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ようやっとマスターらしい仕事開始。
「それで、だ。いま出せる魔物で一番ステータス的に頼りになるのはどいつだ?」
『銀龍だ』
銀龍? オレのペナルティの要因の片割れか?
「あいつココで死んだのか」
『死んで亡骸を回収した後にペナルティが執行されたからな。神気をまとった龍は出せねーが、魔物としての銀龍は出せる』
「必要ポイントは?」
『1億だ』
「無理だな」
今日のポイントだと、簡単に計算すると40日。そんなにこの塔はもたない。
「やはり攻略に時間のかかる迷宮型にするか…」
『そうするのか? 街に魔物放しまくれば片付くじゃねーか。DPもがっぽがっぽだぞ』
「狼の時にも話したけど、いまオレが作れる魔物で対抗しきれるか?」
今日から作れるようになった魔物はかなり多い。
日中に一生懸命にらめっこしたけど、550DPでどうこうなる物でもないから流し見程度だ。
『人食い鮫でいいじゃねえか』
「だからどこに海があるんだよ…」
侵入者がいる階層を大幅に修正は出来ない。魔物を呼び出して塔から送り出さなければならないのだ。
しかも、送り出す場所から逆に侵入されたら目も当てられない。
『使えねえマスターだ』
「だったらもっと良い案を出せ、使えねえコアだな」
『………』
「………」
ちなみにコアはコアルームに安置したままだ。
指令室に沈黙が走る。
『マスターは異世界人だろ? 向こうの世界でなんかいい感じのダンジョンなかったのかよ』
「オレの世界にダンジョンなんてねーよ」
実際にはあったのかも知れないが、少なくともオレの知っている限りでは無い。
「とりあえず1Fを迷路にするぞ。出来れば空間の拡張もしたいが…」
マニュアルのダンジョン作成欄を確認。塔の中でありながら、本来の塔の広さを超える空間として作成する事が可能だ。
「500万ポイントは無理だな」
『了解だ。迷路の壁は塔の壁と同じタイプでいいか?』
「おう」
『罠はどうする?』
「特盛で」
『具体的に言え、カス』
「すべての分かれ道に矢とか落とし穴とか…」
『他には?』
オレはマニュアルの中の罠の欄を開く。
「えーっと、鉄球の罠と毒ガスの罠と痺れガスの罠。ワープに眩暈、水攻め袋小路、動く壁・揺れる地面…」
『毒ガスと痺れガスはデータとしてあっけど、現物を入手したことがねーから作成できねーよ』
「使えねえな」
『死ね。水攻めは罠も流すぞ。あと揺れる地面は塔も揺れるがいいか?』
「それはきついな、その2つは却下だ」
『魔物はどうする?』
「魔物も罠にかかるんだろ? じゃあダメじゃね?」
『味気ない物だな。もっと血沸き肉躍る感じにしようぜ!2Dの横スクロールアクションのえげつない足場のステージとかやりてえよ! ロック○ンとかスペ○ンカーとか』
毒されてるなぁ。
「マリ○でもそこそこの難易度ステージがあるぞ」
『マ○オもバカには出来ねえな、アプリ版のマリオ○ーカーは時間泥棒だったぜ?』
「お前150年も何やってたんだ…」
楽しみやがって。
『でも確かにそうだな。今のままじゃ味気ない』
「…ワープの罠はどうだ?」
『…気づきやがったか。今は使えねえぞ』
「気づいた? 今はって事は…おいコア、取得条件教えろ」
『言いたくねえ』
「め い れ い ♪」
『キモい! くそ、転移の罠はマスターがダンジョン内で自在に移動できる限定空間魔法の取得が条件だ』
「何DPだ?」
『…50万DPだ』
「取得だ。これでオレは最悪街の中に姿を眩ませる事が出来るって訳だな!」
『糞が! これでこの糞マスターが逃げ回れる様になりやがった!』
「ふははははは! 何とでも言うがいい! 」
『一応言っておくが、敵を目の前にして転移はできねーからな』
「わかってるよ、敵の目の前にも転移出来ないんだよな」
ダンジョンマスターとして戦う際には使えないらしい。
『同じ1Fの中で3つの層に分けて立体的な迷路にするぞ。そうすりゃ2層3層で落とし穴が使える』
「そうしてくれ」
『この広さでがっつり壁とかを作成すると、合計で22600DP使用だ』
ああ、空間の拡張やりたいなあ。
「出来ない物は仕方ないか、やってくれ」
『作成するぞ、出来た。無駄に広いから人間が攻略するには相当時間がかかる。水源ポイントも設置しないといけない決まりだから3カ所あるのが気に食わねえがルールだ。しょうがねえ』
過激な事をおっしゃる。
「次は2Fだな。2Fは1Fを突破した猛者を1Fに返す為、戻す転移の罠を大量に配置だ」
『どんな内容にするんだ?』
「基本は1Fと同じ迷路の構造にするが、壁は基本鏡にする。罠は移動する壁・落とし穴・回転床・動く床、飛び出す壁だ。動く壁は鏡と透明度の高いガラス。壁も一部をガラスにしてくれ」
いわゆるミラーハウスだ。
『動く床の先に落とし穴、でその落とし穴の中に1Fの入り口に戻る転移の罠か』
「そうだ。だが1Fじゃなくて塔の外、丁度塔の周りに柵が敷かれてるからその内側にランダムで出現するようにしてくれ」
ついでに柵の内側を石畳みにして建物を建てられない様に変更。人が近くにいるから本来よりも多めにDPが必要らしい。
「幻惑胡蝶とウィルオーウィスプ、ウィルオーウィスプの亜種? これもいいな。採用採用。それぞれの召喚陣を大量に設置だ。ウィルオーウィスプ達は低い位置に、幻惑胡蝶は天井付近に配置。それと天井付近に幻惑胡蝶が生活しやすいように植物の配置。植物が育つように照明とスプリンクラーも設置だ。それと天井付近で穏やかでいいから風を吹かせておいてくれ」
魔法陣はそのダンジョン内に指定したモンスターをランダムでポップさせるモンスターギミックだ。
幻惑胡蝶はこの街が平原だった頃に作成できるようになっていた幻惑蝶の上位モンスターだ。オレのレベルが上がったから上位種を召喚出来るようになった。
ウィルオーウィスプは初期のころから召喚出来るダンジョン内で明かり代わりにするモンスターだ、衝撃を受けたり近くで魔力を感知したりすると強烈な光を放って消える儚い魔物である。
『鏡の壁って相当DP食うぞ? それに召喚陣に転移の罠、DP足りるか…全然足りるな』
「大丈夫だ。この鏡の迷宮は最高の時間稼ぎになるぞ」
『合計して78100DPだな。2Fの改装を開始だ。完成だ。マスターのレベルが70になったぞ』
限定空間移動が痛かったが仕方ない。必要経費だ。
次は3F作成だ。1,2Fの攻略で疲弊した連中を叩き返す強力な魔物を設置したいな。




