星を包む金銀の光雨
「じゃあ優星くん、そのまま肩の力を抜いて、目を瞑って。浮かび上がってくる言葉を素直に受け入れてね」
「あ、はいっ」
「…よし、始めてくれ、愛美」
愛美に言われたとおり、優星は肩の力を抜き、目を瞑った。それを確認した李土は愛美へ合図し、彼女も詠唱を始める。
「――…眠れる星の神たる器になりし武具よ。ここに新たな星守の戦士が名乗りを上げる。その勇敢な意志に応え、その名、その姿を彼の者に示せ…――」
愛美によって丁寧に紡がれた言葉に反応し、優星の足下から、光の粒がふわりとゆっくり舞い上がる。そして徐々にその光は、優星の体を包み込むように回り出した。視界を光が遮り、愛美たち生徒会のメンバーが見えなくなっていく。完全に光で覆われた優星は、浮遊感のような、水中に沈んでいくような不思議な感覚に胸が高鳴っていた。そして空を仰ぐように、ぼんやりと先ほどの愛美の詠唱を振り返っていた。
(…星の神たる器って、そのまま星神器のことだよな…星守…ってどういうことなんだろう……俺の、星神器は――…)
――『星雨』。
「…えっ!?」
突然頭の中に、自分とは別の声で、聞き慣れない単語が流れ込んでくる感覚。それに驚き、気付いたときには自分を包み込んでいた光は消え、尻餅をつく形で陣の中に落ちていた。生徒会メンバーも、その優星の姿に愛美や沙月は心配そうに駆け寄り、他の面々も少し驚いた表情を見せた。さほど時間が経っていないことはわかるが、一体何が起こっているのか、理解が追いつかない状況である。しかしいつまでも尻餅をついている訳にもいかず、優星は慌てて立ち上がり、背筋を伸ばした。
「優星くん、気分は悪くなってない? 大丈夫?」
「ふらついたりしない?」
「あ、あぁ大丈夫…です…急なことで驚いちゃって…」
「…それでどうだ? 何か浮かんできた言葉とかあるか?」
こんな時でもやはり冷静な李土は、優星に問いかける。その問いにいまいちピンとこなかった優星だったが、思い出したようにはっきりとその名を告げた。
「あっ! 誰の声かわからないんですけど、急に頭の中で星雨って聞こえて…」
「星雨、だと…?」
「? はい」
「……まずいな…」
「え…?」
「あぁ、いや、何でもない。そしたら、その星雨が優星、お前の星神器の名だ。これから、完全な武具として発現させていく。これが終われば、次は戦闘に慣れるための訓練だ。いいか?」
「…っはい! よろしくお願いします!」
一瞬、李土の表情に曇りが見えた気もするが、その時は特に気にせず次の課程へ進んでいった。しかしその時、李土だけでなく、その場にいた優星以外の全員が、焦りと不安の入り交じった表情をしていたことを、優星はまだ知らなかった。そして何より沙月が、微かに肩を震わせていることも、知る由もなかった。




