8・高二
恵聖に告白できないまま、俺は高2になった。今では啅人のお陰で勉強もなんとか追いついた。
ある日、俺は恵聖が観ているから話が合うように観ているアニメ、『魔法少女アイドル@スリー』を今日も観ていた。
今日の話はマジカルレッドのケミーが好きな人に告白する話であった。
(俺もちゃんと恵聖に告白できたらなぁ。)
そう思いながらケミーの告白を暖かく見守った。
ーーーー(幕間)ーーーーーーー
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次の日の休み時間に俺は恵聖と廊下でばったり会ってしまった。
「お、大神くん!」
恵聖は身を乗り出すように近寄る。
「お、おう。恵聖。」
俺は高校に入学したら恵聖に告白をする!と言ってしまったので、とても気不味い。俺は斜め下に目線をおとしてしまった。
「は、話があるの!放課後での体育館裏に来て!絶対にだよ!」
恵聖は焦っているのか、早口で変な事を言い出したが、俺は何が言いたいのか分かった。
「お、おう!放課後に体育館裏な。」
俺はそう恵聖に言った。その時の恵聖の顔がとても笑顔だったのを今でも覚えている。
ーーーー(幕間)ーーーーーーー
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「おーい。大丈夫かー。」
昼休みの事である。俺は恵聖の事を考えていてボォ~っとしていた。それを啅人が心配したのだ。
「大丈夫だよ。ありがとう。」
俺は我に返り、啅人に言う。俺は頭の中は恵聖の事でいっぱいであった。
放課後の用事はきっと告白だ。
俺は嬉しさと自分から告白できなかったという恥ずかしさで複雑な気持ちであった。
「そういえば、さっき近津さんと何か話していたね。なんだったんだ?」
「な、なんでもないよ。」
実は俺は啅人に恵聖の事が好きなことは言っていない。恥ずかしいというのもあるが、啅人とは一度も恋愛の話をしたことないからだ。
啅人は中学の時に一度付き合っていた女子がいた。その時も付き合いだしてから話があっただけで付き合う前にはそういう話は一切なかったのだ。何度も言ってしつこいようだが、啅人は俺の命の恩人だ。もし、前もって分かっていれば少しでも何かをしてあげたい。もちろん恋愛も応援する。
話は反れたが、というわけで、俺は啅人に恵聖が好きとは一度も話してなかった。
「それにしても、近津さんかぁ。可愛いよなぁ。」
啅人は思い出すように少し天井を見上げて言う。
「俺、近々、近津さんに告白しようかな・・・。」
ボソッと独り言を言うように放った啅人の言葉が俺の心臓を貫いたような気がした。
俺は恵聖の事が好きだ。しかし、俺は啅人の恋愛も応援したい。
俺はどうすればいいのか・・・・。
いつもは眠いような午後の授業も全然眠くはなかった。俺は放課後、どうすればいいのかずっと考えていた。そして、答えが出ないまま放課後はきてしまった。