1.異世界赤紙、当選!
お久しぶりです、もしくは初めまして。定期的に更新していきます。それではどうぞ。
異世界転生。
それはオタク系男子(女子もか)誰もが一回は憧れる、夢の出来事。なんの努力も無しにチート能力を貰って無双、いいよね。私もしてみたい。いやでも、私はもうチート能力持ちみたいなものだけどね。ふへへ。
……今、「なんだこの変な地の文は」と思った?
申し遅れたね、私は……そうさな、「語り部さん」とでも呼んでくれ。これから始まる変な奴らの面白おかしい愉快な旅路を君達にお届けするべく交信を開始した、自分で言うのもなんだがすごい人さ。画面の向こうの君達、しっかり見えてるぞ。今、画面を見つめているね? なんちゃって。
とかく、君達に面白い話を届けるべくお姉さん頑張っちゃうぞ。なんせ私はか……おっといけない、トップシークレットだった。物語が進んだら話すかもだけど、今は内緒だぞ。丸出しのお姉さんより、謎多きお姉さんの方が魅力的だろう? ……え、前者のがいいって? へんたいさんめ、このこの。
それはともかくとして、だ。ここを見ているという事は、この話が気になって覗いてくれたという事だろう?良かったらブックマークをよろしく頼む。これぞダイレクトマーケティング! あっはっは、ウケるな! 私は君達の事もばっちり見えてる立場なので、メタ発言もたっぷりしちゃうぞ♪
……いかんね、話がすぐ逸れるのが私の悪い癖だ。これ以上余計な事を喋ってしまう前に、話を始めるとしよう……
……それは、突然の出来事だったんだ。
「こんにちは、可哀想なアナタ☆私はエル、天使のエルちゃんです! あなたへ異世界転生の打診にやってまいりました! まぁもう決定事項なんですけどね、てへ♡」
……なんだコイツ。
それが、目覚めた男の最初の感想だった。
彼の名は田中勇一。名前から分かる通り、日本出身一般男性。そして付加情報として、17歳学生。彼女は……この私のデータベースによると今はナシだな。過去は……うーん、無闇矢鱈に暴くのはかわいそうだし、今後私が語るネタにも出来なくなるからここは伏せておこう。先を見通すのは大切だね。
……ともかく、その勇一が対面したのは羽の生えた美少女。そしてその子が言ったのが先述のセリフ……という訳だ。
ここまでの展開で懸命な読者諸君はもう何が起きているのかお分かりだろう。……え、タイトルで丸わかり? そういうのは言わないお約束だぞ。語り部さん怒るぞ?
……えー、コホン。まぁこの世界を覗く皆が完璧に理解しても、目覚めたばかりの勇一には何がなんやら。回らない頭を必死に動かして、考えを整理しようとする。その過程として、
「あのー……ど、どちらさま?」
目の前の少女の正体を尋ねた。
「んもー、名乗ったじゃないですか! 私はエル、天使のエルちゃんです! 寝ぼけてるんですか?おはようのちゅーはしてあげませんよぉ?」
頭が痛くなるような発言を寝起きの脳で受け止めながら、考えていく。すると彼も、君達は確信しているある可能性に行き着いたようで……顔を青ざめさせながら、とりあえず現実逃避。
「え……これ、夢じゃない? 夢だよね?」
……夢って、何でもそれで片付けられるから便利だよね。しかし返って来たのは、
「残念ながら現実ですー。どうやらおはようのつねりは必要なようですね、やっときます? てかやりますね、えいや!」
「いててててて!」
容赦ない現実と痛みだった。結構容赦なくつねられたようで、赤くなった片頬が事態の深刻さを物語るようで痛々しい。ばんそうこうをあげたいが、私は所詮語り部さん。送ることは出来ないのである。無常だね! いたそー。
「……え、じゃあ待って、ガチ現実?」
「マジ現実ですよ」
赤くなったり青くなったり顔が歩行者用信号機状態の勇一が、膝から崩れ落ちる。まぁ、無理もなし。よしよし。
「……てことはこれ、異世界転生とかそんなアレだろ? 俺死んだって事……? 急に? 残酷過ぎるだろ……」
悲しいBGMがとても似合いそうな彼に、少女……もとい、エルは割とケロッとした感じに。
「あ、その点は大丈夫です。あなた、死んではないですよ! 脈だってしっかりありますから、確認してみてください。まぁ美少女過ぎる私を前にしたら、死者だろうが脈アリになっちゃうでしょうけど☆」
その言葉に、急いで勇一は自分の脈を確認する。ちなみに後半の戯言は全く聞いていなかった。ドンマイ、エル。
「……本当だ、脈拍がある……」
「でしょ?異世界転生はビンゴですが、それは何も死者だけの特権じゃありませんからね! トラックに轢かれたりもしてないので、安心安全ですよ!」
そこでやっと冷静さを取り戻した勇一が、エルに向き直る。
「えっと……とりあえず死んでないのは分かって安心したんだけど、じゃあこれ、どういう状況なのか説明してくれないか?」
「はい! 大天使エルちゃんが懇切丁寧に解説してあげちゃいますよ、えへん!」
そして大天使エルちゃん(自称)は、何処からともなく取り出したホワイトボードで解説を始める。さながらなぜなにエルちゃんだ。
「先程あなたもおっしゃっていたように、一般に異世界転生と呼ばれるやつであってます! そして改めて自己紹介させて貰いますと、私はエル! こういう転生関係担当の天使です、よろしくお願いします!」
「……はぁ、丁寧にどうも。あ、俺は……」
「あ、大丈夫です。ちゃんと資料に目を通しましたので! 田中勇一さんですよね? 年齢17歳、学生、性交渉の経験は……」
「それ以上は結構です!!」
