?…じゃ」


 そうして、今度こそコルンはナギを連れて外に行ってしまった。

 残されたセシルはコルンが言っていたように着替えを探そうとするが、殆ど聞いていなかったため場所が分からない。

 なので一緒に残ってくれているソフィアに聞くことにした。


「…ソフィアさん、着替えの場所教えてくれます?」

「ええ、っていうか私が取りますよ」


 そう言ってソフィアが魂篭め用に備え付けられた台の横の作務衣の入っている中から子供用を取り出してセシルに渡す。


「はい。…手伝いましょうか?」


 セシルが作務衣のチャック部分を見てどうするのか悩んでいるのを見て着方が分からないと思ったのだろう、ソフィアが手伝いを申し出た。


「…お願いします。彼のを見ているんだけど着方自体は分からない物ですね。…体全部を一つの布に押しこめると言った感じですか?」


 ソフィアに手伝って貰いながら着ている服を下着以外畳んで籠に入れながら、少しずつ作務衣を着ることが出来たセシルはソフィアにそう尋ねる。そして、ソフィアもまたそのセシルの意見に頷きながら


「はい。何でも、こういう繋ぎ目の無い服でないと魔物でも精霊でも、人でも、それこそ神獣でもそうですが魂と成っている物は生きている者の体に入って操ろうとするらしいんです。そして、その侵入を防ぐ役割をするのがこの服であり、この頭巾であるんです」


 ソフィアがそう答えながら服以外の頭に被る用の魂狩りの装備を見せてきた。


「この頭巾と服は特別な職人の魔力を通した布から作られていて、魂狩りを生業とするハンターは予め魂篭め職人か商人ギルド、若しくはハンターギルドに依頼して装備一式を買うか貸して貰わないといけないんだそうです。そうでなければ普通のモンスターの出る森に行って獲物で戦って、殺したてホヤホヤを職人の店に持って行って魂を抜いて貰うかですね。…カイル様は如何いう訳か生身でも普通に魔森に行って魂狩をされますが、あの人…いえ、他のお弟子さんも同じような人は居ますから、その人達ですが…は特別ですから宛になりません。…あ、コルン様が来たようです。」

「あ、着替え終わったんだね。中々似合ってて可愛いよ?」


 帰って来たコルンに早々そんな事を言われたセシルは頭巾を目深に被ってるので赤くなった顔が余り見えてないと思って安心するのだが、。


「では、用意も出来たし。いざ、出発!」


 という事で、ソフィアはレイピアの状態に成り、セシルが持つことでセシルの戦闘訓練のよい経験にしようという事になった。

 ナギは予定通りコルンの護衛だ。

 そんな訳で4人は、3人と1本に成って長屋?近くの魔森へと向かって行った。



 ☆ 魔の森(アズビカンの森)


 森までは何の障害も無く来ることが出来た4人だが、来て早々問題発生。

 森の魂気に成れていないセシルが早くも魂魄酔いになったのだ。

 通常は作務衣を着ていれば大丈夫な筈なのだが、稀に魂気に敏感な者は魂魄酔いに成り易い。

 それが初めての魔森なら当然の事ではあるのだが。


「…、参ったな…。仕方ない、吐いても困るから口移しで僕が飲ませるか…でも女の子ならナギに飲ませて貰らおうか?この魂魄酔いを和らげる薬」


 コルンはそう言いながらセシルに向かって魂魄薬を見せる。

 しかし、これはあまり飲みすぎると体に危険な物。

 出来れば飲まずに居た方が良いと思って飲ませなかった物だ。

 理由は簡単。これは言うなればこの場の空気と体の成分を近づける薬。

 したがって、あまり飲みすぎると自身がこの森の住人に成ってしまう恐れがある。

 しかし、このままでは危険な事も確かなので、早めに決めて貰いたい。

 ……すると。


「…適量ってあるの?」

「…?あまりないね。その人の顔色で判断しなきゃいけないからココにせんせーが居たら任せるんだけど、居ないから出来れば僕が飲ませた方が良いけど?如何する?」

「…コルン君お願い…この際男の子が相手でも我慢するよ。あ、同性が好みって訳じゃないからね?それに、これは僕の体質の所為でもあるみたいだから仕方ないよ。多く飲みすぎても駄目ならその方が確実だと思う」


