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ジェイドレゾナンス ー新星に灯る始まりの血脈、深緑の衝撃ー  作者: 未来が見えない
第一章 交錯する世界

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第六十話 賑やかな大名行列

【キャラクタービジュアル】

〈ゲン:壮年の姿〉序章、二章

挿絵(By みてみん)

「お前が何だろうが、俺の家族を傷つけたことは絶対に許さない。」

 新しく落成した村長の家を囲むように、遠く麓の方から地鳴りのような民たちのどよめきや歓声が微かに響いてくる。長かった建築作業がようやく一段落し、一つの節目を迎えた村の喜びが、風に乗ってここまで運ばれてきているのだ。

 しかし、そんなお祭り騒ぎの喧騒から少し離れた未開拓の荒れ地で、俺はひとり、泥のついた地面に深々としゃがみ込み、膝を抱えるようにして果てのない考えに耽っていた。

 確かに村長の家が出来たのは大きな一歩だ。目に見えるシンボルが完成したことで、民たちの士気が上がるのも分かる。だが、真の戦いは此処からなのだ。浮かれてばかりはいられない。


 これからは、まだまともに整備されていない俺たちの一般住居をどうにかして建て替え、あるいは補強していく必要がある。すべての家族が安心して眠れる頑丈な屋根を確保しなければならないのだ。

 それと同時並行で、外敵や野生の脅威からこのささやかなコミュニティを守るための強固な門や、村全体をぐるりと囲う防護柵も急ぎで作らなければならない。

 防衛網を隙間なく敷いて、昨日よりも今日、今日よりも明日、より強固に、より安全に、より豊かに生活を営むことができるように。ただの集落から、一つの「国」としての基盤を持つ強靭な村へと昇華させるために、やるべきタスクは山積している。


 それに伴って、ただ気合のある奴を現場に放り込むのではなく、限られた村の民を適材適所に、それぞれの長所が活きるように正確に配置させるのも忘れては駄目だ。そのためには、これまでなあなあでやってきた班の再構成も必要になってくる。力仕事が得意な者、手先が器用な者、警戒役に適した鋭い目を持つ者……それぞれの特性を天秤にかけながら、全体のバランスを調整する。

「うーむ、考えれば考えるほど難題ばかりだ……」

 思わず、口をついて重苦しい溜息が漏れた。

 安心してばかりもいられない。これでも一応、村の命綱である狩猟班の隊長なのだからな。

 いや、もう自分で自分のことを隊長なんて言っているが、最早その肩書きだけで収まるような仕事量ではない。いつの間にか、建築の進行管理から人員配置、果ては民たちの揉め事の仲裁まで、狩猟以外の何でも屋、実質的な何でも雑用係になっている気がする。まったく、我ながら世話が焼けるもんだと、泥のついた指先でこめかみをガリガリとかいた。


 にしても、と俺は自分の胸に手を当ててみる。最近の俺は、こうして一人で物思いに耽ることが格段に多くなったような気がする。

 ほんの少し前までの、まだ何も持っていなかった頃のいつもなら、何も考えずにみんなで荒々しく狩りをして、仕留めた獲物の生々しい肉にかぶりつき、脂で口の周りをギトギトにしながらギャーギャーとバカ騒いでいればそれで大満足だったというのに。

 環境が変わり、守るべき立場になり、背負うものが増えれば、こうまで人間というのは内面から変わってしまうものなのか。まるで、十代のガキが経験するような、今更になって第二の思春期でも来ちまったみたいだ。そんな複雑な情緒を育てるような文化が、この過酷な世界にあるのかは知らないが。


「はは……こんな風に、ひとりでにやけてふざける余裕すら本当になくなっちまったら、その時こそ俺も男として終わりだな」

 自嘲気味に呟き、重い腰を上げようとした、その時だった。

「タタッ、タタッ、タタッ……」

 柔らかな草を踏みしめる、どこか頼りない小さな足音が、静かな空間に規則正しく響いた。

 気配で誰かは分かっていた。だから敢えて振り返ることもなく、そのまま背中を無防備に晒していると、案の定、背後から小走りで寄ってきた小さな影が、俺の腰のあたりに遠慮なくがっしりと抱きついてきた。我が息子、ソウである。

