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その転移魔法、チートですよ?  作者: 気まぐれ屋さん
1章 イントロ~屋敷移住まで
18/66

18.王都の図書館


前回までのあらすじ。

図書館へ行こう。

――――――――――――――――――――――――


異世界へ来て三日目の朝。


3人のエルフを連れて、転移魔法で王都ザドナイエールに転移した。

(バグログは俺が転移すると自動的についてくるみたいだ)


ザドナイエールは、風の大陸の北に位置する、風の大陸の中でも最大の都市。


常に寒波が吹き荒れる一帯の中、石造りの都市を囲むように張り巡らされた魔法防風壁は、都市に一切の冷風を寄せ付けない。

防風壁内部は、温水をめぐらせることで一定の気温を保っていているとのこと。


バグログのそんな説明を聞き流しつつ、俺たちは大陸一大きな図書館へ入り、図書館受付嬢が一言。



「お一人様、10万MAでございます」


「高っ!」



入場ゲートで受付をしてる女性が提示した図書館利用料金を聞いて、俺は驚きの声を上げた。

これ、1回(日が暮れるまで)の利用料金だぞ?




『この世界にはろくな印刷技術がないから、全部手書きバグ。

遊角の居た世界よりも、本が貴重なのバグ』


「具体的にどのくらい?」


『専門書1冊200万MAくらいバグ?』


「およそ200万円って、自動車が買える値段かよ」



この世界には自動車はなさそうだが。



「ひょっとしてお金が足りなくて引き返すのですよ? 期待させといて酷いのですよ?」


「ああっ、お預けプレイですわね……」


「やーい、この甲斐性かいしょうなし」



利用金額に弱腰になってる俺に、言いたい放題のエルフたち。

彼女たちにも読みたい本があるのだろう。


当然のように、彼女らの利用料金も、俺が払うことになってるらしい。

とすると、合計40万MA、か。

(バグログには透明になってもらう)



「いやいや、やっぱり高いって。

それに何日も利用するのを考えると、いくらかかると思ってんだ」


『今日1日だけでいいんじゃないバグか?』


「1日で調べ物が済むと思ってんのか」



ちなみに受付横に貼ってある紙によれば、ここにある本すべてレンタル不可、だ。

なんと不親切な。



『レンタルなんて、するまでもないバグよ。4冊分の知識は確実に手に入るんだしバグ』


「4冊分って何のことだ。4冊読んで覚えろってのか」


『違うバグ。図書カードに内容をコピーできる本が、4冊までということバグ』


「内容をコピー?」


『遊角の世界で言うと、電子書籍みたいなものバグ。

図書カードに原本を触れさせ、転写と唱える。

すると図書カード内に原本の内容がコピーされる。

そうすれば、いつでもどこでも本の内容を利用することができるバグ』


「ほー! そいつは便利だ」


『便利なんて言葉で言い表せないくらいバグ』



つまり10万MA払って、4冊分のコピー権利を得るわけだ。

元の本が1冊200万MAなら、むしろこれは良心的といえる。



「よーし、全員集合」



図書館の利用の仕方、待ち合わせの時間について打ち合わせして、3人にそれぞれ13万MAずつ渡し、俺達は解散した。

残り手持ちは、約138万MAだ。



◇ ◇ ◇ ◇



入場ゲートで受付し、利用料金の代わりに図書カードを貰った俺は、

図書館内部へと入る。



「おお」



床は白い大理石みたいな石で作られている。

円柱タワー状の建物は中央が吹き抜けで、本棚は壁に沿って円状に並んでいる。

それが7層。



「これは目的の本を探すのに苦労しそうだ」


『階層ごとの本の大まかなジャンルは案内表に、細かな分類は本棚に書いてあるバグ』


「とはいえ、こんな量の本だと……そうだ、テレポート」



俺は転移魔法で、お目当ての本の内容を思い浮かべる。


手元に「異世界から来た人へ」という本が現れる。


ぺらり、ぺらり……




『図書館全域に魔法使用不可の結界が張ってあるのに、遊角の体は転移魔法による自動ジャミング防御が働いているバグね。

おかげで転移魔法が普通に使えているバグ』


「見つけた。俺と同じ世界から、異世界に来たって人が書いた本だ」


『無視バグか』



この世界に、俺の他に異世界転生者がいたのなら、こういう本もあるだろうと見当をつけたが、大当たりだったようだ。

俺はそのへんの椅子に座り、「異世界から来た人へ」を流し読みする。


そこに書かれていた内容は、予想通り、俺みたいに違う世界からこの世界へ来た人のために書かれたものだった。


項目は、一般常識について。スキルについて。

魔獣からの逃げ方について。魔道具の効率的な使い方について。

などなど。



――――――――――――――――――――――――

「異世界から来た人へ」スキルについて:


