癖。―壱―
今回は前の二話に比べると、
少しほっとするような話を書いていきます。
…息抜きとか言えない(ボソッ
幼い時、
私はよく母方の祖父母の家へ遊びに行っていた。
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「 あぁー! おじいちゃんまたねてる!!」
祖父の部屋に入ると
畳に横になり、テレビを見ている祖父が目に入った。
てとてと と近づき
枕元に置かれたリモコンを拾ってテレビの電源を切る
ごろりと寝転がって目を閉じている祖父の上に乗っかり 跳び跳ねる私に
「 ……寝てない。」
と、重く口を開けてぶっきらぼうにそう言う。
「 ねてたね!テレビもったいないじゃん!」
「 ……寝てない。」
「 ねてましたぁ! 」
こんな感じのやり取りを繰り返した後に、肩車をしてもらうのが
彼と私の定番の流れだった。
祖父と一緒に常にはしゃいでいたのを今でも覚えている。
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「 今じゃ考えられないけど…… 」
「 懐かしいわねぇ… 」
苦笑まじりに話した私に、
祖母も苦笑いをしながら答えた
その後も、何気ない話は続く
最近どう?とか、 ニュースがどうとか、、、そんな感じの話。
不意に、会話が途切れて
手の中の湯飲みを互いにぼうっと見つめる。
しばし、微睡むような、、
心地良い沈黙を破ったのは祖母だった。
「 そう言えば…… あなたが昔、こっちに来てた時。
一度だけ家出したことあったでしょう? 」
「 そんなことあったっけ? 」
湯飲みの中のお茶の流れに身を任せ
茶葉が同じところをゆっくりとクルクル回っている
「 あったのよ。 それが…
あの時のお父さんの慌てようと言ったら…… ふふっ 」
懐かしそうに目を細めて微笑む祖母の顔を見ながら
脳をフルに回転させて、頭の中をまさぐる。
「 あっ! 思い出した! 」
思い出した。
― そんなこともあったのだ。
私は、記憶の隅にあったその思い出を引っ張り出すと
すっかり埃を被ってしまっているそれに大きく息を吹き掛けた。




