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第三章:再び

 あいつ、零号士ゼロだったのか。

 案外そのことは衝撃的だった。見た所“奴”は大人っぽかったが、自分とそんなに年は変わらないだろう。それが零号士に。

『零号士はリストラしたやつがなるものだ』

 そんなことも言われていだが、あの若さでそれはまず有り得ないだろうし……



 翌朝――

 今日は飛行訓練の最終日で、それが合格するとライセンスが取得でき、いよいよパイロットとして宇宙そとに出ることを許可される。但し、宇宙そとに出られると許可される年齢は十五歳からという規定があるので、来月までオレはペーパーだ。オレはその試験会場へ向かった。



 会場へ着いて中に入ると試験官の横に――何故か“あいつ”がいた。

「また会ったね」

 まだ生きてたのか。

 奴はオレに近付いて来た。また、あの挑戦的な瞳で

「これに受かればパイロットだね」

「そうですね」

 オレは一応敬語を使った。

「君はもうすぐ十五だろ?」

「はい」

「オレは十七だけど、二年前に防衛パイロット養成施設ここに入ったから君のほうが先輩だ」

「……」

「でも、ランクはBだからオレのほうが実力は上だな」

「……」

 だから何だよ。

「じゃあ来月、一緒に飛ぼう」

「?」

「大丈夫、こんな試験簡単だから」

 そうじゃなくて!

「でも落ちたら笑うかも……クスッ」

 そいつは言い終わるとそこを出て行った。ライセンスを取得したらオレはパトロール隊になるつもりでいた。パトロール隊はおもに火星上を巡回するのが仕事で、ミサイルを積んであちこち飛び回る零号士と通常、共に飛ぶことは有り得なかった。







 結局オレは試験に合格し、パイロットのライセンスを取得した。その時点でランクはFからスタートし、実績や勤務態度などの評価点を上げるとランクが上がる仕組みになっていた。

 但しDから上に上がるためにはレースで高成績を治めなければならない。

 そのコースは火星から銀河系の決められた地点を回り火星まで戻って来るというものだったが、低ランクの者の初試験はあまりにも過酷かつ無謀に近く、レースに出たまま二度と帰らない者も多いらしかった。

 零号士ゼロごうしはそんな試験を受けることなく、新人パイロットはベテランパイロットと組み、最初から宇宙そとに出される為

『死にたい奴がなるものだ』

 など善からぬことを言われるのだろう。

 確かにそういうつもりでなる人間もいるだろうし、常に危険と隣り合わせなことは確かだ。

 しかし、その仕事に誇りを持ち希望に満ちている人間もいるかもしれない。


 あの日、闇の中に消えた


 父のように……




次話に続きます。

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