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フローラズ王国をあとに

遅れてすいません!



 ミーム牛料理を堪能したその約三十分後。

 手伝いの洗い物をおえて戻ってきたユリナ、由梨菜と共に姫様の部屋を訪ねていた。

 なんでも、洗い場で悪戦苦闘している最中に老執事さんが来て部屋に来るように言われたのだとか。


「でも、こんなイベント見たこと無いんだよなぁ」


「今までは城で起きたなんらかの問題を解決してすぐ終わりでしたよね。姫様の部屋に呼ばれたのは初めてです」


「あっても執事にもう行くことを教えて終わりだもんな」


 そんなことを話しながら姫様の部屋へと向かう。

 城が大きいせいで迷ったりしそうなものだが、ユリナはちゃんとルートを覚えているようだった。


 無駄に広い通路を通り抜けて姫様の部屋につく。

 使用人の人がドアを開けてくれたので中に入る。

 部屋の中央には来客用の服装を着た姫様がいた。


「ああ、来たね。楽にしてほしい」


 促されるがままに用意されていた椅子に座る。

 恐らくイベントに類する物だが、ちゃんと由梨菜の椅子も用意されている。

 姫様は、三人が椅子の柔らかさに驚いた表情を見て満足げに笑ってから話し始めた。


「先ずは今回のお礼からかな。自由に動けなくなるから、なんて我が儘にわざとではないとはいえ巻き込んでしまったことに謝罪させてくれ」


「いえ、面白い体験ができたので良かったです。な、ユリナ」


「はい! まさかお姫様ができるとは思っていませんでした!」


「そう言ってくれると気が楽になるね」


 そこで執事の人が用意した紅茶を一口。

 え、なにこれ美味しい。

 これもどこかと提携してたりするのかもしれないな。


「さて、唐突で悪いけど君たちのこれからの予定を聞いても良いかな?」


「良いですよ。とは言っても行き先を厳密に決めてる訳ではないんですよね」


「センパイの元々の予定はどうだったんですか?」


「んーと、隣にあるバンレシア国に行ってみようかなって考えていたんだ。あそこは柑橘系を筆頭に果物が美味しいって聞いてたから」


 そこで姫様が考えるように視線を下げる。

 悩むも数秒、姫様がひとつの提案をしてきた。


「それならば、受け取ってもらいたいものがあるのよ。じいや、持ってきて」


「はっ」


 じいや、と呼ばれた老執事が姫様の側を離れて隣の部屋へ。

 そして、簡単な巻物のような物を持って戻ってきた。


「これは?」


「魔法のスクロールね。私の私室の通信用魔方陣と直通で登録してあるわ」


「そんな高価なものを!? 良いんですか?」


 魔法のスクロール。

 簡単な"水だし"のような生活魔法ならまだしも、"収納"や"燃料"のような便利な魔法だと現実のお金に換算して一つ数万円もする逸品だ。

 しかも、その内容が一国の姫直通の通信魔法となると価値はつけられないだろう。


「昨日までの私なら城下町の案内でもなんでもしたんだけどね。今日からは責任のある身。なにかしてあげようにも、やってもらった事が影武者じゃあね……目立って何かをするわけにもいかないでしょ? だから、もし何か困って頼みたいことがあったらそれを使って教えて。最優先で対応するから」


「何かって?」


「何かは何かよ。アホなことでなければ絶対に手伝うと誓うわ。それこそ、軍隊でも援助でも、ね」


 そう言いながら、姫様は左手の薬指にはめられた指輪をかざす。

 昨日まではなかった物。

 この国では、誓いの物の象徴が指環だ。

 それにかけて、指環をかざしながら誓うことは絶対の誓いになる。


「わかりました。ありがとうございます」


「とまあ、こうは言うけど本当に軍隊を動かすような事態にはならないことを祈ってるわ。それと、そのスクロールは使えるのが一回までよ。注意してね」


 それだけ伝えてもらって部屋を出る。

 出る時に老執事に渡されたバンレシア国への道が書かれた地図渡された。

 即座に光の粒子になって消え、マップに足される。


「それでは、バンレシア国の方向の関まで送らせていただきます。城の外に馬車を用意してありますので」


「ありがとうございます」


「……なんか、すごい手の入りようですね」


「たかが体裁とはいえ、それを切り捨ててはならないのが国というものです。それを守るのに貢献してくださった方は国を助けたとも言えます。よって、これくらいは当然ですな」


 ──かくして。

 フローラズ王国での用は終了、次の国へ向かうことになった。


 湊は、馬車の中でふと思い出しユリナの好感度を確認した。

 好感度46%。


 AWLの常識で言えば、恋を自覚するころだ。



フローラズ王国終了しました。

ようやく文化祭に入れる……かもです。

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