参拾漆.不穏
次の話は、ちょっとだけ早めに投稿します。
まさに、地獄絵図。
威勢よく手を挙げていた4校の生徒達が一斉に地面に崩れ落ちている。
片膝を付き、肩で息をしている生徒の数が両手で事足りるほど。
残りの生徒は俯せ、仰向け、柱に背を預ける形等、様々な体勢で気絶している。
─────以下ダイ(DIE)ジェスト
1校目のチャレンジャー(いのちしらず)
白扇女子高等学校──
「お!まずは、お前らか!いっちょ揉んでやりまっか!」
両手をポキポキと鳴らしながら、ニヤニヤする紫乃。
「くっ…バカにしやがって!!」
「部長!私達全員でかかれば、あんな奴…」
白扇の女生徒AとBが滾る。
「へー、血気お盛んってか?いいぜ…お前らのタイミングでかかってこいよ」
右手をクイクイさせて煽る紫乃。
「舐めやがって…かかれ!!」
部長のひと声で全員が一斉に、紫乃に斬りかかる。
「おいおい、横一列に並んで飛びかかってくるなんざ、初心者かよ!!横に薙いでくれって言ってるみたいなもんだぜえ!!!!」
そう言うと、紫乃は大刀を遠心力を使って、一気に横に振り抜く。
「ドッ…コイセーー!!!!!」
白扇女子全員を巻き込む強烈な横薙ぎ。
「ぐあああっ!!!!」
「きゃあぁぁあ!!!!」
「かはっ!!!!!」
断末魔は大体3種類。
全員のリストゲージはあっという間に赤になっていた。
「うわー、ザッコー。勢いだけじゃねえか。ほい!次!」
2校目以下略
「みんな!!いくぞぉぉぉぉぉ!!」
「ふわぁ〜…はいはい、作業作業ぉぉぉ!!!!」
欠伸をしながら片手で大刀をぶん回す、紫乃。
「おい…あいつ、片手で大刀ブン回してねえ?」
「あ、ああ…」
六花と神楽がドン引いている。
…3校目。
「み、みんな…い、一斉に行くぞ…」
「は、はいい…」
3校目ともなると、2校の瞬殺ぶりに、怖じ気づき、女生徒達の闘志は完全に削がれていた。
「チッ…早く来いやああ!!」
なかなか斬りかかって来ない相手校に紫乃の苛立ちが爆発した。
容赦なく襲いかかる大刀になすすべもなく、ふっ飛ばされる3校目の生徒達。
ラスト4校目───
全員確実に戦意を喪失したのか、両手を挙げて降参の意を示していた。
「ん?なんだ?それ」
紫乃は不思議そうに問いかける。
「いや…降参の…」
「降参なんて認めねえつってんだろうが!!!!」
「は、初めて聞きましたー!!」
紫乃の容赦ない一撃。
両手を挙げたままふっ飛ばされる4校目の生徒達。
「ケッ…威勢だけで、歯ごたえもクソもねえなあ?」
「紫乃ちゃん!女の子がクソなんて使っちゃダメだよ!」
「へいへい、クソすんませんでしたーっと」
「もう!」
桐の注意も、紫乃には効果が薄いようだ。
──────DIEジェスト終了
「…っ」
「……」
想像を絶する惨状を前に、残りの4校の生徒達は棒のように立ち尽くすしかなかった。
「さて、挙手をしなかった、お前達は多少なりとも分を弁えているといったところか…」
「まあ、腰抜けともとれるが」
「…くっ…誰が…っ!!」
紫乃の煽りを受け、反論しようとした六花を片手で静止する神楽。
「フン…悔しければ、本戰まで上がってくるんだな」
「もう!紫乃ちゃん!」
「へいへい。つーわけで、参加校は半分になっちまったが、今から、予選を始める!参加校は…えーっと…。わりぃ、桐、続き頼むわ」
「もう!紫乃ちゃん!興味ないとかいう問題じゃないよ!」
「…コホン。今回の予選参加校は4校である。」
「1校目!灯東高等学校!」
「2校目!祭王子女子高等学校!」
「3校目!上藤高等学校!」
綺羅女にとっては因縁の高校の名前をあげられた瞬間に、六花、神楽、まくらの3人がひりついた。
