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心を一つに。
『マスター、緊急事態だ! マスター! 』
夜中の…何時だ? わからんが、コアによって叩き起こされた。
「なんだコア、オレはもう腹いっぱいで食えねえぞ」
一人で満漢全席を食べるにはオレの胃袋は小さすぎた。
でも象の鼻って美味いのな。なかなかの噛み応えだった。
「…まさか塔が攻略されたか。そうか、世話になったなコア。150年も一人でありがとう、昼間はあんな事言ったけど、お前の事は助けて貰えるようにお願いするよ」
こいつはオレに文句を言いながらも、150年なんて途方もない時間このダンジョンを支えてくれたんだ。
最後くらい助かって貰いたい。
『おう、頼んだ。ってそうじゃねえよ! 塔の入り口は…ああ、わかんねえんだった。それよりDPだ! DP入ったぞ!』
「地脈からのDPだろ? 1000DPくらいって言ってたじゃないか」
ドラゴンのブレスで地脈が乱されて、まだ完全に回復してないってコアが言ってた。
『ちげーよ! 侵入者と魔物の回収DPだ! 聞いて驚け! ざっと250万DPだ! 250万だぞ250万!』
「にっ!?」
250万!? 初期値の25倍だと!?
「…侵入者…ていうか、街の住人からか」
『あいつらダンジョンに滞在してるからな! マスター不在のせいで地脈からしかDP獲得出来なかったから忘れてたぜ!』
大事な事だろ!?
「ぬぐぐ、まあ150年ぶりじゃしょうがないか。よし、DPが多いことに免じて許してやろう」
『ぐぬぬ。うるせえマスター! で、だ。どうすんだ!? なんかエグイ魔物呼び出すか!? これだけのDPならば街をゴブリンで埋め尽くすことだって出来るぜ?』
「街の人間を蹂躙するのは待て。それよりも情報が知りたい。ダンジョン監視ネットワークを作成だ」
『お!? おお!! キタキタキタ! いきなり5万も使うとか太っ腹かよマスター! 信じてたぜ!』
日中死ね死ね言ってた奴の手のひら返しが酷い。
「それとこのフロア、ナラヴィー様の祭壇を一番奥に移動させてコアルームとオレの部屋の間に【指令室】を作るぞ」
昼間歩いたらなんか祭壇が出来てた。配置が気になるから移動させる。
この時間になっても塔に人が入って来た形跡が無い。色々と情報が知りたい。
『指令室のグレードは?』
「10万DP使って出来るだけ豪勢で便利な部屋に。ダンジョンモニターも多めで頼む」
『出来たぜ! 全部で85000DPだ! 監視網も混みで135000DP使ったぞ!』
早速移動してみる。
「まさかの松本部屋!!」
部屋全体は薄暗い、だが壁や天井には何を示しているのか分からない丸い計器類がいくつも怪しく光る。
マスターであるオレの席から見て、真っすぐ視線の先には超大型モニター!
さらば地球よとか思わず歌いだしたくなるような第一艦橋に近い室内だ。
『内装を拘ったぜ!』
「素晴らしい出来だ。塔の入り口付近を映してくれ」
『了解だ』
艦長席に座り、そこに置いてあった艦長帽子を被る。
うむ、手元の机にもサブモニターか。タッチパネルにもなっているとは素晴らしい。
「よいセンスだ、この部屋にあった制服も今度作らないとな」
DPに余裕があるのは素晴らしい。こんな小粋なジョークも言えるようになるんだからな。
そんな事を考えつつ、メインモニターに視線を向ける。
メインモニターに映されたのはこの街の力自慢達だろうか。
かなりの人数が塔を囲んでいるのが見える。
深夜なのだが、そこらで松明やら光の魔法っぽいのが付いてて結構あかるい。
「やっぱ突入してくる感じか。準備が完了次第突っ込んで来そうだな」
『配布ポイントを超えてポイントを使ったからな、マスターのレベルが一気に54まで上がるぞ! 』
「レベルなんかあったの!?」
『あ? 詳しくはマニュアル読め』
「あんな分厚いの全部読めるか! てかそれどころじゃねえ!」
『だな。外にいる連中の血走った目といったらもう…』
確かに、どいつもこいつも鬼のような形相で塔を睨んでいる。
「音も拾うか」
無造作にミュートを解除して声も聴いてみる。
「くそったれのダンジョンマスタアアアアアアアアアアアアア!! 俺のモンスターを返しやがれええええええ!! 」
「親父の遺体をどこやったああああああ!!」
「彼を返して! まだお別れも済んでないのよ!」
「素材かえせえええええ!! 勝手に持っていきやがってええええええ! ぶち殺してやるううううううう!!」
「いるのはわかってんだよ! 昼間顔出しただろうが! そのツラ拝ませろ!!!!」
「○○○して○○○○して○○して○○してやる! ケツだせこらああああ!!」
「「「「 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 」」」」
オレはそっとボリュームを落とす。
「…どゆこと?」
『あれじゃねえか? ダンジョンに置かれた死体はこっちで吸収するから』
「なるほど」
ポン。と手をたたくオレ。
『今までマスターが寝てたから回収の機能が使えなかったけど、起きたからな』
「つまりアレか。地面に置いてあった死体を自動で回収するアレか」
『ソレだ』
……… ヘイトが上がってないか?
「コア、提案があるんだ」
『マスター、あたしからも提案だ』
「『塔の強化をしよう』」
ペナルティ明けで初めて、オレとコアの心が一つになった。