 涙目で口を押えながらコルンを見て言った。

 その答えを聞いたコルンは「じゃあ、ごめんね?」と一言断って、セシルの顔を暫し観察し、薬を自分で煽って口に含む。

 そして、セシルの口を上に向かせて…

 唇を舌で開きながら口移しで薬を飲ませるコルン。


「…ぅ……ック…ック……」


 コクコクと喉を鳴らして薬を飲むセシル。

 それから数分。


「……ありがと。だいぶ楽になった」

「どういたしまして。苦しそうな顔も可愛いけど、やっぱり女の子は元気な顔が一番だね。そして、唇もご馳走様。…あ、一応僕も初めてだから、初めて同士でって事で我慢してね?」

「…もう!そんな事は良いから早く行こう?僕の所為ではあるけど、余計な時間喰っちゃったし、なるべく多めに狩ってくるように言われてるんでしょ?時間無くなるよ?」

「うん、そうだね。…けど、魂魄薬を飲んだからには服と頭巾は取っちゃだめだよ?更に危なくなるから」

「…うん、分かった」


 セシルはコルンの言葉に頷くと、ズレていた頭巾を目深に被り直し、レイピアに成っているソフィアに「頼むね?」と一言言ってから前を向いた。

 その様子に頷くと、コルンも前を向いて標的を探す。


 それから数分、セシルを休ませながらコルンが辺りを見回すと、丁度子供だけのサラマンダーの群れが居た。(当然、魂魄と魔物の中間の存在。)

 そこでコルンは気分転換にセシルにソフィアを使った戦闘を提案した。

 魂魄酔いは基本何かに集中していれば少しは収まる。

 慣れかけているセシルなら、ソフィアで戦闘をしていれば直ぐに気分も落ち着くはずだ。


「それじゃー、肩慣らしにあの群れをソフィアさんで片づけて?魔法を使おうと頭で考えればその現象が思い浮かんで、ソフィアさんだから詠唱破棄の魔法が使えるはずだよ。」

「うん。分かった。」


 コルンの指示でソフィアを構えて頭で魔法を使おうと思い浮かべる。

 すると…


(わぁ~。こんなに凄い魔法が使えるようになるんだ…。っと選ばないといけないんだっけ?4制魔法って私らのトコで言う属性とは少し違うのね。言うなればカテゴリで分けてる?…相手は火の魔魂だし、恐らく水に弱いから、温度操作の魔法で大気中の水分を凝縮する圧縮魔法で行こうかしら)


 セシルがそう決断すると、頭に詠唱が浮かんできた。


「詠唱は唱えなくても出来るから、頭で思い浮かべて私を使ってね?」

「はい!…覇!」


 ソフィアがレイピアの状態でアドバイスをし、セシルに魔法を使わせる。

 そしてセシルがレイピアを前に突き出すと、その先端から魔法陣が発生し、魔法陣から一本の氷の槍が現れる。

 その槍は指向性を持ち、最初にセシルが狙ったサラマンダーに直撃し、火を凍り付かせて砕いた。


「うん。上出来だ。じゃあ、ナギさん。僕が集めてる間護衛お願いします。セシルとソフィアさんは引き続きサラマンダーを狩って行って?」

「分かった」とセシルが頷き

「「分かりました」」とソフィアとナギが応じた。


 そして、ソフィアとセシル、ナギとコルンにそれぞれで別れて行動する。(勿論、セシルの後からコルンが魂魄を拾って行くだけなのだが…)