「最後に4校目!綺羅星女学園高等学校!」
「以上、4校である!続いて、1戦目の組み合わせを発表する!」
「灯東高等学校vs上藤高等学校!!」
「今から30分後、1戦目開始の館内アナウンスが流れるので、対戦校はバトルフィールドのそれぞれの入り口に待機するように!それ以外の学校の生徒達は、各々の学校専用の控え室で待機するか、1戦目開始までの間、自由行動とする!それでは、解散!」
「さっきの、ちっちぇえ箱じゃなくて、ちゃんとした、競技フィールドで戦ってもらうからな。しょうもねえ試合するなよ?」
続けて紫乃が煽る。
「もう!紫乃ちゃん!」
「ほんじゃま、各校頑張れよー」
紫乃はひらひらと手を振り、桐と一緒に奥の扉へ消えていった。
────────
「はえー、なんか…すごかったですねえ…」
雨千夏が感嘆の声をあげる。
「ああ、さすが、参桜の1人が在籍する学校なだけはあるな」
神楽が続ける。
「本戰行くようなガッコの奴らって、あんなバケモンばっかいるのかよ…」
六花が頭を抑えながら声をあげる。
「───まさか、もう、本戰に出る気でいるのか?めでたさは変わらねえな、綺羅女は」
「あん?」
六花は声のした方に向き直る。
少し遅れて他の綺羅女メンバー達もその方向を見やる。
5人の女生徒が立っていた。
上藤の生徒達だった。
「…てめえらは!!」
六花が拳を強く握る。
「六花ちゃん、落ち着いて…」
まくらが六花をなだめる。
「──ああ、うちは大丈夫だ」
「驚いたよ、参加校に綺羅女の名前を見て、まさかとは思ったが」
「てめえ…羽柴ぁ…」
「おっと、また暴力は勘弁してくれよ?クク…」
「あの時のようにはならないさ…私達も無意味に過ごしてきたわけじゃない」
神楽は羽柴に対し素敵な笑みを浮かべる。
「んな事より、てめえらも初戦敗退とかいうダッセー事になんねえといいけどなあ?」
六花が煽る。
「ふん…抜かせ。行くよ、お前達」
羽柴はそう言うと、他のメンバーを連れて会場の奥へと消えていった。
「クソ…!!あいつの顔見ると腸が煮えくり返るぜ…」
六花は地団駄を踏みながら、頭をかいた。
「六花ちゃん…」
「あ、あの…さっきの人達って、前に神楽さんがお話してくれた…」
「ああ、上藤高等学校。因縁の相手だよ」
「ふん…見たところ、そこまで大したことはなさそうだが?」
瑠璃が嘲るように笑う。
「実力的にはそうかもしれんが、あれから向こうも成長してるかもしれん、侮るのはやめたほうがいい」
神楽が釘を刺す。
「さて、私達は時間まで、控え室で待機するとしようか」
「だな、座りてーし」
神楽達は、自分達の学校の控え室に向けて歩き出した。
───30分後
ピンポンパーンポーンというチャイムが建物内に鳴り響く。館内放送だ。
「えー、本日の1戦目の灯東高等学校と、上藤高等学校試合ですが────」
館内に設置された全てのスピーカーが伝えたのは、1戦目の開始のアナウンスではなく─────
「ただいま、灯東高等学校の、メンバー1名負傷との連絡がございました。これにより、予選参加の条件、各校の代表は必ず5名揃える事。の項目を満たせなくなりましたので、灯東高等学校は失格、上藤高等学校の不戦勝といたしまして、予選決勝には上藤高等学校が進出する事になりました────」
ダンッ!!!!
控え室で放送を聴いていた、六花が机を叩きながら立ち上がる。
先ほどまで六花が座っていた椅子も、勢いよく、ガランと音を立て床に転がっている。
「⋯上藤ぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」




