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利権遊戯

 1986(昭和61)年5月1日、泉佐野市沿岸で大阪湾国際空港の第一期工事起工式が行われた。

 式典には多数の関係者とマスコミが参列した。大阪湾国際空港株式会社社長三枝悟朗を始め、建設会社、航空会社などの最高幹部、それに行政の代表者として運輸大臣、大阪府知事、地元の市長らが出席した。もちろん空港会社の副社長として石山も出席している。

 そして、ある重要人物も参加していた。参議院幹事長砂岡である。元々、この空港は神戸空港建設阻止を目的としたものである。仮に神戸沖で巨大空港が建設されると都心からの利便性と重なる空路の関係から、必然的に伊丹空港が廃港に追い込まれる。

 砂岡の利権である伊丹空港とその利害関係者の利益を守るために建設される。それが大阪湾国際空港であった。


 神職が起工式を粛々と進めていった。そして、鍬入れの儀式で砂岡を筆頭に石山たち関係者が一斉に鍬を入れた。これより本格的に工事が始まることになる。


第一期工事の主な概要は以下の通りである。

・面積  620ヘクタール

・滑走路 4,000m 1本

・旅客ターミナル 搭乗橋は42基ほど設置予定。(詳細は未定)

・貨物ターミナル

・鉄道駅 新幹線用ホーム島式ホーム2面4線 在来線ホーム日鉄(後のNR西日本)島式ホーム1面2線・山海電鉄島式ホーム1面2線

・連絡橋 自動車道と鉄道の併用のトラス橋。上部 自動車道(6車線)、下部 鉄道(複線)


 京都から分岐される新幹線は空港に入線しない。分岐される新幹線は泉州の埋立地を沿って和歌山方面に向かうルートで計画される。

 新幹線は空港手前の駅(現 はればれタウン駅)で新幹線は停車することになる。直交して空港に入線する在来線と直交し和歌山方面に向かう。空港にアクセスする新幹線の乗客は直交する駅で在来線に乗り換えて、空港に向かうことになる。尚、在来線は山海電鉄と民営化される日鉄(NR西日本)が乗り入れる。

 これに竹上幸三郎は強い不満を持った。何しろ、自社が開発するビジネス街の看板の一つが大阪湾国際空港への直通アクセスである。それが空港手前の駅で乗り換えというのは画竜点睛を欠くというものであった。

 しかし、新幹線を空港に入線には問題があった。連絡橋の工期が伸び建設費が跳ね上がるからである。理由は新幹線と在来線ではレール幅と集電方式が異なっていたからである。新幹線を空港に入線させるためには、新幹線に対応するスペースと設備が連絡橋に求められる。

 そうなれば材料費と手間が増え建設費を押し上げる。更に、大型化した連絡橋と新幹線路線のメンテナンスのコストが重く圧し掛かる。それを避けるため、連絡橋に新幹線は入線を断念した。

 当然、新幹線の乗客は不便になる。しかし日鉄(後のNR西日本)にすれば在来線と新幹線の二重投資や二重運用は避けたい。そして連絡橋を保有する空港会社も、建設費や維持費の増大は避けたかった。何より、この原発新幹線の主な出資者の政府と電力会社は建設費の増大を招く空港への入線に否定の立場を取った。こうした事情から、竹上の希望であった新幹線の空港入線は断念された。


 空港以外にも泉佐野市沿岸も埋め立て造成されることになる。その面積は318.4ヘクタールで空港にアクセスする交通が集積することになる。また交通のジャンクション機能だけでなく、高層ビルが群立した新副都心を開発しようとした。空港と新幹線を当て込んでの計画ある。

 その開発会社として、大阪府は三セク会社を設立した。当然のことながら、この三セクは利権の巣窟である。三セクの下請けという形で利益を得たり、天下りの受け皿にしたりである。まさしく、利権遊戯であった。

 このように利権ありきの計画であったため、需要予測に基づいたものでなかった。しかし、時は「バブル景気」と後に呼ばれる好景気であった。それが災いして大阪府が勘違いして、この計画が進められることになった。


 空港の埋め立て工事は旅客ターミナルの設計を待たずして、見切り発車となった。旅客ターミナルの詳細は後日の国際的コンペで決定される。

 兎にも角にも埋め立て工事を優先しなければならなかった。それは伊丹空港問題(処理能力の限界や騒音問題)の解決以外にも急がなければならない事情があった。それが残土だった。


 オイルショックが癒えた1980年代から全国各地で宅地造成が伸び始めていた。丁度、団塊の世代が住宅を購入する世代に差し掛かったからである。それだけでなく、大都市部の地下鉄工事や郊外のゴルフ場開発なども行われ残土は増えるばかりであった。

 この残土は各地で不法投棄が頻発するようになった。そして不法投棄された残土が豪雨によって、土砂崩れとなって死者を出すに事件が全国各地で発生した。こうした事情から全国の残土を早急に処分しなければならなかった。そこで残土を大阪湾国際空港の埋め立てで処分することになった。

 この残土を全国から輸送するに当たって、日鉄の貨物部門(後のNR貨物)が活用されることになった。これは大量の残土を纏めて遠距離に運ぶことができる鉄道輸送の強みを生かしてのことであったが、同時にモーダルシフトで採算が悪くなっていた鉄道貨物の救済でもあった。


 埋立地の海底は軟弱地盤である。そのため地盤改良に140万本の砂杭が海底に打ち込まれる。そこで使用する大量の砂は北朝鮮から賄われる。これは日本労農党の最高幹部の糸井一郎が手掛ける砂ビジネスによるものであった。こうして、左翼もまた利権遊戯に戯れるのであった。

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