「じゃあ、次はお嬢さんの強さがどれ位か見て上げましょうか」

「え?解るんですか?何処が悪いかとか」


 このソフィアの提案に多少の驚きを隠せないセシル。

 それも当然だろう。人型の時にはあれほど清楚なお姫様と言った感じの人が、武術に通じてるとは誰も思わない。

 しかし、ソフィアは笑いながら言う。


「そんなに驚く事でも無いですよ?私とナギは魔物や精霊たちの蔓延る、この森と似たような国の出身なんです。勿論、国として有る分、この森と同じではないですが、魔物が居る事に変わりはないですよ?なので、お姫様でも騎士団を率いる位の腕はありますし、そこのナギは元々私の護衛でしたからその腕を見慣れている分腕の良し悪しは多少は分かります。…なので、お嬢さんのいたらない部分の指摘位はして差し上げられますよ?」

「…では、よろしくお願いします!」

「はい、ビシバシ扱いて差し上げます♪」

「…」


 ソフィアのセリフに思わず顔が引きつるセシルだったが、どうせなら扱かれた方が後々の為だと割り切ることにした。

 そして、魂狩再開後数分して…


「そこはもっと踏み込みなさい!…そうじゃない!さっきから何回言わせるの!?ヤル気あるの?お姉さんの言ってること分からないの!?」

「…いえ、そういう…「なら、なんで同じ事ばっかりするの?…ああ!もう!腹立たしい!!見本を見せて上げるわ!」…よろしくお願いします。」


 ビシバシと指示を出して行くにつれて、自分ももどかしくなったのか、セシルの指導に熱が入り過ぎて実体化をしたい様だ。

 しかし、流石に人型から武器には成れるが、武器から人型には、特定の人の許可が要る。

 ココにはその特定の人はコルンしか居ないので、仕方なくコルンを呼ぶことにしたソフィア。


「コルン様ー!すみませーん!この御嬢さんに指導したいので、実体化させて貰えませんかー?!」


 その声を聴いたコルンは「あーあ、やっぱりそうなったか」と予想でもしていたかの如く苦笑しながらセシルの元に来た。

 その間魂狩はナギにして貰ってる。

(まあ、ナギが出来るのは魂魄にしておく位の事だが。魂魄を魂袋に入れるのは専用の道具が要るので、今は持っているのがコルンしかいないから仕方ないのだ。)


「じゃあ、戻すよ?【守護人化】≪ソフィア≫」


 コルンが言霊を紡ぐと、レイピアがその場で輝き次の瞬間、先ほど小屋に居たお姫様の様な美少女が微笑みながら立っていた。

 そして、その美少女が近くに転がっている小枝を拾って、セシルに向かって説教を始める。


「さあ、お嬢さん?今からビシ!ビシ!行きますよ?魂魄集めはコルン様がやって下さるんですから、私達はその辺の魂魔を片っ端から屠って行きますよ?…あ、それとお嬢さんの魔法もこの際見せて貰いましょうか?少しは出来るんでしょう?私を使っている時に無意識に魔力を少量篭めていたんだから」

「…分かりました。けど、僕は魔法はそれ程得意じゃないですよ?ソフィアさんの魔法とは系統が違うからどうなるか分からないですけど、攻撃は基本の4属性の初歩しかまだ出来ないし、補助的な魔法も少しだけです。とてもじゃないですけど、この森で役に立つレベルじゃないです。」

「それを決めるのは貴女ではなく、私です。黙ってやってみなさい!」


 ソフィアに促されて自分の魔法のレベルと理由を述べるセシルに、ソフィアは問答無用と一喝する。

 その声に一瞬怯むセシルだが、何とか気勢を立て直して、先ずは言われた通り補助魔法を行使して目の前で浮いているサラマンダー(子供)の群れの残りを片づけようと手に枝を持って攻撃を開始する。


