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婚約破棄

初めての投稿です。

暇な時間に作成しているるので、いつまで続くかは未定です。

「エリザベート、僕は君との婚約を破棄する」


ここは、ソベルト王国の王都ビルアのほぼ中心地にそびえ立つ学園『カーティス』。

ソベルト王国でも最も有名で歴史のあるこの学園はその学生達の9割が貴族で占められ残り1割も、王国で最難関とされる入学試験に合格した優秀な学生が集う特別な学園である。

カーティス学園は15歳から18歳の3年間の教育の中で、通常の勉学はもちろん騎士となるための剣術や、魔術士となるための魔法術、医師となるための医学など好きな分野を選択し学ぶことができ、その卒業生達は色々な分野で活躍する事が約束されているのである。


3年間の中で多くの事を学んだ学生達は、卒業式後に開催される学生主催の卒業パーティーで各々の友人達と3年間の思い出と未来について話しあっている時であった。


会場の中心を占領しているのは、この学園でも最も有名な集団である。


「エリザベート、僕は君との婚約を破棄する」


そう言い放ったのはこの集団で最も目立つ金糸の髪にアクアマリンの瞳を持つ青年である。

ソベルト王国、第二王子セシル・ソベルト。

王族であるセシル殿下は、この学園でもトップの権力者でありその言動を諌める事の出来る人間は、この学園でも1人しか存在しない。


「このような場で、いきなり婚約破棄とはどういう事でしょう?殿下との婚約は王家と公爵家との間で取り交わされたもの、簡単に破棄する事はできないはずですわ。」


殿下の前に優雅に立ち微笑みながら言ったのはこの学園で2番目に権力を持った少女。

金糸の髪を優雅に巻き少しつり上がったエメラルドの瞳はセシル殿下を見据えていた。


「黙れ!お前がマリーをいじめていたのは知っている!机や教科書を汚したり、制服に水をかけたりするだけならまだしも、階段から突き落としたり、備品室に閉じ込めたりするのは見逃がす事はできん。

そんな悪女が王族に嫁ぐなどもってのほかだ!

俺の婚約者はこのマリーがふさわしい、成績優秀で皆に優しい慎ましいお前とは反対のマリーがな!

エリザベートお前は必要ない!」


「殿下ぁ。」


そう言ってセシル殿下の腕に抱きついた少女はブラウンの髪にグレーの瞳を持ち、色こそ平凡だが、顔の造形は整った学園でもトップクラスの美少女である。


マリアージュ、彼女は平民でありながらセシル殿下と交流を持ち学園でも有名人の一人である。

そして彼女を護るかのように囲う方々もきらびやかである。


「全くだ、マリーが優秀なことを妬み教科書を破るなんて最低だな」

眼鏡をかけた黒髪黒眼の青年は、この国の宰相の息子であるルーファス・ロイス


「魔法でマリーに水をかけるなんて、魔法への冒涜だ。代わりに僕が君に水をかけてあげようか?」

白銀にサファイアの瞳を持つ青年は、100年に一人といわれる天才魔術士リオン・シルバー


「階段から突き落とすとかふざけるのもいい加減にしろよ。マリーの運動神経が良かったからいいものの、マリーに何かあったら許さねー」

真っ赤な髪に琥珀の瞳を持つ青年はレオン•ジャスティ。

王国騎士団の団長の息子ですでに近衛騎士団に入団しているエリートである。


会場の中央では、次々にエリザベート嬢を断罪する言葉が並べられ、疑いのないように見えた。

しかし会場にいるものの大多数はこの茶番を冷めた目で見ていたのである。


なぜならエリザベート嬢がそのような人物でないという事を、中央の集団以外ほとんどの者が知っていたからである。


貴族と平民が共に学ぶこの学園で身分を笠に平民を虐げる事は禁止されている。

だからと言って、貴族や王族に失礼がある事は許されない。

それはこの学園に入学して一番最初に習う事だ。

しかしマリアージュは、礼儀を軽んじ王族である殿下やその他の貴族にもまるで対等であるかのように振る舞った。

そのため、多くの伝統のある貴族から不満があがったのである。

その事を知ったエリザベート嬢は、マリアージュに貴族との接し方について注意したのである。

しかし彼女はそれを聞き入れなかったばかりか、エリザベート嬢が彼女に嫌がらせをしたような言い方をしたのである。


それを皮切りに、マリアージュの言い方はどんどんエスカレートした。

そして、殿下達を取り込んだマリアージュは、その権力を笠に好き勝手に振る舞い、エリザベート嬢に注意されると、殿下に泣きつくことを繰り返したのである。


3年間もそんな状態が続けばほとんどの者は、それに気がつき彼女に接触しなかったのである。


「また始まりましたね。」

「本当にあの方はどこまでエリザベート様を困らせれば気がすむのでしょう」


私と同じぐらいの身分のご令嬢方はまるで舞台を観劇するかのように話している。


私の名前は、ジル・ロドリゲス

ロドリゲス子爵の一人娘である。

ロドリゲス子爵家は貴族の端っこにひっそり引っかかる没落しかかった家で、私の婚約でなんとか持ちこたえている。


「本当にエリザベート様は大変ね」


私はそう言うと、隣に立つ婚約者エリオット•ジーナスを見上げた。


「全くだ」


エリオットは、目線をエリザベート様にむけたまま返事をしました。


「そういえば、エリオットのお母様から明日からジーナス家で住むように言われてるの。結婚式の準備もあるし、明日からよろしくお願いしますね。」


「あぁ。」


エリオットは無口だ。

女性にもあまり慣れてないし、婚約して17年いまだに手すら握らない。

嫌われているかもと悩んだ時もあるが、これが彼の性格だという事は、長い付き合いの中から学んだ。

なので、返事が適当でも気にしない。


「わかりましたわ。」


私が考え事をしている間に、中央の騒動は凛とした少女の言葉で収まる。

エリザベート嬢のこえがまるでさざ波のように会場にわたり一瞬で支配した。


「婚約破棄を了承します。」


「そっ、そうかそれでは私はマリアージュとの婚約をここに「ただし条件があります」なっなんだ?!」


「今から私が宣言する方との婚約を王族として了承していただいます。それが条件ですわ。」


エリザベート嬢はそう言うと、これまでに見た事もないような、美しい笑みを浮かべた。


「いいだろう」


セシル殿下は戸惑いながらも了承する。


するとエリザベート嬢はゆっくりと優雅にこちらに歩いてくる。

彼女の行く先は、まるで王族が歩むかのごとく人が分かれ、私の前で彼女は歩みを止めた。


「私は、ここにいるジーナス伯爵の息子エリオットとの婚約を発表いたします。」


そう言うと、彼女はエリオットに向けて腕を上げる。

エリオットはまるで舞台役者のようにその手とり跪いでキスをした。


「仰せのままに」


その瞬間、会場中から盛大な拍手がわき起こり、エリザベート嬢への祝いの言葉が溢れ出した。



•••はぁ?

どういう事?

エリオットは私の婚約者で、でもエリザベート様の婚約者になって、みんなにお祝いされてって


•••

••••••

•••••••••

もしかして、もしかしなくても、私も


婚約破棄!!!!


そのあと、どうやって屋敷に戻ったのかはわからなかった。



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