大魔王様の味見
「(コンコン)大魔王様」
「うむ、許す」
「失礼致します、
部屋の準備が整うまで、此方の玉座でお待ちくださいませ。
お飲み物をお持ちいたしました」
なんだ、今度は綺麗だけど視線が値踏みしてるような。
あれ、おれ大魔王だよね。
「大魔王様、ご挨拶をさせて頂いても」
「よい、名乗れ」
「私、魔王様の従者、フークーと申します。
家宰の代理も務めております、
御用命が御座いますればお呼び下さい。
以後、お見知りおき下さいませ。」
家宰って城の家老みたいな、
執事とか従者とか侍女を取り仕切る役だっけか。
「ふむ、家宰たるそちに飲み物をもってこさせたのか、悪いな」
「いえ、大魔王様のお力の影響が未だ強いので御座います。
まだ大半の配下が昏倒しておりますれば致し方ございませぬ。」
「む、そうなのか、それはすまないな。
ルシールに頼み、押さえ込む方法とやらを試したのだが…
まだ強いままか」
「は、現在の波動の威力ですと無脊椎水溶性種など蒸発します」
俺の体が電子レンジみたいに波動をだしてるとおっしゃるか…
「ルシール様もこれ以上は厳しいかも知れません。
先程の行為で許容量を現状状態のギリギリまで使った様子。
失礼ですが柱が一本壊されておりましたので…
別の方法を試して頂ければと」
「柱が、そ、それは拙いことになるな、うむ、方法を教えてくれ」
「では、幾つか方法は御座いますが、手っ取り早い物から御紹介させて頂きます。
腕や足を切り落とし魔力にて再生を促す事で消費。
体に穴を開けて魔力を消費、
額の宝玉をコントロール、
と、御座いますが如何致しましょう」
涼しい顔して恐ろしい事を……
「……額の宝玉コントロールで頼む、腕が生えるとは限らんからな」
「いえ、多分その魔力量でしたら肉体構成でさえ一瞬です、
10回や20回で消費できる物ではありません。
ですので手っ取り早くできるので、お勧めしたい方法でしたのに」
いや、手っ取り早くてもそんなスプラッターなのは…
「では、致し方ありません、
魔力を抑える練習をしていただきましょう。
現在流れ漏れている波動が収まった状態を確認して頂き、
そこから魔力の扱い方を学んで頂きます」
「頼む」
「では、失礼して」
フークーさんが近づいてきたと思ったら直接口に来たっ
チュウゥゥゥゥゥ
なに、やっぱり俺死んでたりしないかな……
美少女の次はクール系のお姉さんからもってこれは死亡フラグ?
「なるほど、お嬢様が、柱を破壊する、はず、です」
「こ、こういう方法でしか減らせぬものなのか」
「我等一族以外であれば、体の一部を欠損させる以外ありません、
後は、魔法を発動し山を一つ吹き飛ばすぐらいでしょうか」
「穏やかではない…な」
チュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
「はぁはぁ、これでやっと魔王10人分クラスとは…
少々甘くみておりました、お待ち下さい」
すこし離れたフークー。
体が光って、ヒカッテルヨ
なんだか全身にラバーと、金属で出来たような鎧の欠片を纏ってる、けどセクシーすぎますよ。
お腹見えてるし、金属片は防御用というより体型を強調するためだし。
目のやり場に困りますが何なんですか、変身ですか。
「では失礼して、これならなんとかもう少し減らせます、
でないと直ぐに回復してきておられる様子。
また次の機会を狙うには時間が掛かり過ぎます故」
バサっとマントのしたから翼が生えた、爬虫類っぽい翼である。
「珍しいですか、
我は竜人と吸血鬼とのハーフで御座いますれば、
翼が純潔の吸血鬼とは違います」
「いや、なかなか見事な翼だとおもってな、
うむ、陳腐な表現だが”男のロマン”だな」
「え、はい、そのように言われたのは初めてですが…
で、では参ります」
ちゅうううううう
舌を入れる必要があるのか、それは解らんが任せるしかない。
見ていると翼が輝いて光の粒を吐き出している。
なるほど、あれは魔力を放出してるのか。
っていつまでこのキスは続くんだろう。
あれキスしてる時に呼吸しずらいんだが、
フークーさんみたいに口で吸いながらというわけにも
鼻でする訳にはいかん…
しかも顔を眺めてしまった瞬間に目があった。
なんだか抱きしめられてるんだけど、一体どうなるんだろう。
流石に一日に別の女性を相手にキスをする体験などなかった俺である。
ちと恥ずかしいがここは抱き返すのがマナーだ、だよな?
「ゥッ…」
あれ…フークーさんの体がこっちに擦り寄ってくる。
あれ、翼の光が消えてってる。
「はぁはぁもう限界です、す、すきに…」
「え」
抱きしめられる力がちょっと? いや凄く痛いんですけど。
これって拘束じゃないかなあ……
なんか色んな意味で食べられそうな気がしてちょっと怖いんですがっ。
バッァーン!助けは外からやってきた。