「『水よ、枝に宿りてその形を変えよ』…覇!」


 枝に水を纏わせ、己の一番扱いなれている細身の刀身に形を成し、魂魔に向かって突きを繰り出す。

 それを見ているソフィアは、何故か微笑みながら、しかしどこか苦笑していた。


「----」


 魂魔故に声こそないが、その表情は驚きに満ちている。

 それもその筈。

 見た当初よりも長くなった武器に眼が付いて行かず、避ける距離を間違えたため、呆気なく串刺しになったのだから。

 そして、魂魔を一体屠ったセシルに対し、ソフィアは苦笑しながら自らの意見を述べる。


「お嬢さん。いえ……もう殆ど師と弟子みたいな感じですからセシルと呼びましょうか?」

「え…、…はい!そうしてください、師匠!」


 思いも由らないソフィアの申し出に、つい嬉しくなってOKしたセシルだが、その表情は本当に嬉しそうだ。

 もしかしたら、己にココまで関わってくれた者が今まで居なかったのかもしれない。

 そして、ソフィアもまたそのセシルの顔に微笑みながら応える。

「フフフ……では、セシル。貴女の先ほどの私を使った練習と、今の魂魔に対する攻撃の違いが何か分かりますか?」

「…魔法を併用した事ですか?」

「フフ、その通りですが、少し違います。貴女の場合は多少なりとも魔法が使えるが故に、自分の魔法を使ってない状態での武器を使った戦闘に慣れてないのです。その為、今の魂魔に対する思い切りの良い動きが、私を使った練習の際には発揮されず、結果へっぴり腰の、見ていて腹の立つ動きに成っていたのです」

「…そうだったんですか…」


 ソフィアの意見を聞き、納得したかのように頷くセシル。

 そして、ソフィアはそんなセシルにもう一つ注文を加える。


「では、今度はあそこにいるスカイバードの魂魔に同じ属性の風の刃をぶつけてみなさい。…補助魔法は無しで、魔力のみを使った魔法です。…さあ、やってみなさい!」

「はい!」


 ソフィアの命に従って風の魔法を紡ぐセシル。


「『風の刃よ、切り刻め』…行け!」


 詠唱で風の刃を形成し、現象を紡いで命令を伝える。

 そして、スカイバードへとその風の矛先をむけるのだが…。


「---」


 魂魔が己の羽で風を起こし、セシルの風を押し戻した。

 そして、セシル自身の風の魔法も合わさり、少し大きめの風に成ってセシルへと襲いかかる。


「…魔法力のみではまだここの魔物相手は無理でしたか。…破!」


 セシルの力量の大凡の確認をすると、ソフィアは魔法を使って大きくなった風の軌道を変え、再度スカイバードへと向く風を起こし、そのまま一瞬にして葬りさる。


「…ふぅ~、ありがとうございました、師匠。…けど、やはり僕の魔法ではここの魂魔相手には通じませんね。まあ、補助魔法が少しでも使えると解っただけでも良しとして置けば良いですか?」

「そうですね…。では、今度は先程の補助魔法を詠唱なしに頭の中で行う無詠唱でやって、私を使って長さを変えて魂魔を屠ってみなさい」

「はい!」


 それから再びソフィアがレイピアとなってセシルの手に納まる。

 そして、ソフィアの指示で再びソフィアを構えて魂魔に向かって魔法を試みる。

(……!凄い!師匠の中の魔力が使えるお蔭もあって、頭に入ってくる…出来るようになる現象が幅広くて強い物に成ってる。しかも、元々の師匠の魔法もあるから戦略に限が無くなってる。…っと、言われたことをやんないと…。長さは魂魔に届く位の長さギリギリで良いかな…。少し瞬間に伸びるようにした方が良いかも…)


