第20話 今週も頑張ってね!♡
「和…くん……きて…」
朦朧とした意識の中で、誰が呼んでいるような気がする。これは夢の中か?それとも現実か?どっちだ? 瞼が妙に重たい…まだ眠い。だが、睡魔から俺を引っ張り出してきたのは、はっきりと彼女の声だった。
「和樹くん、起きて」
俺の体に手を添え、軽く揺らしながら、起こそうとしている。瞼は開いてないが彼女が朝から可愛いのは分かる。
「う、うん〜、後、ちょっとだけ…」
しかし、俺はまだベットから出る事が出来ず、雫が立っている側とは反対側に寝返りを打った。
「あ、また寝ようとする。も〜、しょうがないな…」
後ろから雫の気配が消えた。きっと、諦めて朝食の用意にでも行ったのだろう。
それはさておき、二度寝という物はなんでこんなにも気持ちいいのだろう?本来ではあまり、発揮しないベットの眠気パワー(?)が存分に発揮されている気がする。
「じゃ、失礼しますね〜」
ゴソゴソ、
ん?なんか、ベットの空いている隣が動いている気がする。ベットも微かに揺れている。だが、今回は声がよく聞こえない。
「は〜い、和樹くん、捕まえた〜」
何かに頭を掴まれている気がする。
「そ。し。て。和樹くんをお姉さんの胸に…えい」
あったかくって、柔らかい。さっきまで使ってた枕なんかよりもよっぽど良い。眠気が倍増してしまう。
「あはは、和樹くん、赤ちゃんみたい。お姉さんもっと甘やかせたくなちゃう♡」
何か声も聞こえるが、その声すら、優しくて凄く安らぐ。
「じゃ、後、10分だけね?よしよし、なでなで」
もう無理だ。おやすみ。
〜10分後〜
「はーい、もうおしまい。今度こそ起きて和樹くん」
「んーん」
凄く長い時間にも感じられて、二度寝もこれで終わり。しっかりと寝れたおかげか分からないが、今回は早めに起きれた。
「うーん、おれ、雫?さっき起こしに来て、帰ったんじゃ?
目を擦りながら、目の前にいる雫に問いかける。
「いや。その後、私もベットに入って、和樹くんの隣に横になって君を寝かしてあげたの」
「え。じゃ、じゃあ、あの柔らかかったのはまさか、、」
俺はあの柔らか枕が当たっていた自分の顔を触りながら、彼女の胸元を見てしまった。
すると、雫は自身げにこう言った。
「そう。和樹くんだけの特別枕♡」
「…」
「和樹くん、可愛かったなぁ。ずっとお顔スリスリしてー」
「あー!もう分かったから!」
「えへへ、もっと寝かせてあげたかったけどる、今日月曜日だし、お仕事に間に合わなくなちゃうからね」
「ーってあれ?和樹くん?もしかして、拗ねちゃった?」
「べ、別に」
俺は雫に背中を向けていた。
いや、俺は面倒臭い彼女かよ。と自分でも少々思ってしまった。
ぎゅー
後ろに少し重みを感じた。っと思ったら、雫が抱きついてきた。腕を俺の首に回して、耳元で優しく囁くように言ってきた。
「ごめんね。お姉さんちょっと調子に乗っちゃった。でも和樹くんを愛しく感じるのは紛れもない事実だよ」
「雫…」
「和樹くんと付き合うようになって、一緒に住むようになって、お姉さん今すんごく幸せだよ。大好き」
「俺も雫も事大好きだし、幸せだよ」
月曜日の朝っぱらからこんなにもラブラブなカップルがいるか? もちろん、いるとも。俺たちだ。
「ふふ、前より和樹くんが素直になってお姉さん嬉しい。ふー」
耳にすさまざしく、くすぐったい風が当たった。
「ちょ、ちょっと雫!?」
「やっぱ、良い反応♡」
こういう感じで俺は日々、雫にからかわれたり、甘やかされたり、甘えられている。だが、全くもって嫌じゃない。むしろ幸せだ。
「はーい。じゃ、顔洗ってきて。朝ごはん出来てるから」
「はーい」
洗面所に行き、顔洗い、寝癖を直し、会社に行くために着替えた。そして、食事テーブルへと向かった。
そこには朝にふさわしいメニューが並んでいた。
程よい焼き目のついたパン、ベーコンエッグ、何種類かの野菜、そして喉に優しそうなコーンスープ。
それに、すぐ隣の席には雫だ。
「はい、和樹くん、あ〜ん」
「あ、あ〜ん」
流石にあ〜んはまだ慣れない。その後は二人で皿を洗い、俺は会社に行く時間になった。
「今日も和樹くん、カッコいいよ」
「ありがとう。じゃ、行ってくるね」
「うん。早く帰ってきてね?…」
置いてけぼりのされた子犬のような、少し、いや、大分寂しそうな目で俺の方を見つめてくる。だから、可愛すぎるって。
「大丈夫だよ。5時には帰ってくるから」
なでなで、俺は彼女の頭を撫でた。少し顔がとろけた気がした。
「うん、待ってるね。んっ」
「え、なに?」
「もう、行ってきますのキスだよ」
「はいはい」
面倒くさそうに見せる俺だが、本当はめちゃくちゃ嬉しい。それは彼女もきっとお見通しだろう。
ちゅっ
「うん!ありがとう♡」
「じゃ、行ってくる」
「和樹くん、今週も頑張ってね!帰ったらお姉さんがいっぱい癒してあげるから♡」
「それは楽しみだな、いっぱい疲れてくる」
「うん!♡」
今まで見た事のないような、可愛い笑顔で雫は俺を送ってくれた。彼女がいるからこそ、俺はこうして月曜日からも頑張れる。