この世界と違う世界から来た人は、スキル習得が出来ない。

私を転生させた力の神に理由を聞いたが、教えてもらえなかった。


この異世界へ来た者は、転生者だろうと転移者であろうとスキルを習得できないみたいだった。


知っている転生者たちに聞いても同様だった。

彼らは無スキルであった。

――――――――――――――――――――――――



それらを流し読みする中で、スキルについて、の項目にとんでもないことが書いてあった。



「「この世界と違う世界から来た人は、スキル習得が出来ない」だって?

どういうことだ?」


『魂の規格が違うせいだバグ。スキルは魂に刻み込むものバグ。

だからこの世界と違う世界で作られた魂は、この異世界の魂みたいにいかないバグ』


「分かりやすく説明しろって」


『CDレコーダーでSDカードへ書き込みができないのと同じバグ』


「その例え、機械音痴の人には伝わらないと思うぞ」


『習字のコンクールに、彫刻の作品では応募できないのと同じバグ』


「余計に意味が分からなくなったな」


『「この世界と違う世界から来た人は、スキル習得が出来ない」というのは、

この世界以外の出身の魂では、スキル習得ができないということバグ』



要するに、俺みたいなよそ者は、スキル習得が出来ないってこと?


でも俺は、【転移魔法(魔王特製)】【バグログ】の2つのスキルを持ってるんだが。




『4王や4神のスキル付与が特別だからバグ』


「【転移魔法|(魔王特製)】はともかく、【バグログ】は水を飲んだだけで身についたぞ?」


『その水は、風の神の、特別製だからだバグ』


「ふーん?」




バグログが寄生虫(今は精霊体)のくせに無駄に知識を持っているのは、風の神とやらが細工をしたのだろうか。


ぺらり、ぺらり。



――――――――――――――――――――――――

「異世界から来た人へ」おすすめ図書について:


私が異世界に来て、とてもお世話になった本を2冊紹介する。

是非、私の本を取ったあなたに読んでもらいたい。


「魔道具大百科」:古今東西の魔道具について書いてある。

スキルが使えない私は魔道具によって何度、命を助けられたことか。


「昔話100選」:子ども向けの本とあなどるなかれ。危険な場所。恐ろしい魔獣。この世界の強者、など。

弱者である私が生きてこられたのは、この本と出合ったからといっても過言ではない。

――――――――――――――――――――――――


「おすすめ図書もあるみたいだな。「魔道具大百科」に「昔話100選」か」



「異世界から来た人へ」の著者は、スキルが生涯使えなかったらしく、魔道具でそれを補おうとしていたらしい。


この世界では、よそから来た奴は基本、スキルなしの俺YOEEになるみたいだから、魔道具に頼る生活になるのは、ある意味当然だったのだろう。


俺には転移魔法があるが、魔道具についても知っておくと役に立つかもしれない。


そして「昔話100選」。おそらく童話集。


子どもに語り聞かせるための本であろう。

つまりは子どもですら知っていて当然の知識の集大成。


危険な場所。

恐ろしい魔獣。この世界の強者。


確かに、知らないよりは知っている方が、逃げるのに有利だろう。



「テレポート」



「魔道具大百科」と「昔話100選」を手元に転移させる。

さすがに百科辞書は重いな。


図書カードを取り出し、



「転写、転写、転写」



3冊を図書カードを触れさせ、転写してみる。


そして図書カードに書かれた本のタイトルをポチッと押し、コピーされた内容が表示されるのを確認。

上手くいったみたいだ。



「テレポート」



3冊が元の場所に行くようイメージし転移させた。

転移魔法マジ便利。



「あと1冊コピーできるな……そうだ、テレポート」



「種族大百科」を手元に転移させて



「転写っと」



図書カードに転写。本は元の場所に転移するようイメージするだけで消える。


「異世界から来た人へ」「魔道具大百科」「昔話100選」「種族大百科」の4冊の内容を、図書カードに転写した。




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