あー、語り部さんは自重したのにエルちゃんは自重してないね。これは私のよく出来た人間性が証明されちゃったね♪まぁ私は.........やば、口が滑りそうに。語り部さんの正体は、もうしばらく内緒だぞ。
「えー、資料にはもーっとあんなことやそんな事が書いてあるんですから、今更じゃありません? 誰も聞いてませんし恥ずかしくないでしょお?」
残念ながら私が聞いているんだなこれが。
「いや誰かに聞かれてるかもしれないしもういいよ! 失礼な奴だな!」
おっと鋭い。
「えへ☆ 同僚の天使たちには『いらん情報までバラしてくれるエルさん』と尊敬されてる私ですからね!」
「それ皮肉でも何でもなく直球でウザがられてるんだよ!もういいから本題に戻ってくれ!」
「は~い!」
バキバキに複雑骨折した話の腰を最先端の治療して、解説は続く。
「えっとですね、端的に言いますと……今回の勇一さんのケースは『召喚』にあたるやつですね」
「召喚?」
「はい。異世界の人から請われて、人材を別の世界から呼び出す魔法の対象に勇一さんが選ばれてしまった……そんな感じです。今回は……あ、魔物への対抗策っぽいですよ。まぁざっくり召喚の話を言い換えれば、全世界の人類のうちランダムで一人に送り付けられる赤紙がクリーンヒットした感じです」
「え、それどんな確率だよ……」
「文字通り天文学的確率です! あなた、逆に運がいいですよ! やったね♡」
「ちっとも良くねぇよ!」
赤紙クリーンヒット勇一が不満の言葉を漏らす。でも正直ここまで来ると、笑い話にした方がメンタル保てて語り部さん的にはオススメだぞ。勇一くん。
「……んで、そういう経緯で俺が選ばれたって事ですか」
「そうですそうです!理解が早くて何よりです! ……まぁすぐ理解できるように脳にちょちょいと細工したんですから当たり前なんですけどね」
「おいちょっと待て今聞き捨てならないことが」
【悲報】田中勇一、脳改造疑惑浮上。
「大丈夫です暗示です暗示! 脳をこじ開けたり、記憶を司る部分に機械を取り付けて改造したり、脳みそのデータを全部取り出して余計なデータを付け加えて戻したりなんかしてませんよー!」
「その例えがスラスラと出てくるの怖ぇよ!本当にしてないんだろうな!?」
「ダンゴムシに誓える程度にはしていません!」
「どうなのそれは!?」
自分が半サイボーグ化しているかもしれないと考えると頭がおかしくなりそうなので、とりあえず忘れる事にして、再び原型を留めない程に複雑骨折した話の腰を元に戻そうと勇一はここで考えた。骨粗相症のおじいちゃん並に脆いぞ、この話の腰。もしくはスペ〇ンカー。
「……本当に話が進まないんで本題に戻ってください」
「はぁい、すみません! ……と言っても、もうあらかた話し終えたんですけどね」
「なんかここに至るまでの過程で最早全部忘れたので簡潔にまとめて貰えませんか?」
「召喚! 当選! いってら!!」
「そんな軽いノリで……?」
「簡潔にって言ったのは勇一さんじゃないですか~」
一抹の不安……どころか数え切れない程の不安が勇一を襲う。その不安は脳を活性化させ……
「……ていうか俺なんかで大丈夫なんですか?完璧に一般人ですよ俺普通に死にますよ」
当然の疑問を導き出した。
これを解決するものと言ったら……それはもう、アレしかない。
「ふっふーん! そこは心配ご無用! なぜなら……」
そこで一息ためて、決めポーズと共にエルは言い放つ。
「貴方にはチート能力、あげちゃいますから♡」
タイトル回収!
「え、チートって……そのアレですか」
「あのソレですよ! 最強! 無敵! 全てを蹴散らすハイパーパワー! 一般人にも関わらず魔物が巣食う異世界に単身飛ばされる羽目になった貴方……そんなかわいそうなお友達にはサービスを!向こうの人もそういうオーダーで人を呼び寄せたみたいですし、だったら盛ったるか精神です!」
哀れみの気持ちから与えられるチート能力。……なんだか締まらないなぁ、そんな事を勇一は考える。でも大体そんなもんだぞ少年。間違って殺したとかトラックに引かれたとか、大抵チート能力は哀れみだ。君だけじゃない、仲間がいるよ(笑)おっと違った、仲間がいるよ!
「.........じゃあ俺はそのチート能力とやらを持って異世界に行くしかないってことか.........」
「わかってもらえて何よりです!」
「でも心の準備ってもんがあるからもう少しだけここで待たせて欲しいんだけど」
その勇一の言葉に、エルはきょとんと首を傾げながら。
「え? もう転移はじめちゃいましたけど.........」
「え!? お、おい! 足光ってるんだけど!?」
「勇一さんが『エルたそのためなら異世界でも裏世界でも命かけて即突撃はぁはぁ』って考えてると思って転移魔法発動させちゃいました.........てへ」
「て.........」
何かを言いかけた勇一。その言葉が喉から出終わる前に.........
「ありゃ、転移しちゃいました。.........最後なんて言おうとしたんですかね? まぁいいか! 『天使エルちゃん最高』とかですよね!えへ!」
勇一の体は天界から移動してしまった。
.........さて唐突だがここでクイズだ!
その次に続く言葉は
①「てへじゃねぇよ!」
②「てめぇ何してんだ!」
③「天使エルちゃん最高!」
④「てんぷらたべたい」
※選択肢は開発中のものです。実際の答えとは異なる場合があります。
以上のうち、どれだったでしょうかッ!!
正解は2話のボタンを押した後でッッ!!!
語り部のクセがすごい。




