9・告白
高2になったばかりだから春なのだが、桜の花は散っており桜の木には葉っぱが生い茂っていた。俺と恵聖は体育館の裏にいる。
お互い向き合い立っている。
「来てくれたんだ。ありがとう。」
恵聖は笑顔で俺に言った。俺は結局どうすればいいのか分からずにいた。
「あ、あのね、大神くん。」
恵聖は目線を横に反らしてモジモジする。
「わ、私ね・・・・大神くんの・・・・・ことが・・・・好きだよ!」
恵聖は恥ずかしいのか、途切れ途切れで俺に告白をしてきた。
「「・・・・・・・・。」」
しばらく、沈黙が続く。恵聖の中ではもう答えが決まっているのだろう。そう、俺は恵聖の事が好きだ。今でもそうである。しかし、俺の命の恩人の啅人も恵聖の事が好きだ。俺は啅人に恩返しがしたい。
「ごめん!」
俺は頭を下げた。
「えっ?」
恵聖は目を見開いて、信じられないという顔をしている。
「恵聖、お前の気持ちにこたえられない。本当にごめん!」
俺は再び頭を下げた。今、恵聖は何を思っているのだろう。
俺はゆっくりと顔を上げた。すると、恵聖の目から涙が零れていた。恵聖は膝から崩れ落ち、両手で顔を隠してたくさん泣いていた。俺はただ立って見つめることしかできなかった。
俺は恵聖に嘘をついた。本当はすごく大好きだ。俺は今日のことは一生忘れないだろう。とても胸が苦しかった。
俺と恵聖は知らないのだが、その光景を見ている人物が二人いた。
一人は恵聖のクラスメイトの加賀美で、もう一人は俺の命の恩人である啅人であった。




