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開かずの塔のダンジョンマスター  作者: てぃる
グレたコアとダンジョン強化
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もう食べられるようになったかい? なまこ

「鏡の迷宮、ですか」


「すごいわね。こんなにも歪みのない鏡、神界でも中々お目にかからないわ」


 二人はコロの部屋から階段を上がると、茫然と立ち尽くした。


「目がチカチカしますね」


「浮かんでるのは、ウィルオーウィスプね」


 二人はお互い頷き合うと、周りに気を付けながらゆっくりと歩みを進める。


「分かれ道ね、マッピングは?」


「準備しています。ここは右に行きます」


「分かったわ」


 前衛はミリア、後衛がフィーの布陣だ。ダンジョン攻略を本気でするには少ない人数だな。


「………ウィルオーウィスプが多いわね、鬱陶しいわ」


「そうだな。攻撃してくる訳じゃないから問題ないが」


「きゃっ!」


 話しながら歩いていると、ミリアが画面から姿を消した。


「おかえり」


「…ただいま戻りました」


『お早いお帰りだな!』


 尻もちをついたままの状態のミリアがこっちに移動。


 ミリアに手を貸し、立ち上がらせる。


「また行くかい?」


「はい、今ならすぐにフィリアーネに合流出来ますから」


 即座にコロの部屋に移動するミリア。


 モニターを2つに分けて、それぞれを眺める。


「さて、二人は無事に合流出来るかね」


『…無理みたいだな』


 フィーがこちらに転がってきた。


「ぬう」


「お帰り、ミリアはもう出たぞ」


「追いかけます!」


「いってらっしゃい」


 今度はフィーがミリアを追いかける。


 フィーがコロの部屋に到着。


「フィリアーネ! どこよフィリアーネ!」


 一番最初の分かれ道、右に入ってすぐのところでミリアがフィーを探すべく声を上げている。


「ミリア! そこにいましたか!」


「…なんで後ろから来るのよ」


「私も落ちまして」


 お互い顔を合わせて、無事に合流が…出来ないっ。


 フィーが透明な壁にぶつかり、頭を押さえている。


「ガラス? なんて透明度の高い…」


「いたた…分断されてしまいましたね」


「仕方ないわ。私は先に進む」


「私は戻って反対側に向かいます、分かれ道はなるべく左に曲がってください。上手くいけば合流できるかも知れません」


 二人は頷き合うと、お互いに踵を返す。


「お帰りミリア。さっきと同じ穴にまた落ちたね」


 その瞬間に落とし穴に吸い込まれるミリアだった。


 ちなみにコアがコロの相手をしながら大爆笑している。


 ずるい、オレは笑いをこらえているのに。


「つつつ…はっ! またですかっ」


「うん。一度落ちた穴の場所くらい覚えようね」


「お恥ずかしい限りです。再度行って参ります」


 顔を赤くしたミリアが足早に移動。


「フィーは頑張ってるな」


 手に何か光の魔法を宿らせて、慎重に前進していく。


「フィー、その魔法何?」


 コアを通じてフィーに質問をする。


「この魔法はトラップサーチャーの魔法です。罠に近づいたら教えてくれます」


「ほ-、便利だな。まあ頑張ってくれ」


 そして。


「お帰り、ミリア」


「うう、我が主…もうめげそうです」


「少し待ってれば? 多分フィーも戻って来るだろうし」


 そういうと、ミリアはオレと一緒にメインモニターに目を向ける。


「…罠ですね、リフテッド」


 フィーが罠解除の魔法を呟いた瞬間、フィーの周りで激しい閃光が走る!


「ぎゃあ! 目が!」


「目が! 目がぁぁぁ!」


「きゃあああ! 目! 目! めえええええええ!」


 ウィルオーウィスプの閃光を近距離で浴びたフィーと、モニターに注目してたオレとミリアが叫び声を浴びた。


『うははははははは!!』


 そして響き渡るコアの大爆笑。


『ま、ますたーが、ますたーが! 自分で作った罠に…くくく、うはははは』


 ウィルオーウィスプが弾けるとは…。


「くそー、まだ目がチカチカする」


「恐ろしい罠だわ」


「まさか、ウィルオーウィスプにやられるとは」


 いつの間にか戻っていたフィー。


『眼やられた後よろめいて、動く床を踏んでそのまま運ばれて落とし穴にぼっしゅーとだったぞ、ぷくくくく』


 いま笑ってるのはフィーに対してだよな! そうだよな!


「うあー、まあ無事合流出来て良かったじゃない」


『まだやるかー?』


「ええ、私たちはこの程度では諦めません」


 今度は二人揃って転移陣に入り、再びコロの部屋に。


「コア、サングラス出して。プラスチック製じゃなければ出せるでしょ」


『了解、でもマスター、目がー目がーって。ぷくく、どっかの大佐みたいだったぜ? 』


「お前、ジ○リにも手を出してたのか」


 世界レベルのネタに付いていけるコア。


「さて、今度は慎重に進んでるか?」


 少し重みのあるサングラスをかけて2人を見守る。


 2人は鏡にぶつかったり、ガラスに行く手を阻まれながらゆっくり歩いて進む。


「あ、光った」


 2Fの迷宮、その前半部分から中間に差し掛かるころになると、2人の周りにはウィルオーウィスプの亜種が多くなっていく。


 通常のウィルオーウィスプと違い亜種は魔法の反応に寄りたがる習性を持っているらしい、だが通常のウィルオーウィスプと同じで魔力にある程度近づくと激しい閃光と共に力尽きる。そして亜種のウィルオーウィスプが閃光を放った時に発生する魔力反応は通常種よりも強い…つまり。


「わー、すげえ派手だな」


 強烈な閃光が鏡に反射し続け、画面全体が光源に見える。


「…戻りました」


「おかえり」


 そして閃光で目をやられ冷静さを失ったミリアが帰還。


 続いてフィーも戻って来る。


「一人では解除できない罠を突破出来ないですね…」


 悔しそうにフィーが唸る。


 そうして再び二人で仲良く2Fに戻ると…。


「わーー!!」


「きゃあ!!」


「目があああああああ!!」


「ぐああああ!!」


「ひいいいいいい!!」


「目えええええええええ!!」


「ゆかああああああ!!」


「かべえええええ?!!!」


「ダメえ! ナマコはあ! ナマコだけはダメえ!!」


「正気に戻りなさい! 叩くわよ!」


 半日近くもの間、指令室と2Fを行ったり来たりし続ける事に。


「「 ギブアップで! 」」


 お疲れ様でした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 壊せないミラーハウスは結構キビシイよね。右手ついて~、とかで時間かけて頑張っても落ちるんだよなー。
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