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3話 地獄の鬼ごっこ①



 街に帰って来ると昼間程の活気はなく、どこか落ち着いた雰囲気に変わっていた。

 日が落ち始め、空は茜色に染まっている。

 街灯に明かりが灯され、飲食店らしき場所から楽しげな笑い声が聞こえる。


 

 今日という日が終わったのだと実感する。

 きっと彼らも仕事を終えたのだろう。

 俺も判を押された依頼書を眺めながら、今日の激闘に想いを馳せる。

 モコモコとした動物たちの軍団にもみくちゃにされながら、毛を刈っていく時間。

 大変な時間だったが、モフモフとした柔らかい毛に包まれるのは中々に良かった。

 ぜひ次も依頼を出してほしい。



「なにしよっかなー」



 今回の報酬は銀貨三枚と銅貨二枚。

 一枚はもしもの時の為に置いておくとして、残りをどう使うかが問題だ。

 パーっと美味いものでも食いに行くか、それとも節約しながらチビチビと使うか。



 いや、既に答えは決まってる。

 俺はお洒落な雰囲気の店に足を踏み入れた。




▲▼



 食事を終えた俺は会計をして店を出る。

 夕暮れ時より更に人はまばらになり、見上げると星が浮かんでいて、すっかり夜になっていた。



「あー、美味かった」



 初めて行った店であったが、とても良かった。

 金額は銀貨一枚と銅貨四枚と、少々お高めだったが、それを差し引いても非常に大満足だ。

 これでまた明日も頑張れる。

 後は家に帰ってゆっくりと休もう。

 


「……ん?」


 家に帰ろうとしていると、不審な人物が何かの店から出てきた。

 見たことのある奴だ。

 ツインテールにした桜色の髪と三人の中でも一番小さくて幼い顔をした少女。



 アルクスと同じパーティメンバーの、あれ、アイツだ。

 名前が出てこないのでツインテ少女と呼ぶことにする。



 ツインテ少女はなにやら周りをキョロキョロと見渡して、警戒しているように見える。

 一体なんの店から出て来たのだろうか。



 なんの変哲もないただの書店だ。

 一体何をそんなに警戒する必要があるんだろうか。

 いや、よく見ると紙袋を大事そうに抱えている。

 きっと何か高価な本でも買ったのだろう。

 


 高価な物を買った時って、異様に周りが気になるよな。

 俺も何回か経験があるから、よく分かる。

 


「………あ」



 ツインテ少女は俺に気づいたようだが、俺はあえて別のところを見て気づかないフリをする。

 すると俺が気づいてないことに気づいて、そそくさと俺の視界に入らないように少し迂回しながらこちらへ向かって来る。

 このまままっすぐ進めば、何も問題ないな。



「きゃっ!」



 視界の端でツインテ少女が誰かとぶつかったのが見えた。

 チラチラとこちらを見ていたのは、分かっていた。

 俺と鉢合わせないように意識を集中させすぎて、前が疎かになったのだろう。

 幸い転倒などしてないようだし、大丈夫だろう。


「………ん?」


 ビリッと破ける音がして、二つの物体が足元に滑っできた。

 これは、なんだろうか?

 形状からして、冊子に見える。

 とりあえず誰かに踏まれないようにも、拾い上げる。


「……あ」


 ツインテ少女は冊子を拾い上げた俺を見て固まっていた。

 見られてはいけないものを見られてしまった、そんな顔をしている。

 なぜそんな顔をするのかと気になって、冊子に目を落とした。



「………え?」



 自分でも驚くくらい間抜けな声が出た。

 それくらいの衝撃だった。

 冊子には『これであなたも魅力的な女性に!』『胸を大きくする食べ物や生活習慣!』と書かれて魅惑的なプロポーションの女性が表紙に飾られていた。

 


 コンプレックスなのだろうか。

 


「はっ!?」



 いかん、そんなことを考えている場合ではない。

 ツインテ少女は顔を赤くしてプルプルと震えている。

 ここはなんとか宥めなくては。

 相手はA級冒険者のパーティメンバー、ということは実力も相当の物だ。


 もし、暴れられたりしたら、下手すれば死んでしまう。

 ここからの言動によって、俺の運命が決まると言っても過言ではない。



「…………」


「…………」



 と、ここで大誤算が発生する。

 ほとんど人と話したことがない俺にとっては普通の会話もかなりの難易度になる。

 そんな俺が人を宥めるなんてできるはずがない。


 だけど、これ以上の沈黙は耐えきれそうにない。

 何か話したほうがいいだろう。



「………その、まだまだ伸び代があると思うから頑張れ」


「っ!!」



 ツインテ少女の顔が真っ赤になって今にも爆発しそうになった。

 どうやら俺は言葉選びを間違えてしまったらしい。

 


「……大丈夫、大丈夫なのよ。知られたのは一人だけ。そいつの記憶を消せば何も起きてないってことなの。問題は記憶を消す方法。たしか、昔読んだ本で頭を殴り続けたら記憶が飛ぶって書いてあったような………」



 恐ろしい呟きが終わり、瞳が真っ直ぐにこちらを射抜く。

 体が冷たい。

 冷や汗もあるだろうが、それ以上にツインテ少女からは冷気のようなものが漏れている。



「ごめんなのよ。すぐに終わるから」


 俺は命の危険を感じたので回れ右をして全力で逃げた。


「待つの!!」


ストーリー考えるの難しすぎる。

 くるぢい。

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