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第38話 絶望の深奥で、君に手を伸ばす

風の神殿への出発が決まり、仲間たちはそれぞれの特訓の成果を胸に進み出す。

魔法剣を完成させた世未とジョー、そして仲間たちの連携が試される戦いが始まる。

それぞれの想いを胸に、神殿の深部で待つ強敵との対峙へ――。

 翌日、街を出る際に、風の神殿の位置を確認するため地図を広げた。

 森の中心に神殿があると分かり、私たちは移動を開始する。


 森に入ると道が枝分かれして迷いそうだったため、道端の石で木に目印を付けながら進んだ。幸い迷うことなく神殿に辿り着いたが、入り口から見ても森とは違う空気が漂い、高レベルのモンスターの気配があった。私たちは慎重に奥へと進んだ。


 神殿の深部に入った瞬間、空気の冷たさに緊張が走る。

 帝国兵が6人で警備していたため、不利になるのを避けるべく、近くの木材を使って3人を別方向へ誘導し、各ペアで連携して戦った。


 ジョーと私は「焔剣・紅蓮閃えんけん・ぐれんせん」を放つ。

 炎の魔力を纏った剣で敵の盾を溶かし、鎧の隙間ごと断ち斬った。


 アディとルロンド隊長は「風牙裂衝ふうがれっしょう」を放つ。

 槍と剣が交差する瞬間、突風のような鋭い斬撃が敵を切り裂く。


 ラトとディーンは「水華連弓すいかれんきゅう」で、強化した水の矢を正確に急所に命中させた。


 連携の成果で帝国兵は難なく制圧され、残りの3人も同様に仕留めることができた。


 戦いの後、私たちは風の石を探して深部を進んだ。

 そこには水の神殿に似たモニタールームがあり、枝が絡まり合う中に風の石が収まるような窪みを発見した。しかし石が見つからず、帝国兵が落とした可能性を考え、手分けして捜索を開始した。


 すると、不意に光の反射が視界をかすめた。

 振り向いた私の背後には、下半身が蛇の女性型モンスターがいた。

 一人は冷たい目でこちらを見下ろす、姉のような風格のある女。

 もう一人は、なめ回すような視線で笑う、妹のように甘えた口調の女。


 瞬時に、妹のような方の尻尾が私の体を拘束し、動けなくなる。

(しまった……!これじゃ助けも呼べない)


「この娘、しぶといな。首を……ねじ切ってしまおうか?」

 姉のような女が冷ややかに言い放ち、

 妹のような女が笑いながら制した。

「お姉様、少しは遊ばせて。この子、気に入っちゃった♡」


 圧迫される体、走る痛み。

 悲鳴を上げる寸前、モンスターが別の悲鳴を上げた。


「ワタシの大事な尻尾が……貴様、許さぬ……!」


 ジョーの剣が炎を纏い、モンスターの尻尾を焼き斬ったのだった。


「よくも世未を……ッ!!」

 彼の怒りと焦りに満ちた声に、私はようやく安心を覚えた。

 皆も駆け付け、私はなんとか身を起こした。


「皆気を付けて!このモンスター、知恵があるの!」


 その直後、もう1体のモンスターの尻尾が私をはたき、転倒する。


「リリス。この娘、しぶといな。殺してしまおうか?」

「ラミィお姉様、お待ちになって。私の体を切り落とした奴ら、許しませんワ」


 そのとき、ラミィの目が妖しく光り、冷たい声が響いた。

「逃げられると思って? ――《メデュシア・グレア》」


 ラミィと目が合ったアディの体が硬直し、石化が始まる。


「アディ!!」

「ふふ……すぐには殺さないわ。ただ、“動けないだけ”。」


 皆が一瞬、恐怖と焦りで動揺したが、ルロンド隊長が冷静に指示を飛ばした。

「ラト、援護を!ディーン、アディを頼む!」


 戦線は再編され、ディーンがアディの保護に回る間、ラトが前線へ。

 ルロンドが1体の尻尾を切断すると、モンスターの動きが鈍った。


「こやつら、私の尾まで……! リリス、いくぞ!」


 2体は怒り狂い、素早い連携で攻撃を繰り出した。

 ラトの矢が1体の目に命中し、ルロンド隊長が「風牙裂衝」で斬撃を浴びせる。


 ラミィがリリスに肩を貸されながら後退すると、モンスターたちは影の中へ姿を消した。


 その瞬間、カラン……と砕けるような音が響き、アディの石化が解けはじめた。


「……あ、動ける……?」

「アディ!!」

 駆け寄る皆の腕の中で、アディが安堵の笑みを浮かべる。


「ふふ、心配かけたね。ちょっとふらつくけど……平気」


 静寂だけが、神殿の一角に満ちていた。

 皆が無事だったことに、胸の奥からじんわりと温かいものが広がる。


「……終わった、んだよね?」

 ジョーの呟きに、私は頷く。

「うん、みんな……ありがとう」


 その場にいた誰もが声には出さなかったが、互いの存在が大きな支えだったことを感じていた。


 床に落ちていた何かが、月明かりに照らされて光っていた。

「……あれって、もしかして?」

 その声に、皆の視線が集まった。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

仲間たちの絆や世未の成長を、少しでも感じてもらえたら嬉しいです。

次回もどうぞ、お楽しみに──!

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