第六章:零号士(ゼロ)の正体
だんだん物騒な話になって来てしまいました……
警報ランプが点滅し、オレは端末を耳に当てた。
《すぐに戻ってシステム管理室に来て》
霧島マネージャーからの通達を受け、オレと高藤樹羅はそこから引き返した。
養成施設に到着すると、オレ達はそれぞれに行動した。
オレは基地に機体(MECA)を停めてコックピットから降り
「お疲れ!」
整備士は必ずそう声を掛けてくる。
「……」
だが、オレと高藤樹羅にそんな習慣は無く――
終始無言だ。
この前、話し掛けて来たのはいったい何だったのか。
たんなる気紛れ?
そう思いながら眺めていると……
「?」
高藤樹羅がオレのほうを見た。『何?』と言いたげな顔で。気まずくなったオレは高藤樹羅から目線を外し、そこから出て行った。その後を付いて来る――というわけではなかったが、高藤樹羅も続いて歩いて来た。そして同じ方向へ
「……」
「……」
無言で歩いて行った。
やがてシステム管理室の前に到着し、センサーを通過するとロックが解除され、ドアが開く。
「?」
霧島マネージャーの横に“アイツ”がいた。すらりと背が高く、サラサラの水色の髪を掻き上げる仕草が妙に大人っぽい。そしてガラスのような水色の瞳。
「お疲れ様。二人共こっちに来て」
霧島マネージャーが手招きした。彼女はマネージャーの一人で、さばさばとした性格だ。前下がりにカットしたストレートの黒髪で、美人だが浮いた話は全く聞かない。
「彼は相楽臣。あなたたちのチームに加わることになったわ」
「どうも」
相楽臣は微笑した。“あの”不敵で挑戦的な顔で。
「彼はシルバーに乗っていた、さっきの零号士よ」
すると相楽臣はオレの顔を見てクスッと笑った。
「?……」
ムカついたのでオレは軽く睨んでやった。
「“何で零号士が?”って言いたそうな顔だな」
じゃあ何でだよ! とオレは目で訴える。
「クスッ、オレが頼んだんだ。汐名……マネージャーに」
頼んだ?
「遠山響と同じチームに入れてくれって」
何故? オレは不思議そうな顔をした。
「君がパイロットになったきっかけに興味がある」
「パイロットになったきっかけ?」
しかし、そんな話を誰にもした覚えはない。
「君は地球に行きたいんだろ?」
「……」
何でそのことを!?
「オレもその夢に便乗する」
「……?」
「だから君も――零号士になれ」
次話に続きます。
 