 この様に出来るようになる事が増える事で戦略が幅広くなるのが魂篭め具の性能を理解した場合の利点だ。

 相棒の事を判れば解かる程自分に有利に成る。

 この事を知る者は今現在魂篭め具を使っている騎士団にもそれほど多くは居ない。

 それは何故か。

 それはまだまだ扱い慣れておらず、心を通わせていないから。

 本来の魂篭め具は使い続けて相棒とする事を前提に職人が使用者の血を使って武器と鞘に魔法陣を描いて使う。

 しかし、この国、いやこの大陸ではそう言う事を知っている者は極僅か。

 なので、ただの便利な魔道具という感じにしか広まっていないのだ。


「…覇!」


 そして、扱い方を学べば元から他の子供より賢いセシルはどんどん戦い方を学んでいく。

 今も本来なら魂魔に迄届く十分な距離が普通に出せているのに、踏み込める距離を取って長さを調整する事で、考えが有るのかは定かでない魂魔に対しても油断せずに力強い突きを繰り出す条件を満たせている。


「それでいいのです!初めからそれをやっていればココの、まだ入り口にしか過ぎない場所の魂魔如きに遅れを取る筈はないのです!」

「はい!」


 ソフィアの叱責に、魂魔を屠りながら応えるセシル。

 そして、そのセシルの近くには魂魄となったサラマンダー(子供)やスカイバード、更にいつの間に近くへ来ていたのか、体が液状化し、魔物の状態では倒しづらいスライムの魂魄が積まれていた。

 サラマンダー(子供)に至っては、相当数の魂魄が有る様だ。

 その数を見て、更に自分が持ってきた魂袋の数を確認してからコルンは「もういいでしょ」と言ってからセシルに近づき


「ご苦労様、セシル。これだけあれば僕の練習も当分出来るようになるよ。ありがとね?」

「…ううん?僕も良い師匠を持てたし、僕自身の目的の為の訓練にもなったし、逆にお礼が言いたい位だよ。…それで?このまま帰るの?商人ギルドに持って行くって言ってた食材が未だ取れてないけど?」

「ああ、それはここでは取れないから、一旦この森を出て王都から見て逆側の迷いの森の近くのシーナ湖でレインボーフィッシュを狩るんだよ」


 セシルにお礼を言ってから、彼女の質問に対して次の目的地について話すコルン。

 その場所と食材を聞いてまたしても驚きに満ちた表情をするセシル。


「シーナ湖のレインボーフィッシュって君が商人ギルドに卸してたの?僕もよく食べるけど、誰が捕まえてるのか疑問だったんだ~。よく捕まえ…ああ、なるほど!」

「そう言う事、ナギさんに掛かれば魚位取るのに苦労は無いよ…ね?」

「うむ!マスターとも良く行くし、あそこの魚自体、水の精霊に少し振動を伝えて貰えば取り放題だし、火の精霊の力を借りればその場で新鮮な味が楽しめる。私の好きな場所だ。」


 セシルが疑問に思いながらもナギを見て納得し、その表情に理由が分かったと分かってナギに話を振るコルン。

 そして、自慢げに胸を反らして己の有用性を示すナギ。

 こういった面でもただの武器と守護体の差は現れる。

 しかし、ソフィアとナギの主であるカイルでさえ、未だ現役を引退した師匠たる伝説の魂篭め師には遠く及ばないとカイル自身が思っている。

 何しろ晩年のカイルの師はほぼ100パーセントの確率で魔物の魂をアイテムに定着させ、その魔物の守護獣化を成し得ていたらしいのだ。(詳しくはコルンも聞いて無い、というかこの話になると機嫌が悪くなるので聞けない。)

 しかし、身体能力や魔力ではコルンはおろか今の衰えたと言っているカイルよりも下だったらしいから、本当に何が要因なのかは謎なのだ。

 もしかしたらカイルには伝えていない秘術が有るのかもしれない。

 まあ、それならそれで自分で考えて編み出すしかないと最近のコルンは考えて居るのだが…

 そんな風に考えて居たらいつの間にか後1コル(1時間)でお昼と言う時間なっていたので、さっさとシーナ湖へと向かおうと二人に声を掛けるコルン。


「じゃあ、そろそろ行こうか。早くしないと商人ギルドに行く時間が無くなっちゃうよ」

「うん、分かった」

「了解です」


 こうして一路、アズビカンの森を出て、シーナ湖へと向かう一行であった。





 





 

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