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大魔王様はフゥフゥがお好き

「大魔王様! お目覚めになられましたかっ。

 おい、フク、大魔王様がお目覚めだ、食事の用意をしろ、

 それと飲み物だ、あとは着替えもご用意しろ」


 うぅ、何があったんだっけ…

 魔法を使って山がドーンってはじけて、ってそうだよ。

 山フッ飛ばしちゃったけどいいのかな…

 ここは強気でいく。

 設定上俺は大魔王なんだからな。


「ルシールよ」

「はっ何でございましょう」

「何があったか判るか」

「はい、大魔王様は山を吹き飛ばされ、

 その際に魔力を使い果たし、

 そのまま魔力欠乏症でお倒れになられました」


 ふむ、魔力が枯渇したのか…あれ、俺の魔力って多くなかったか、いや、そうか吸い取ってもらってからかな。


「すまんぬな、

 山を吹き飛ばす威力の魔法などイメージしなかったのだがな」


 山の木をなぎ払うつもりはあったんだけどね。


「いえ、さすがは大魔王様で御座います、

 しかも吹き飛ばした山の内部の金脈や鉱石などもございました、

 即時回収しておりますれば、

 この国は金や鉱石に悩むこともなくなりました」

「ふむ、それは何よりだな」

「しかし、山を一つ吹き飛ばした際の魔力の放出…

 あれは危険でございます」

「そうなのか」

「はっ、いくら大魔王様の肉体が不老不死であるといえど、

 身体より99%もの魔力を一気に放出されては危険です」

「む、あまり意識はして無かったのだがな」

「そうでしょう、

 もう少し回復されてから一度検査を行いましょう」

「何か思い当たる事があるのか」

「はっ、召還の際、敵側の召還と干渉が御座いました…

 故にその魔力のコントロールができず、

 一気に放出してしまう体質になられたのではと推察します」

「それでは魔法が使えぬな」

「それを検査いたします」

「ふむ任せよう」


 オーノーゥ!せっかくの魔法が…

 でもあんなトンデモ魔法だったら封印だけどな。

 普通にもっと便利な魔法は使いたいぞ。


「失礼します、お食事をお持ちしました」

「うむ、置いておけ」

「はい、ではこちらへ」


 寝てると全部ルシールが面倒を見てくれる、これは天国(パライソ)か。


「大魔王様、お食事をお口まで差し上げても宜しいでしょうか」

「任せよう、それと我が名を呼ぶ事を許そう」

「なんと、宜しいのですか、いえ、真の名は教えてはなりませぬ」

「そうなのか」

「はい」


 真の名にはその者を呪うことや操るための術として使われる恐れがある。

 その為に仕える相手など、信頼の置けるものにしか教えないらしい。


「だがルシールよ、そちが我を召還したのであろうし、

 我はそちには裏切られると考えておらぬがな」

「もったいなきお言葉に御座いますが、

 主と従が入れ替わってはなりませぬ。

 宜しければ別の名をお考えになりお名乗り下さいませ、

 私も対外的には別の名を使っております、

 ルシフェルというのが魔王の名で御座います」


 自分に自分で名前を付けるとか、

 現実世界でペンネーム持つみたいじゃないか。

 しかし、大魔王といえばルシファーと考えていた俺には運が無いのか。

 サタンなんて当たり前の名前は嫌だな。

 ノスフェラトゥ、下っ端だ…。

 自分の名前を捩っても…比呂斗だしなあ。

 ヒーローじゃ勇者だろ…

 大魔王ヒーローじゃ駄目だ…

 こう、威厳のある名前をつけたい。


 ぐぉぉ、俺の知識じゃベルゼバブとかルキフグスとか。

 下っ端しかでてこないんですけど!

 アモン、アスモデウス、どうして君はルシフェルなんだ、

 ああ、そういや初代がサナンって言ったっけ、

 じゃあいいやサタンで。


「じゃあサタンで」

「え?」

「え?」

「あの恐れ入りますが大魔王サタンなのですが」

「ッハッハッハそうか、初代がサナンと聞いてな、

 そういえば初代などの歴代大魔王はどうしたんだ。

 隠居したりしたか、死んだのか」

「いえ、皆様飽きたとか、

 好きな奴が死んだから魂を探してくるなど。

 様々な理由で世界を旅立たれたと聞きます。

 そのために召還魔法を使った訳でして」


 なるほど、世界の外にいる大魔王を召還するってそう云う意味か。

 納得した、不老不死でいかにも最強の大魔王がなんでいないのか不思議だったんだ。


「なるほどな、ところでだ、

 ヒーロ若しくはヒーローなんて意味がある言葉はあるか」

「いえ御座いません」

「ふむ、ならば我が名は大魔王ヒーロとしよう、

 以後はヒーロと呼ぶようにな」

「まさか俗称でこれほどの力ある名を持たれるとは…

 恐れ入りました。

 ではヒーロ様宜しければお口をお開け下さいませ、

 お食事を食べないと冷めてしまいます」


 これはもしやアーンか…

 流石に恥ずかしいぞ、というかルシールが恥ずかしがってるじゃないか…

 これは据え膳だ!

 

 ここまでされたら受けるしかないではないかっ


「アー」

「はい、どうぞ」

「ン、美味いな、うむ」


 こうして大魔王ヒーロが誕生した。

 突然現れた巨大な魔力、そして北方の山の消失。

 魔界は激震に包まれている事も知らず、比呂斗は暢気にゴハンを食べさせて貰っていたのである。美少女からのアーンを堪能していて周りが見えて無いとは恐るべき大魔王であった。


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