表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
獣乱のゲノム  作者: 大野 響


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/42

音のする方へ

 ミサイルにより破壊された周囲の建物が、瓦礫と化していた。


 ミサイル攻撃を受けても海岸から上がってくる巨大ワニに、息を飲む獣衛隊員達。

 そこへ、瓦礫の陰から複数の大ネズミとドローンがやって来た。


 大ネズミに喰われたり、ドローンの自爆攻撃で負傷する防衛隊員達。

 目の前の大ネズミを撃ち抜いたユリカが一息つく暇もなく、ドローンがやって来た。

 目を見開くユリカ。自爆するかと思われたドローンは、その前にミランによって撃ち落とされた。

「サンキュー、ミラン!」

 ユリカは親指を立てて、ショットガンを構えた。


――ユリカの回想――

 子役の芸能人として、ドラマやCMに出演する幼いユリカ。

「ユリカちゃん、カワイイよー!」

 ユリカを褒め称える現場監督。

 まんざらでもない顔で笑うユリカ。その隣で高笑いするユリカの母。

「ユリカ、あなたは女優になるのよ。だからいつもキレイにして、笑っていなくちゃいけないの」

 幼いユリカに、洗脳するような言葉をかけるユリカの母。

 必死に笑顔を作る幼いユリカ。

(物心ついた頃から、私はずっと誰かのための商品だった)


 10歳を過ぎ、少し大人びたユリカ。ドラマで高度な演技力を求められ、上手くできずにいた。

「カットカットー!誰がこんな下手な子役連れてきたんだよー?」

 キツイ言葉を吐く現場監督。

 大人の辛辣な言葉に、深く傷つくユリカ。

「どうしてこんな演技しかできないの?顔だって、昔はもっと可愛かったのに···。こんなブス、ママの子じゃないわ」

 母の言葉に、ユリカの心は粉々に壊れた。

―――

 

 ユリカは周りの大ネズミやドローンを次々に撃ち落としていく。

(獣衛隊に入って、私は初めて商品から人間になれた。ここでは、演技は必要ない。誰かのための笑顔も、自分に値段をつける必要もない。だから、私はもっと強くなれる)

 ユリカは、戦闘でついた顔の汚れも気にせずに笑った。


 防衛隊員の腕に噛みついた大ネズミの頭を撃ち抜き、隊員の腕を素早く止血する真歩。


――真歩の回想――

 教室の隅で、「バカ」と落書きされた机を前に涙する小学生の真歩。

 薄笑いを浮かべるクラスメイト達。


 そこへ雑巾を持ったミランがやって来て、真剣な表情で落書きを消した。

 ミランが渡したハンカチで涙を拭く真歩。

(あの時、ミランが私を助けてくれた。その時思ったの。私も、誰かを助けられる人になりたいって)

―――


 足に傷を負い、歩けない防衛隊員に肩を貸し、施設の裏手まで歩く真歩。



 息を切らしながら、階段を上っているアラン。耳を澄まし、音がしていることを確認する。

(もうすぐだ、もうすぐ)

 アランは傷ついた腹を押さえながら、屋上に繋がる扉を開けた。


 すると、扉が開いたことに気付いてこちらに顔を向ける男の姿があった。

 男は、防衛隊の服を着ていた。その首元には、十字とV字が組み合わさった宗教的な形のネックレスをしている。


「なんだ、バレたのか」

 男はさほど興味もない様子でそう言うと、アランに向かっていきなりレーザー銃を撃った。そして、机の上に置いてあったスピーカーを取ってポケットの中にしまった。


 レーザー銃を、咄嗟に避けたアラン。

 レーザーの威力で、アランの後ろの壁が真っ二つに壊れた。

 避けてホッとしたのもつかの間、男が殴りかかってきて近接戦となった。

 お互いの拳をくらいながら、殴り合う男とアラン。


「アラン!」

 空を飛びながらドローンを攻撃していたミランが、屋上にアランがいることに気付いてそちらへ向かった。


 先程負傷した腹に蹴りを入れられ、吹っ飛んだアランが、苦悶の表情を浮かべた。

 再び近付いてきた男の拳を避けたその時、男の懐からヘビが顔を出してアランの腕を噛んだ。

「うわっ!!」

(···っ、痛みだけじゃない、痺れて感覚が無くなっていく···。これは、毒だ)

 そのまま動けなくなるアラン。


 アランの腕に噛みついたまま、笑うヘビ。

 そこへやって来たミランの短剣が、ヘビの胴体に刺さってヘビがアランの腕を離した。

「イテー!!何すんだー!!」

 怒ったヘビが、体を伸ばしてミランに飛びつき、その首筋を噛んだ。

 驚いて動けないミラン。

(ヘビが、喋った···!)

 男がトドメのレーザー銃をミランの胸に撃ち、屋上に倒れるミラン。


 そこへ、蒼太とマモルが扉を開けて屋上にやって来た。

 蒼太が撃ったショットガンを避ける男。


「まずいな、もう行くぞ」

 男がそう言うと、ヘビは男の懐へ素早く戻って行った。

 ヘビが戻ると同時に、背中からコウモリのような羽根を出した男が飛び上がり、海の方へと飛び立って行った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