「とうちゃん! んー……なんか、かお、くさいよ」

 開口一番、実の息子から放たれたのは、あまりにも残酷で容赦のない言葉だった。

「んおっ!? おいおい、びっくりした。いきなり背後から抱きついてくるなと言っているだろ。ああ、ソウか……って、ちょっと待て。いま誰の顔が臭いって言ったんだ? 臭いって何よ、臭いって! なあソウ、お父さんに向かってそんな不名誉なこと言うと、夜中に怖い怖い怪物がベッドの下から這い出てきて、お前を頭からバクリと食べにくるからなー!」

 俺はわざとらしく声を潜め、両手を怪物の手の形にしてソウの目の前でワサワサと動かしてみせた。子供なら誰でも怯えるような脅し文句のつもりだった。だが、ソウは怯えるどころか、冷めた目でじっと俺を見上げてくる。

「ふーん。でもね、うそついたら、それがじぶんにうつるんだよって、おかあさんにいわれたもん……」

「ぐっ、ぐぐっ……」

 的確すぎる反論に、俺の胸が物質的な衝撃を伴って痛んだ。

「リンめ、純真無垢な息子にそんな恐ろしい呪いのような教育をしていたのか。まあ、嘘をつくな、現実から目を背けるなと言いたい嫁さんの意図は痛いほど分かるが。はぁ……分かったよソウ。せめてな、父親に向かって『顔が臭い』ってど真ん中のストレートを投げるのはやめてくれ。心が折れる。こう……言い方というものがあるだろ?『なんだか今日の父ちゃんは香ばしいね』とかさ、オブラートに包む技術を学びなさい」

「えー。でも、くさいのは本当にくさいよ」

「ガァーーー! やっぱ俺、弁解の余地なく臭いのか!? 最近、リンに『あなた、ちょっと最近独特の匂いがするわね』って笑顔で言われたのも、俺の気のせいじゃなかったのかよ……!」


 狩りの泥、建築の木屑、そして何より男たちの汗にまみれて働き通しだったツケが、今ここに「父親の尊厳の崩壊」という形で回ってきたのだ。あまりのショックに、俺が再び地面に膝をついて頭を抱えていると。

(ポン……)

 右肩に、驚くほど優しく、そしてどこか哀れみに満ちた小さな手のひらが置かれた。恐る恐る顔を上げると、ソウがまるで「可哀想な大人を見る目」で俺をそっと見つめていた。その無言の同情が、何よりも鋭利に俺の心を抉る。

「やめてくれ! 実の息子にそんな同情の目を向けられるなんて、しかもこんな年端も行かないガキンチョに! 涙がちょちょぎれるぜ、まったく……俺の威厳はどこへ行ったんだ」

 頭を抱えてのたうち回る俺の視界の端に、麓の集落の方からこちらへ向かって猛然と近づいてくる人影が映った。いや、人影というよりは、遠くからでも一発でそれと分かる、針のように天を突くトサカのような独特のシルエットだ。傾きかけた夕日を背に浴びて、その不自然に揺らめく物体の形が明白になる。


「おーい、ゲンの旦那ァ!! ん? なーにやってんすか、そんな寂しい日陰の場所でしゃがみ込んで。ちょっとこっち来てくださいよ、ほら、俺たちの村の偉大なシンボルがようやく完成したんすよ! 今夜は朝まで盛大にパーティーやりましょう、パーティー!」

 案の定、大声を張り上げながら現れたのは、頭上の見事なモヒカンを誇らしげに風に揺らす男、サブだった。足取りは軽く、完全に快調そのものといった様子だ。

「あァ? お前なあ、激しい狩りで怪我した足がようやく治ったばかりだってのに、もうそんなに動き回ってんのか。またあの全方位に不快感を与えるキモいダンスでも踊るつもりかよ。頼むからやめてくれ、目の毒、いや精神の毒だ」


「あ、ゲンさん、人がせっかく呼びに来てやったのにそんな酷いこと言うんっすか! な、そうだろソウ。やっぱあのおじさん、顔が臭いだけじゃなくて、考え方もカビが生えたみたいに古臭いよねぇ?」

「うん! 考え方も、顔も、ぜんぶくさい!!」

「んだと、お前ら揃いも揃って勝手なことをぬかしやがってェ!!!」

「「わあああああああ! 鬼が怒ったぞー!」」

 息の合ったコンビネーションで俺を煽りきると、サブとソウの二人はクモの子を散らすような勢いで、ゲラゲラと笑いながら逃げ出した。

 日頃のストレスと父親としてのプライド、そして何より「臭い」と言われた理不尽な怒りが限界に達した俺は、四つん這いの姿勢から爆発的な勢いで立ち上がり、地面を蹴ってその二人を追いかけ始めた。

