『兄妹』拾肆話
拾肆話 依頼人……
ギルドから出た命、湊、レイラの三人は地図を頼りに依頼主の元へと向かっている
ギルドから約五分くらいのところにある一軒家に立ち止まった。どうやら此処が依頼主の住む家だった
「すいません」
「は、はい?」
呼びかけると中から恐る恐ると言った感じで一人の女性が出てきた
「えっと、ギルドの者だが……」
ギルドの承認書を渡す。女性が受け取り、紙を見た後ガバッと顔を上げ
「ど、どうぞ!入ってください!」
扉を全開にして招き入れる。その変わりように三人は止まったが、女性が奥に行くと三人も家にあがる
「先ずは自己紹介から。私は依頼主のクリスベルです」
女性――クリスベルがぺこりと頭を下げる。命達も順番に自己紹介を始める
「俺は命。ギルドランクはC-、まだ入り立てだがよろしく」
「私は湊。ギルドランクはD+だよ。同じく入り立て、よろしくね」
「私はレイラと言います。ギルドランクはCです。ミコト様とミナト様とはチーム月として活動しています。よろしくお願いします」
レイラの自己紹介が終わるとクリスベルはレイラに顔をいきなり近づけ、大声を出した
「れ、レイラって、あのレイラ様!?どうして貴女のような方がギルドに!!」
クリスベルの言うことはもっともでレイラ程の人間ならばギルドでなくとも他に働き口は沢山あるだろう
「色々とあるんですよ。それより、依頼のことですが……」
話を逸らし、本題へと持っていく
「あ、はい。依頼内容は見たとおり、家族として接して欲しいんです」
そこで一旦途切れ、キッチンの場所に行き、お茶を入れる
キッチンからこちらに聞こえる声量で続きを話し始める
「本当は家族が居たんですが逃げてきてしまって……」
キッチンから戻ってきたクリスベルは一人一人にお茶を配り、最後に自分の場所に置き席にかける
「逃げてきた?」
湊は気になりクリスベルに問う。クリスベルは頷きながら逃げてきた理由を話し始める前に三人に前置きする
「私はこの理由で多くのギルドの方々から断られてきました。もし貴方たちもそうならば早めに決断してください」
それに三人は頷く。クリスベルは少し不安そうな顔で話し始める
「えっと、魔法の使い方を教えてほしいんです」
イスから立ち上がり、深く深く頭を下げる
それを見たレイラは怪訝な顔をしてうなった
「それは……難しいですね。魔法は他人ではなく親から教わるものですから」
それを聞いた湊はレイラに、何故か、と尋ねる
「私が教えられるのは魔力の操作で魔法そのものを教えることはできないんです」
端的に説明すると命は一つ不可解な点があった
「魔法は魔力から生まれるんだろ?何で魔力だけしか教えられないんだ?」
「それは魔法は人によって『質』、『規模』、『想い』がすべて異なるからです」
質とは魔法の威力、規模は大きさ、想いは継続力である
このすべてが同等という人間は一人もいない
魔法は自分から本能で覚え、自然と身に付くものであり、誰かに教わったりするものではない
「ギルドの皆さんはそのことを説明せずに断ってしまったんでしょうね」
「魔力の使い方を知らないと、魔法も身に付かないのか?」
「基本的にはそうですね。極稀に魔法を覚えて、魔力の操作を覚えた。と言う人も居たと聞きます」
それは本当に稀で、世界中を探しても片手で数える程度かも知れない
「ですから、私達は魔力を教えます。魔法のことは……きっかけは作れますが、後のことはクリスベルさん次第です」
「私、次第……」
「はい。先程も言いましたが、魔法は『想い』がなければ一秒とも続きません。そして、魔力は簡単に扱えるものではありません。本気で使いたいと言うのならば、お教えします」
レイラは話してる間はずっとクリスベルを見ている
クリスベルもレイラから目を逸らしたりはしない。それはレイラが元姫だからではなく、レイラが自分を見ていたからだ
そして、クリスベルは……
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