客人
CHAPTER6 客人
クスクス。
また呪文を唱える声が聞こえた。迎えに行ってあげよう。
女の子をストンっとやさしく落とす。
「ほ、ホントに都市伝説どおりだ...!」
女の子はなにやら絵を描き始めた。なかなか上手だ。
邪魔するようで悪いが、もうすぐ死んじゃうんだから、まあいっか。
トントン
肩を叩く。
「ひゃあああ!!??」
女の子が悲鳴をあげる。クスクス。面白い。
「絵が上手だね、お嬢さん?」
できるだけ笑みを浮かべて優しく言う。
抵抗されたらやりにくいからね。全部ボクのため。
「あなたが、桜の精...?」
「桜の精か...。ボクはその呼び方、好きじゃないなぁ。ボクは桜木 霧人。」
「そっかぁ...あたしは百敷 忍。霧人、よろしくね!」
これには面食らった。いきなり呼び捨て?こんな娘、久しぶりに見た。懐かしいな。
「......ははっw、いきなり呼び捨てかい?ww大胆なお嬢さんだねw」
ほら、笑ってしまった。
久しぶりに心の底から笑えた。こんなことで笑うなんて案外ボクって単純なのかなぁ、いままでなにをされても笑えなかったクセに。
「あれ?ダメだったかなぁ?」
「ダメじゃない、ダメじゃないんだけどw そんな風に呼ばれたの久しぶりでさ、ついつい」
マヌケな顔。可愛い...?
いやいや、この娘はただの客人だ。でも、ちょっと遊びたくなった。
忍の綺麗な黒髪を撫ぜる。
「ちょ、ちょっと?なになに?どうしたの?」
「お嬢さんには笑わされたよ。とても久しぶりに笑えた。」
どうせ喰べるんだから、もう少しだけ楽しませてね、お嬢さん?




