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領主様は転生者 ~え?僕もですか?~  作者: 赤五
幼年期(学塔生活の始まり)
32/48

32.活動編:新年祭1

 教育編は冗長だったので、細かい説明は以降省いて、さくさくと話を進めていきます。

 一応20万文字程度で終わらせる予定ですので・・・

 僕達、第13期候補生が学塔に来てから3か月と二巡りが過ぎた。

 季節は完全に冬だけど、アルケー村と比べると領都は寒くないので過ごしやすい。

 アンは門街の方はもっと寒いと言っていた。

 出不精だったアンの言う事だから、どこまで信じていいか判らないけど。

 レラやアルが言うには、西の方はもっと暖かいらしい。

 アルは兎も角、レラが言うからには間違いないね。


「レオって、俺達に酷くない?」

「まあ、それがレオなのだ」


 そして、この時期にあるのが新年祭。年が変わることを祝うお祭りの日

 それは、僕達が10歳になる日でもある。

 


「ということで、明日の新年の日は領館で候補生達の新年祭の行事として、新年会を行うことになる。

 君達は、学塔の先輩たちと初めて逢うことになるわけだ」


 学塔は領館の周りに6つ建てられていて、それぞれの塔に、年毎に召集された魔法使い候補生がいる。

 僕達が一番新しい年の候補生だから、他の5塔のいる候補生達は全員年上の先輩ってわけだね。

 ちなみに、普段は先輩たちに出会うことは無い。

 なにしろ、僕達の生活は学塔でほぼ完結しているうえ、領館を囲むように建てられている学塔同士の距離は結構離れているから、偶然出会うってことはそうそう無いのだ。 

 

「君達は、既に色々と注目されているが・・・挨拶だけはきちんと行うこと。

 余計なトラブルは無い方がいいだろう?」


 そりゃもちろん。余計な騒動なんて嫌だし。

 でも、注目されるようなことがあったかな?

そもそも知り合ってもいないのにね?


他にもこまごまとした注意や、明日の予定などを説明してくれた後、年末の授業は早々に終わった。

もっとも、この後は学塔の大掃除。

メイドさんだけじゃなくて、僕達も手伝うことになる。

とはいっても、僕達が主にするのは自分の部屋の中がほとんどだから、大したことは無いと思うけどね。


 うん、自分の部屋の掃除は簡単だったよ、自分の部屋はね。


「アン、何をどうやったらここまで散らかせられるの・・・」

「えー、何もやってないのだ」

「だから、駄目なんだよっ!」


 アンの部屋掃除を手伝っていると、夕方になった。

 押入れを開けると、中に詰まっていた荷物が溢れてくるトラップ付の部屋になっているし。

 たった、三か月で床に溢れるほど本があるし。


「家から送ってもらったのと、毎週買ってくるのと、毎週届けて貰うのと、ほら、すぐにこれくらい溜まる!」


 給与のほぼ全額を、本購入につぎ込んでいるのは知っていたけど、さらに実家から送らせているとは知らなかった。

 しかも、あいかわらず全部娯楽本ばっかし。

もっとためになるものを揃えればいいのにね。

 

 結局、レラとアルにも手伝ってもらって、夜までには終わらせることができたけど、とにかく疲れた。


 

 そして、翌日。新年の日を迎えた。

 新年の日から三日間は、休みとなっている。

 街もお祭り仕様になっていて、いろいろと派手な飾り付けとかもあるそうなので、後からみんなで出かける予定となった。

 最近は、街へ出かけるくらいならアンも平気になっているから気楽。

 いまだに、しがみ付いてはくるけどね。

 でも、先輩の候補生達と会うことは、それとは別問題のようで、部屋から引っ張り出すのが面倒くさかった。

 馴染むとあっという間にずうずうしくなるくせに、最初はやたらと人見知りするってなんだろうね?

 

「アンの魂がそうしろと叫ぶのだ」


 叫ぶ元気があるなら、前向きに行ってほしい。


 

 全学塔交流新年会は、領館の本館で行われた。

 全学年と言っても、最上級生である6年目の人たちはいない。

 聞いた話だと、冒険者として西の開拓地で活動しているため不在だとか。

 一応、12歳からは教官の付き添いがあれば実施研修として、冒険者としての活動もさせて貰えるそうだ。興味深い話だ。

 まあ、冒険者の活動なんて、魔獣・魔物相手の戦いが避けられないものだから、十分に実力をつけてからじゃないとヤバいと思う。


 学塔に所属する候補生は、大体一学塔あたり4~6人程度なので、この場に集まった候補生の数は30人程。

 それに担当教官と臨時教官などの教官も含めて60人程度が、全学塔交流新年会の会場に集まっているんだけど・・・


「なんか、妙に見られていない?」


 僕達が新顔なのだから、注目されるのはわかるけど。

 それにしても、探るような視線が多すぎる。 

 アンは視線に怯えて、僕の後ろからしがみ付いてくるし。

 せっかく、治りかけている対人恐怖症が再悪化したらどうしてくれるんだ。


「本当に黒髪の子が・・・(ざわざわ)」

「あれが、新式の魔宝晶石・・・(ざわざわ)」

「聖属性持ちが二人もいるって本当か・・・(ざわざわ)」

「なによ、大したこと無さそうじゃない・・・(ざわざわ)」


 僕達、見世物じゃないんだけど。

 そんな居心地の悪い中、全学塔交流新年会は始まった。




 白い髭が印象的な教官代表の話が最初だった。

 長い話は嫌だなあと思っていたら、あっさりと終了。

 そして、学年が上の候補生から名前と簡単な自己紹介が始まった。

 とりあえず、全員の顔と名前を覚えておく。

魔力感知で見えた魔力の波動と一緒だと、他人の顔や名前が非常に覚えやすい。


「そんなこと出来るの、レオぐらいだぞー」


 そんなことは無いと思うけど。まあ、アルじゃ無理か。

 そして、僕達の番。

 前の人たちと同じように、名前を言って簡単な自己紹介をした。

 アンが挙動不審になりかけたりしたくらいで、特に問題なく終わった。

 その後は、立食形式での食事会。

 いつもの食事より、豪華な料理が多い。

 最近、領主様が売り出した味噌を使った料理もあった。

 僕達、子供は飲まないけど、果実酒は蒸留酒も置いてある。日本酒はまだ出来ていないそうなので無い。

 僕が飲める年齢になるまでに、出来上がるといいなあ。

 などと考えつつ、食事。

 食べ盛りな子供が一杯だから、早く食べないといい物が無くなるかもしれないし。

 

「ちょっと、いいかしら」


 そうしたら、邪魔をする子供が一人。

 

「おお、悪役顔―」


 そりゃ、金髪縦ロールだからね。でも、発言は自重しようよ、アン。

「あ、悪役?」


 キョトンとしているのは、たしか僕達の二つ上の学塔の女の子。

 名前は、リリー・トウゲン。

 間違いなく、領主様の娘なのだから。


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