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第三十一話
トコトコと歩いている深屋に合わせて、俺も天文部からの道を歩く。
「なあ、次どこいく」
俺は思わず深屋に聞いた。
「行きたいところあるんだけど、いいかな」
改まって、深屋が俺に聞く。
「おお、どこだ」
「こっち」
階段を今度は降りる。
どっちにしろ、他に道はないから当然だが、一つ階を降りただけで、廊下へと出た。
「ここって、文化祭会場じゃないだろ」
明らかに立ち入り禁止だということを示すように、廊下に赤色をしたコーンと、立ち入り禁止と書かれた張り紙があった。
ただ、深屋は気にも止めずに、ひょいと横を通っていく。
「一つ、聞いてもいいかな」
深屋が、俺たちだけしかいない廊下を歩く。
「降谷くんって、一目惚れって信じる?」
そして多目的室の前で立ち止まった。