 逃げるサブは、ただ闇雲に走っているわけではなかった。麓の民家が密集するエリアを器用に避け、そのまま村の北側にそびえる高台へと続く、傾斜のきつい一本道の急斜面へと絶妙なルートで舵を切ったのだ。俺は怒りに任せてその後ろ姿を猛追する。

 すると、その猛烈なデッドヒートを、少し離れた作業場の陰から遠目で見ていたインテリパワーコンビ――キバとアイズの二人が、何やら目をこれ以上ないほどキラキラと輝かせてこちらに注目していた。


「お、何だかあっちの方、もの凄く楽しそうなことになってるね、アイズ」

「そうだね、キバ。僕らもゲンさんを追いかける運動に参加する?」

「あったりまえだろ、アイズ! あの人は俺たちの、この村の絶対的な守護神だ。つまり、何があっても真っ先に追いかけなきゃいけない偉大な人なんだよ!」

「理屈はよく分からないけど、納得したよ! なら、全力で走ろっか、キバ!」

「おう!」

 そんな知性派なのか肉体派なのか分からない噛み合わない会話を交わしたかと思うと、二人は凄まじい風圧を伴って突進してきた。

(おいおい待て待て、後ろからやたらと質量のある、デカい獣のような気配が二つ猛スピードで迫ってきてるぞ。って、なんであのインテリパワーコンビまで俺を標的にして追いかけてくるんだよ!?)

 俺はサブを追いかけながら、同時に首だけを後ろに巡らせて怒鳴り散らした。

「お前らコンビ揃って何をしてるんだ! こんな急な坂道で俺に何か用でもあるのか!?」

「「何もないっすよー! ただゲンさんが走ってるから、別にいいじゃないですかー!」」

「そうっすよー! ゲンの旦那ぁ、実はケツまで臭いからって、そんなに必死に逃げなくても――」

「サブ、お前だけは、お前だけは今日の太陽が沈むまでにぜってぇに地の果てまで追い詰めて許さねえ……!」

「ひええええっ! ソウ君、頼むから盾になって俺っちを守ってくれぇー!」


 村から少し離れた荒れ地から麓の境界へ、そして麓から高台の頂上へと続く、容赦のない急な坂道へ。ドタバタという無数の足音と、やかましい怒号や悲鳴を周囲に響かせながら、坂道を駆け上がっていく男たち五人。

 そのあまりの騒ぎと砂煙の凄まじさに気づき、麓で村長宅の完成を祝っていた民たちも「何事だ?」「敵襲か?」「いや、いつものゲンの旦那の運動か?」と、次々に仕事を放り投げてギャラリーに加わり始めた。そして何を勘違いしたのか、お祭り騒ぎの延長線のようなノリで、なぜかみんなで俺たちの後ろからゾロゾロと坂を登り始めてくるではないか。


 先頭を走るサブは、必死の形相でソウを自分の肩に担ぎ上げ、肩車した状態のまま、滝のような汗をダラダラと流して険しい斜面を狂ったように駆け上がっていく。ここで万が一にも捕まれば、明日の朝まで終わらない地獄の特訓メニューが確定することを、長年の経験から本能で察しているのだろう。その逃げ足はいつになく俊敏だった。

 そして俺のすぐ後ろからは、そもそも何のために追っているのか、自分たちでも全く理解していないキバとアイズの筋肉バカ二人。さらにその遥か後ろからは、なぜか村の最高長老であるヤンガの爺さんや、その親族、果ては一般の家族たちまでもが、息を荒くしてゾロゾロとついてきていた。

「何がしたいんだ、お前たちは! ただの嫌がらせか!」

「ゲン、待ってくれぇぇ……ゴホッ、待つんじゃ……!」

 ヤンガの爺さんが、はるか下方、坂の始まりのあたりから枯れた大声を必死に張り上げているのが見えたが、あまりにも距離が離れすぎていて、その後に続いているはずの言葉が風にかき消され、まったく聞き取れない。

「あァ!? クソッ、今それどころじゃねえんだよ、ヤンガの爺さん! このモヒカンを仕留めるのが先だ!」

 そんな遠くから話しかけられても困るし、立ち止まるわけにはいかない。というか、さっきから後ろを振り返るたびに、村の民がネズミ算式にどんどん増えていて、全員で俺を追いかけ回しながら高台へ押し寄せていく、妙な大名行列か何かの集団移動みたいになっていないか?

