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神様VS大魔王様

 敵陣からの波動を俺は感じていた。

 それは突然此方に向けられた殺意だったとも言える。

 俺はその殺意に対抗すべく防壁を張り巡らせた。


 もしも事象改変能力(マホウ)で攻撃を仕掛けていたら間に合わなかっただろう一撃が此方へと放たれていた。それは事象改変能力(マホウ)による攻撃だったのだ。威力は恐らくだが俺の事象改変能力(マホウ)程では無いが、無視して攻撃するには厄介な存在だ。


 そして、前線に留まる事が危険だと判断した俺は親衛隊とヴィヴィに守られながら後方陣地へ移動する事になった。


 周りを心配させる事が無い様にと作った鉄仮面と御輿に乗っての移動である。どこぞの戦国武将の様であるが、そういった気遣いも必要だ。戦闘の士気を落とす訳にはいかないのである。


 もっとも攻撃魔法を放たなかったので意識も失っていない為に必要ではなかったが動揺は隠せた。

 敵側にも自分より弱いが、同様に力を振るう存在がいるという情報。そして兵力は役4倍の差があるのである。

 俺は急ぎ本陣へと戻るように指示したのだった。



 ◆◇◆          ◆◇◆          ◆◇◆



「あれは、神か……」

「恐らくはユイキスが出向いたのでしょう」

「成程な……」


 先程から数度に渡って放たれる事象改変能力(マホウ)を防御している俺はルル達に確認した。

 ルルとフクである程度は被害を軽減すべく構えていたそうである。

 今までの戦争に現れなかったが、今回は担ぎ出されて来たのだろう、迷惑な話である。


 現在力を増しているルルやフクならば防げる事象改変能力(マホウ)だがそれでも範囲というものがあるらしい。


 こちらが有利なのはあの程度の極地を狙う事象改変能力(マホウ)の威力ならば大魔王の実力からすれば完全に防ぐ事が可能であるという事のみであった。だが同時に事象改変能力(マホウ)を封じられているという事でもある。


 そうなると兵力差4倍を如何にして覆すかという問題になるのだ。


 だがこの程度の事態は事前に打ち合わせをしていた事である。考えたくなかったパターンの展開になったが、未だ想定内の出来事である。


 先ず本陣を破壊する事はできなかった為に終結は図れなかった。恐らく予想通りに壊滅をしたとしても、各国からも駆けつけたユイキス教の騎士団は死を恐れない殉教目的の死兵となって立ち向かって来るのだろう。なにせ神であるユイキス自体がいるのである。



 1万対4万の軍勢による衝突、本来夜にならないと力を発揮しないといわれる吸血鬼ヴァンパイア王国の兵達、中にはや獣人種(セリアンスロープ)闇輝人(デュアルブ)出身の兵もいたが、大半が吸血鬼ヴァンパイアの眷属やハーフである。太陽で死亡するなどといった理不尽な体質ではないものの夜間に強さが発揮されなければ人と同じぐらいの能力である。


 夜間に力が発揮されるのは事実であり、恐らくではあるが侵攻も昼に人海戦術によって侵攻する目論見だったのであろう。これも此方は想定していた。対抗策としては装備の充実で対抗する為、日々努力したのである。


 ユイキス教達の想定外だったのは国力の認識である。スイペン王国が少し前までは魔界で一番貧しい国だった、これは事実である。山間部にあり、資源も乏しかったのだ。夜間に関してのみ防衛能力はあったが、それだけの軍隊と見做されていたである。ゲリラ部隊を編成し闇に紛れての奇襲を得意とするが、基本的な武装は貧弱だったのだ。故に昼であれば勝てると思っていたのだろう。これが大魔王登場と共に吹き飛んだ山にあった鉱石などによって一変していた事である。


 まず重さの減ったフルプレートアーマーに変わる武装が支給された。勿論比呂斗の知識による凹凸式装甲の物である。さらに同じ手法で生み出された盾が支給されていたのである。日々これに付与魔法(エンチャント)を行うのは日課になっていたのだ。全部では無いが戦線を維持する兵用の鎧には対衝撃防御、盾には対魔法防御の付与魔法(エンチャント)が施されていたのである。


 騎士団の後方に控えていた法術部隊による魔法攻撃はこの盾によって全てが防がれていた。

 そして突撃した騎兵の攻撃も重装歩兵によって防ぎとめられてしまう。

 そこに付与魔法(エンチャント)の武器で攻撃されるのである。


 何よりも一番威力を発揮したのは闇輝人(デュアルブ)と比呂斗が笑いながら作り上げた魔法発動式の射撃装置である。通常の魔法のCクラスなどではそれこそ人間の法術師にもレジストは可能なのだが、物理攻撃を防ぐには土などの障壁展開まで行わないと不可能である。


 魔術のお勉強時間に得た知識を元に作り出した固定砲台とも言えるその装置は槍を一秒間隔で放ち続ける物だった。

 それが防衛装置として50台量産されていたのである。


 そして最後に突撃を仕掛けた精鋭部隊の恐ろしさがあった。

 フクは戦場全体の指揮を任されていたのだが、ロッティに指揮権を渡すとルルと共に出撃をした。

 ヴァンパイアの騎士の中でも優秀な者のみで構成された騎士100名が戦争直前の儀式において大魔王への忠誠を誓う為に手の甲へと口付けを行っていた。よく騎士の誓いとして女性に対し行うアレである。それを女性騎士が大魔王に対しての儀式として行っていたのである。


 それは大魔王ヒーロからの祝福の儀式でもあった。不必要な程の膨大な魔力(ウィスクラフ)、それを配下の精鋭に与えたのである。男性よりも女性の方が魔族は強者が多いために比呂斗が懸念した事態には陥らなかった事だけは此処で述べておこう。


 ともかくその精鋭部隊に関しては恐ろしい程の強さを発揮した。全員がBクラス相当の完全魔法防御と衝撃防御の付与魔法(エンチャント)の鎧と、鉄を切り裂く力を付与された剣をもって突撃したのである。

 身体能力としては夜間異常の力を発揮する者ばかりでの突撃である。


 たった1万の軍勢が4万の軍勢に立ち向かって一歩も退かなかった。

 結果としては、一度目の攻防に関しては圧倒的な勝利だったと言える。負傷者はでたものの此方に死亡者は無く、ユイキス教軍は戦線を維持する事が出来なくなって後退したのである。追撃は行われず。そのまま戦闘は一旦終結した。結果としてはこれ以上無い程の物だったといえよう。


 だが壊滅させるには至らず、ユイキス神がでてきた事によってこちらの事象改変能力(マホウ)が封じ込められているなど、今後の不安要素は浮き彫りにされた戦いでもあった。

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