表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なつみの、ひとりごと日和  作者: ひまわり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
65/68

ちゅんちゅん学校へようこそ

夏美がバイトへ向かう途中、ちょっと遠回りして通る路地。


あそこの塀にはよく、すずめがいる。

今日もいた、三羽。ちょん、ちょん、ちょん。小さく跳ねながら塀の上を移動している。


「かわいいな〜、ちゅんちゅん…」とつぶやいた瞬間、

ふわりと風が吹き、夏美の視界がふっとぼやけた。


気がつくと、目の前には――

ちゅんちゅん学校の立て看板。


「え……?」


足元を見ると、夏美は自分がちいさくなっていた。

塀の上にちょこんと立ち、すずめたちと同じ目線にいる。


「ようこそ〜!ちゅんちゅん学校へ!」

帽子をかぶったすずめの先生が羽を広げて迎えてくれる。


「え?え?私、どうして…」


「今日の見学者だね。さあ、案内するよ」


すずめたちの世界。そこは、木の枝をつなぎ合わせた教室や、落ち葉のプール、雨粒でできた水たまりの鏡。

「すずめの学校は山の中〜♪」と、みんなで歌いながらお遊戯が始まる。


ちゅん太:「まずはお辞儀の練習から〜!みんなで“ぺこりちゅん”!」


「ぺこりちゅん!」

一斉に頭を下げるすずめたち。なんともかわいい。


ちゅん美:「つぎはお昼の時間〜!どんぐりクッキーに、いなごのスープ〜」


ちゅん吉:「いなごは苦手〜、でも今日のはいけるちゅん!」


夏美の目の前に小さなお皿が出される。どんぐりの器に入ったごちそう。


「どうぞ、おためしください、ちゅん」


ためらいながらも、ひとくち――

「わ、意外とおいしい……!」


昼食の後は、空の運動会。

みんなで一斉に羽ばたいて、青空を輪になって飛び回る。


ちゅん太:「ちゅんちゅんエイトのフォーメーションでいくぞー!」


ちゅん美:「了解ちゅん!」


輪を描くすずめたちの中に、夏美もまざっている。

風を切る音、雲の近さ、胸がどきどきする。なんだか夢みたい。


そう、これは夢なのかもしれない。


「夏美ちゃん〜、そろそろバイトの時間じゃない?」


ちゅん先生がふんわり言ったそのとき――


また風がふわりと吹いて、視界がもとにもどる。


夏美は、いつもの道のいつもの塀の前に立っていた。

あのすずめたちは、まだ塀の上でちょんちょんしている。


「……夢だったのかな」


でも、手には小さなどんぐりの殻がひとつ、残っていた。


夏美は笑った。

「ちゅんちゅん学校、また見に行こ」


そしてバイトへ、ちょっと軽い足取りで歩き出した。

いつもの道にいる、いつものすずめたち。

でも、もしそのすずめたちに小さな世界があって、

ちゃんと学校に通っていたら……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