4つの呪い
こんばんは。
遅くなりましたが、怪8スタートです。
1話辺りの文章を増やして、お届け致します。
無事に先日ネットが繋がりました(笑
目の前で起こる事件と、少しずつ動いている?その2つの視点と、
キャラクターそれぞれの視点で物語を進行していると、たまに「あれ、このキャラこんな話し方だっけ」とかなる時があります(汗
そうならないようにだけ注意しています。
長くなるのもあれなので、本編をどうぞ。
1の呪い。雪。
雪歩む者、呪恨を纏い、御光に現る。
一体誰が。
何の目的で。
あの館を創ったのだろう。
2の呪い。雷。
雷打たれし者、呪恨の導き、天へ発つ。
何十年も前から続く、下らない呪い。
今分かる事は、それらを全て、断ち切らなければならないと言う事だけ。
3の呪い。霧。
霧見せられし者、呪恨の手引き、地へ落つる。
そしてそれはここに限らない。
私以外の者も気付き、調べ回っている。
4の呪い。雨。
雨浴びし者、呪恨を悔い、御闇に消ゆ。
しかし憎しみの本質が分かるからこそ、誰よりも先に突き止める事が出来る。
「聞いた事の無い伝承ですね」
ヘリの轟音の中、隣の少女が話しかけてきた。
目元は包帯で覆われ、今か今かと待ち望んでいるだろう。
性悪に全てを壊され、それでも世界を見たいと言った。
とても儚く脆く。
とても強い少女。
ただ一言告げた。
呪われた唄、だ。と。
少女。館華星は、それをどう思ったのか。
本人にしか分からないだろうが、少なくとも私は馬鹿げていると。
そう思った。
「協力させては頂けないのですね」
まだ根に持っているのだろうか。
館華星が犯した罪は、はっきり言ってしまえば罪になるかどうかさえも怪しい。
だから今ならまだ、何もしなければ引き返せると考えている。
私と行動を共にした事について色々と言われるだろうが、脅されていたとでも言ってしまえば。
掛かる時間はさておき解決するだろう。
だからこそ必要な要素は、覚悟。
自分が悪だという覚悟。
全ての世界を自分の目で見て、判断した方が良い。
本当に長い時間、真っ暗でした。
それももう直ぐ、終わるのかもしれません。
目を閉じていても、黒ではない。
目を閉じていても、光がそこにあるのが分かりました。
そして一番素晴らしい場所から、私は世界を見てみたかった。
きっとそれは。
一生忘れないと思ったからです。
ヘリの空中静止なんて、普通は出来る技術ではないと思います。
この一瞬の為に、色々な手配をしてくれたこの方は、多分本当は。
はらはらと、少しずつ外されて行く包帯。
ひんやりとした風が当たっています。
「少しずつ、見開くと良い」
完全に包帯が外されました。
それでも私は、まだ目を閉じていました。
暗闇だった今までとの別れを、少しだけ惜しんでいたのかもしれません。
それとも、この方の合図を待っていたのかもしれません。
「これが。世界だ」
少しずつ、本当に少しずつ。
私の世界を見開きました。
それは雪の世界でした。
光り輝くダイヤモンドの下には、点々と見える町でしょうか。
それはただ。ただ。綺麗な世界でした。
多分、私は今。泣いていました。
私が信じていた世界が、そこにありました。
生きてきた世界には、決して無かった世界が。
確かにそこにありました。
館華星はゆっくりと涙を拭き、そして再度目に焼き付けるように、只管見入っていた。
「良かったです。 ……本当に、良かったです」
世界は、美しくなければならない。
だからこそ、壊す部分もある。
……眠い。
どうして雪が降ってるこのくっそ寒い中、初詣に行かなくちゃならないんだ。
とは言ったものの、何故か由佳が振袖姿だったから何も言えず、コタツから文字通り姉ちゃんに引っ張り出されて今に至る。
毎年行ったり行かなかったりだったけど、由佳が着替え、こうして改まったのは初めてなようなそうじゃないような。
兎に角早く帰ってコタツに入りたい。
そんな俺と、盛大な溜息で返事する由佳。
だから何でいきなりアイアンクロ痛い痛い痛い死ぬ死ぬ!