 ……まあいい、今の俺の最優先事項は一つだけだ。とりあえずあのサブの野郎だけは、俺の顔やケツを「臭い」と連呼して冒涜した罪のケジメを、その身をもってきっちりとつけてもらう。

「ゲンの旦那ぁー! つ、着いたっすよ、ここがゴールっす!!」

 急な坂道を一気に登りきり、視界がパッと開けた高台の頂上――新しく切り拓かれた、村の中心地となる広場へ飛び出すと同時に、サブが地面の土を派手に巻き上げながら、猛烈な急ブレーキをかけた。その急停止の風圧の弾みで、彼の自慢のモヒカンが前後左右に激しく揺れ動く。

「あァ!? 何が着いただ、この野郎。お前をどうやって細切れに料理してやるか、その覚悟ならこっちとしては疾うの昔についたけどなあ!」

 バキバキと両手の拳の骨を鳴らし、鬼の首を取るような形相でサブを睨みつけた俺だったが、彼が肩車の上のソウと一緒に、ニヤニヤと悪ガキのような笑みを浮かべながら人差し指で指さした先を見て、ハッと息を呑み、その場の動作のまま完全に動きを止めた。目の前に、堂々とそびえ立っていたのは。


 完成したばかりの、まだ真新しい木の香りが漂う村長の家だった。

「なんっ……気がつかなかった……!」

 俺は己の不覚にようやく気がついた。あいつらは、ただ逃げ回っていたわけではなかったのだ。村から少し離れた静かな場所から俺を巧妙に煽り立て、麓の賑やかな場所をわざわざ迂回させ、俺の怒りに火をつけて視界を狭めさせた上で、この高台の頂上にある村長宅の広場のど真ん中へと、一気に誘導することこそが、サブたちの最初からの真の目的だったのだ。

 いや、それだけじゃない。おそらく、一番最初のソウの「父ちゃんの顔が臭い」という衝撃的な一言すら、俺を怒らせてこの場所までノンストップで走らせるために仕組まれた、親子の連携による、あるいはリンまで巻き込んだ壮大な仕掛けだったわけか。

「やられたよ、この二人には……。流石、俺が戦い方を叩き込んだ男と、俺の血を引く自慢の息子だ。全くだ……」

 俺は呆れ半分、感心半分で大きく息を吐き出し、構えていた拳をそっと下ろした。しかし、なんで完成したばかりのこの家の前に、これほど強引に俺を引っ張ってくる必要があったんだ?

 その疑問に答えるように、目の前にある、職人たちが総出で削り上げた大振りの見事な木製の扉が、ゴゴゴと重々しい音を立てて内側から開かれた。

(バァン!)

 開け放たれた扉の向こう、家の中から差し込む逆光のシルエットの中に現れたのは、これまた何かを期待するようにわんぱくそうな笑みを浮かべた二人の少年――ヤンとラルクだった。二人は緊張した面持ちでありながらも、その手には、何やら見たこともないような厳かで、複雑な刺繍が施された立派な布を、宝物のように大切に捧げ持っている。

 驚いて振り返ると、俺たちと一緒に坂道を必死に登ってきたヤンガの爺さんをはじめ、麓からついてきた村の民たちが、いつの間にか全員この高台の広場をぐるりと取り囲むように集まり、誰一人として声を上げず、ただ温かい、静かな眼差しでこちらをじっと見守っていた。

「ゼェ……ハァ……お主、少しは年寄りを待たんか……ゲホゴホッ……相変わらず、とんでもない脚力じゃな……」

 最後に坂を登りきり、激しく息を切らして胸を押さえていたヤンガの爺さんが、衣服の乱れを整えながら、優しく深い微笑みを浮かべて俺の前へと歩み出てきた。ヤンとラルクの二人が、爺さんの歩調に合わせて、その捧げ持った布を掲げながら一歩前へと進み出る。

