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第二十二話
「そういえば知ってる?」
「何をですか」
深屋へと、面白そうに部長さんが言う。
「この学校の都市伝説だよ。文化祭の日に告白をしたカップルは、ずっと一緒に居られるっていう話」
「誰かから聞いたような……」
深屋がぼんやりと答えているが、どうもその相手を思い出すことはできないらしい。
どうせ、同級生か、あるいはどこかで出会ったうわさ話だろう。
「それって本当なんですか?」
「本当、本当」
俺の質問に、部長さんが教えてくれる。
「私の一つ上の先輩の学年で、文芸部の人がいたんだけど、その人がさらに先輩に告白して、付き合いだしたっていう話があるのよ」
「じゃあ、本当なんですねっ」
食い気味に深屋は聞いている。
なんで女子っていうのは、そういう恋話に夢中になれるのだろうか。
俺にはそれが分からないまま、クッキーをカバンに入れた。