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あと10件でぶくま1000だよーい♪
「あなたが新人マスター?」
黒いドレスに身を包んだ小柄の女性。
髪の毛がすごい長い。あと顔を覆っている白い無地のマスクが怖い。せめて目とか付けて。前見えるの?
「シ、シエンタ様……」
ミルフィが上ずった声を上げた。
「シエンタ様……魔女シエンタ様?」
「そう、よろしく」
握手? 手を出してきた。
「よろしくお願いします。新人の斎川歩です」
手を握り返す。
「あなたが変なことしだしたから、謁見中に神々の興味がそっちに行った……まだご挨拶していない神様もいたのに」
「いたいいたいっ!」
ギリギリと手が握られる。
ゴリゴリしないで!
「ご挨拶しきってないのに……」
「ごめんなさい! ごめんなさい! 離してっせめて緩めてっ!?」
謝ったら握りが緩くなった。でもガッチリホールドされてて動かないっ! 離せないっ!
「……経過は執事長から一緒に聞いた。あんな事が裏で起きてたら、神々の興味がそっちに行くのはしょうがない。でも、せめて私の謁見が終わった後でして欲しかった」
また強くなってきた!
「うきゅう……」
変な声出ちゃったよ!
「変な声出さない。君が一方的に悪いって話じゃないのは分かってる、でも原因を作った連中を許す気は無い」
仮面のせいで表情わかんないから怖いよこの人!
「いい? 負けたら君のこと、ボコるから。ヌルく終わらせてもボコる。徹底的に、二度とこの夜会で連中が増長しないようにして?」
「ええ。それは……」
「条件を付けて戦って? どうせ連中は新人に大した手駒がないと思ってる。そっちの妖精はぼちぼち化け物だし。そっちの混沌もそこそこ……まあまあ? 化け物」
「はぁ」
って! オレの返事にまた力が強くなるっ!
何なのこの人っ!
「気のない返事をしない。いい? 連中をぼこぼこのケチョケチョのもふもふにするの。特にあのパンダ、笹あげたい。かわいい」
「はいっ! はいっ! 分かりましたっ分かりましたからっ! 痛いっ!」
「それと、あなた達」
「「「 は、はいっ! 」」」
3人にシエンタの視線が行く。
すげえ、全員背筋が伸びたよ。
「あなた達の手出しは許さない。足手まとい」
「「「 え!? 」」」
「トドのあなたと精霊のあなた、従者のレベルがなってない。もっと進化させた子を連れてきなさい」
「「 はいっ! 」」
「豚」
「ぶひっ!? 妾の事!?」
「あなたはそもそも信用できない。ダメ」
一方的に決めつけたよこの人っ!
「斎川さん、夜会で他のマスターに気を許しちゃダメ。いくら格下でも、徒党を組まれると……問題ない。けど、めんどい」
「ええ……?」
「連絡先、ちょうだい」
「あ、はい」
オレは左手を出す。
向こうは手を離して、胸のブローチを外し振り出した。
「ふるふる?」
「うちのコア少しボケてるから振らないと起きない」
「コアってボケるの!?」
オレの口から思わず出た声に、シエンタの肩が少し震える。
「ん、交換出来た。ちゃんとボコるのよ? 出来なかったら……」
ごくり。
「……その時に教えてあげるわ。生まれてきたことに対する謝罪の仕方を」
「存在そのものを否定っ!?」
魔女怖いっ!
「…………ふふ。たのしみ。部屋に戻るわ、またね?」
「「「「 ひぃ 」」」」
不敵な笑みを浮かべてそうだ! 表情分かんないけど!
 