「うるさい知らないわよバカ!」
眉間を抑え、服装が変わってもゲームみたいに力減少とかのペナルティが無いのが現実世界。
先を歩いて行く由佳が滑って転びそうになるのを辛うじて受け止めると、由佳の顔が間近に見える。
馬子にも衣装とはこの事か。
そんなかっこしてんだから派手に動くなと由佳に告げると、今度はアッパーが飛んで来た。
ホント理不尽。
意味が分からない。
周囲の視線がこちらを向いているのが分かったけれど、皆さんの好意に興味は無かった。
私の番になり、直ぐ隣には目を閉じて合掌している翔太君。
どうして由佳ちゃんまでいるのかは知らないけれど、まだこちらに気付いてはいなかった。
今年は、振り向かせてみせたかった。
その願いが通じたのか、翔太君が気付いてくれた。
「何でいるの!?」
それは当然、貴方がこの日に来る神社は。
1番近いここしかないから。
だから私が来さえすれば、翔太君にある程度の確率で会えるというものだった。
「ストーカーみたいな事しないで下さい!」
そのまま帰るのも何だかと思ったから、3人で御茶屋に来ていた。
翔太だけ普段着で違和感ありまくりだったけど、あたし達の服装が服装だったから我慢してもらう事にした。
「館華星は、理由は知らないけれど、久遠と行動を共にしているみたいね」
……。
本当は2人で来たかったけど、星さんの状況についても、聞きたかったから。
「館華の財閥は、何とか持ち直る目処が立ったようだけれど」
「星さんの事を伏せているから……か」
信じられない。
いや、信じたくないのかもしれない。
星さんが言っていた、音と言う言葉を思い出す。
「それに、秀介の噂が何で広まったのか」
翔太は両小指を絡め、手を口元に当てた。
華音ちゃんには話していない。
それでも、華音ちゃんは翔太やあたしに何があったかを執拗に聞いてくるのは、ただ名誉を汚すような噂の真偽を確かめ、間違っているなら正そうとしているから。
でもあたしは何かそれ以上に。
足元から何かが迫ってくるような嫌な感じを拭えないでいた。
「いずれにしても、進展が全くと言って良い程に無いのは、色々とまずいわね」
「……頼む」
何か出来る事があれば良いけど……。
ふわふわしたような感覚に身を任せる。
「何回も……たんだ」
また。
誰かの声が聞こえた。
目の前が真っ暗になったこの空間で。
「決して……ないんだ」
心臓が高鳴るのが分かった。
理由なんて分からないけど。
「もう、戻れない」
最後の一言だけが、はっきりと聞き取れた。
……すっかり日が暮れかけた夕方の天井。
頭が重く、痛い。
また、身に覚えの無い、夢。
だけど、伝わって来るこの想いは何だろう。
例えて言えば、とても黒い、この思い。
頭を振り、用意された無駄に豪華な食事に少しだけ不満を抱く。
イスに座るとチャイムが鳴った。
こんな時間に私の家に来客なんて。
桜庭さんだろうか。
では無く郵便物だったけど、誰だろうか。
私に?
首を傾げ、預かった封筒を開けた。
驚きで言葉が出なかった。
黒いノートが入っていたから。
有村華音様
吉野翔太と共に是非とも呪恨館での殺人事件を止めに来ると良い。
安心したまえ。
吉野翔太は殺さない。
勿論君も。
だが他の人間を誘ったらその限りではない。
どうして私の元に……?
スマホの連絡を切り、雪が降る外の世界を見る。
殺意は冬と共に思い出される。
刺すような感覚こそ、殺意だから。
君の手で、呪いを断ち切りたまえ。
吉野、翔太。
束の間の休息も、終わった事だろう。
断罪を、始めたまえ。
凍えるような無数の呪いを、1つずつ断ち切れ。