「まあいい、無事にここに連れてこられたようじゃな。ほれ、ゲンよ、これを受け取るんじゃ。我が一族に、遠い昔から代々大切に受け継がれてきた、至高の代物じゃよ」


 遅れてやってきたヤンガの爺さんは、その皺深い手で布の端に触れ、感慨深そうに目を細めた。

「共にこの土地へ来てからというもの、村のために、民のために流してくれた、数え切れないほどの血と汗。その全てに、何か少しでも恩返しをしたいと、村の民一同、そして何よりこのワシ自身が、心からずっと思っておったのじゃ。この素晴らしい村長の家が完成した記念すべき機に、どうしてもお主に渡したくてな、みんなで計画したんじゃよ。それに……」

 爺さんは一度言葉を区切り、俺の目を真っ直ぐに見つめた。

「この重みあるローブは、ワシのような老い先短い老人が形見代わりに持っておるより、この村の誰もが認める守護神であり、我らの未来を照らす光であるゲン、お主がその身に纏う方が、よほど相応しい。皆も、そう思うじゃろ?」

 爺さんの言葉に、周囲の民たちが一斉に深く頷く。

 ヤンとラルクが、誇らしげな顔つきで、恭しくその美しく重厚な布を俺の目の前へと差し出してきた。

 俺は戸惑いながらも、その意思を受け取るように、ゆっくりと手を伸ばして布を受け取った。

 その瞬間、掌から伝わってきたのは、これまでに触れたどの毛皮や布とも違う、まるで生きているかのように吸い付くような見事な手触りだった。肌に滑らかに馴染む上質な質感でありながら、同時にあらゆる刃や衝撃を撥ね退けるかのような、圧倒的な守護の力を内包した重厚な厚みがある。

 表面に施されているのは、やはり始まりの一族の証なのだろうか。深い、大地の力を宿したような茶色の糸で、古の血脈の紋様が、一針一針狂いなく精密に編み込まれていた。


 俺は息を呑み、その素晴らしいローブを、自分の両肩へとバサリと大きく回して羽織ってみた。

 信じられないことに、あれほどの厚みと重量感があったにもかかわらず、身に纏った瞬間にまるで自分の皮膚の一部になったかのように軽く、驚くほど自由に体が動かせる。それと同時に、冷えていた背中に心地よい温かさが広がり、自然と背筋がピンと伸びるような、不思議な高揚感に包まれた。なんだか、どこかの歴史ある大国の高貴な貴族にでもなったかのような、そんな錯覚さえ覚える。

「……おお……なんと……完璧じゃ……」

 ローブを纏った俺の姿を正面から見たヤンガの爺さんが、あまりの神々しさに感極まったように、ポツリと、しかし確かな震える声で呟いた。

 それを合図にするかのように、それまで張り詰めていた静寂が嘘のように破られ、高台を取り囲んでいた村の民全員から、地鳴りのような盛大な拍手と、天を突くような大歓声が、一斉に沸き起こった。

「ゲン! お前がいてくれて、本当に俺たちは良かったと、心からそう思っているんだ!」

「ありがとう、ゲンさん! 私たちを見捨てず、いつも助けてくれて本当にありがとう!」

 夕闇の広場に、次から次へと響き渡る、村人たちの飾り気のない、真っ直ぐで温かい感謝の言葉の数々。

 さっきまで一人で暗い荒れ地にしゃがみ込み、これからの難題について深刻に考え込んでいたのが、まるで酷く馬鹿らしくなってしまうくらいだ。

 面と向かってこんな風に大勢に労われ、称賛されるのは、俺の性分からすれば、どうしようもないくらいに小恥ずかしくて、どこかむず痒い。

 だが――。

 言葉にできないほどの確かな熱い何かが、俺の胸の奥深くへとじんわりと染み渡り、満たしていくのを、俺はいつまでも、確かに感じていた。

ここまで、お読み頂き感謝感激の舞レベル200です。出来れば、出来ればで良いんです。私に星を下さい。そうすれば、あなたと私は星と共に宇宙へと昇ることができます。そうです、宇宙の旅へ一緒に行きましょう。私のモチベーションがぎりぎりのぎりなので、私のメンタルケアと思ってポチッと押して貰えたら嬉しいなあああああ。あと、いつも読んでるそこのあなた!いつも見てるでしょおおおお?ブックマークしたらいつも見る時楽だよ?ね、ブックマークしよ、そして星も付けちゃお?そしたら作者喜んじゃうよん。


嘘です。嘘じゃないですけど、読者様に少しでも楽しんで貰えたら私はとても嬉しいです。引き続き作品をお楽しみ下さい!

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