音のする方へ
ミサイルにより破壊された周囲の建物が、瓦礫と化していた。
ミサイル攻撃を受けても海岸から上がってくる巨大ワニに、息を飲む獣衛隊員達。
そこへ、瓦礫の陰から複数の大ネズミとドローンがやって来た。
大ネズミに喰われたり、ドローンの自爆攻撃で負傷する防衛隊員達。
目の前の大ネズミを撃ち抜いたユリカが一息つく暇もなく、ドローンがやって来た。
目を見開くユリカ。自爆するかと思われたドローンは、その前にミランによって撃ち落とされた。
「サンキュー、ミラン!」
ユリカは親指を立てて、ショットガンを構えた。
――ユリカの回想――
子役の芸能人として、ドラマやCMに出演する幼いユリカ。
「ユリカちゃん、カワイイよー!」
ユリカを褒め称える現場監督。
まんざらでもない顔で笑うユリカ。その隣で高笑いするユリカの母。
「ユリカ、あなたは女優になるのよ。だからいつもキレイにして、笑っていなくちゃいけないの」
幼いユリカに、洗脳するような言葉をかけるユリカの母。
必死に笑顔を作る幼いユリカ。
(物心ついた頃から、私はずっと誰かのための商品だった)
10歳を過ぎ、少し大人びたユリカ。ドラマで高度な演技力を求められ、上手くできずにいた。
「カットカットー!誰がこんな下手な子役連れてきたんだよー?」
キツイ言葉を吐く現場監督。
大人の辛辣な言葉に、深く傷つくユリカ。
「どうしてこんな演技しかできないの?顔だって、昔はもっと可愛かったのに···。こんなブス、ママの子じゃないわ」
母の言葉に、ユリカの心は粉々に壊れた。
―――
ユリカは周りの大ネズミやドローンを次々に撃ち落としていく。
(獣衛隊に入って、私は初めて商品から人間になれた。ここでは、演技は必要ない。誰かのための笑顔も、自分に値段をつける必要もない。だから、私はもっと強くなれる)
ユリカは、戦闘でついた顔の汚れも気にせずに笑った。
防衛隊員の腕に噛みついた大ネズミの頭を撃ち抜き、隊員の腕を素早く止血する真歩。
――真歩の回想――
教室の隅で、「バカ」と落書きされた机を前に涙する小学生の真歩。
薄笑いを浮かべるクラスメイト達。
そこへ雑巾を持ったミランがやって来て、真剣な表情で落書きを消した。
ミランが渡したハンカチで涙を拭く真歩。
(あの時、ミランが私を助けてくれた。その時思ったの。私も、誰かを助けられる人になりたいって)
―――
足に傷を負い、歩けない防衛隊員に肩を貸し、施設の裏手まで歩く真歩。
◆
息を切らしながら、階段を上っているアラン。耳を澄まし、音がしていることを確認する。
(もうすぐだ、もうすぐ)
アランは傷ついた腹を押さえながら、屋上に繋がる扉を開けた。
すると、扉が開いたことに気付いてこちらに顔を向ける男の姿があった。
男は、防衛隊の服を着ていた。その首元には、十字とV字が組み合わさった宗教的な形のネックレスをしている。
「なんだ、バレたのか」
男はさほど興味もない様子でそう言うと、アランに向かっていきなりレーザー銃を撃った。そして、机の上に置いてあったスピーカーを取ってポケットの中にしまった。
レーザー銃を、咄嗟に避けたアラン。
レーザーの威力で、アランの後ろの壁が真っ二つに壊れた。
避けてホッとしたのもつかの間、男が殴りかかってきて近接戦となった。
お互いの拳をくらいながら、殴り合う男とアラン。
「アラン!」
空を飛びながらドローンを攻撃していたミランが、屋上にアランがいることに気付いてそちらへ向かった。
先程負傷した腹に蹴りを入れられ、吹っ飛んだアランが、苦悶の表情を浮かべた。
再び近付いてきた男の拳を避けたその時、男の懐からヘビが顔を出してアランの腕を噛んだ。
「うわっ!!」
(···っ、痛みだけじゃない、痺れて感覚が無くなっていく···。これは、毒だ)
そのまま動けなくなるアラン。
アランの腕に噛みついたまま、笑うヘビ。
そこへやって来たミランの短剣が、ヘビの胴体に刺さってヘビがアランの腕を離した。
「イテー!!何すんだー!!」
怒ったヘビが、体を伸ばしてミランに飛びつき、その首筋を噛んだ。
驚いて動けないミラン。
(ヘビが、喋った···!)
男がトドメのレーザー銃をミランの胸に撃ち、屋上に倒れるミラン。
そこへ、蒼太とマモルが扉を開けて屋上にやって来た。
蒼太が撃ったショットガンを避ける男。
「まずいな、もう行くぞ」
男がそう言うと、ヘビは男の懐へ素早く戻って行った。
ヘビが戻ると同時に、背中からコウモリのような羽根を出した男が飛び上がり、海の方へと飛び立って行った。




