第59話 泥大狼戦後
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ピエールside
・・・・・・・目が覚めたらベットの上だった。
周りを見ると夜なので月明かりがさしていた。
そこはザンダグロース村に一軒しか無い宿屋の個室だった。
上半身だけ起こすと包帯が巻かれていることに気が付いた。
「お目覚めでございますか?はい。」
俺は声の方に顔を向けると驚いた。
「スミス・・・・・・」
そこには女バージョンの死体執事スミスが佇んでいた・・・
「ホウ・・・・・これはこれは、あの方の言う通り、ある程度の情報を持っているようですね。はい。
話が早くて助かります。はい。」
スミスは会釈をした後、そう答えた・・・
俺は警戒レベルをマックスにして左腕のブレスレットを確認した。
「まあ、焦らずに聞いてください。はい。
今回はあの方に頼まれて使者をやっておりますので、そちらに危害を加えるつもりはございません。はい。」
「・・・・・そう言えば、あいつが!アワガニが!!おとなしく矛を納める程、お前が安全なのか!?」
俺はけがの為か、ろくに動かない体で立ち上がった。
左腕のブレスレットに手を添えて『変身』と叫んだ!
しかし、何も起きなかった。
「???」
「そのブレスレット・・・『魔力充填』が切れておりますので起動しませんよ。はい。
それだけ、元気ならば大丈夫ですね。はい。
ユキさまと陰陽師様は隣の部屋にお待ちしておりますのでお越しください。はい。
わたくしめは邪魔になりそうなのでここで去ります。はい。」
スミスはそう言うと窓から飛び出し、夜の闇の中に消えた・・・
俺はあまりにも呆気なく、スミスが去るので首を傾げながら隣の部屋に向かった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
俺が隣の部屋に入るとユキと仮面を被った陰陽師が椅子に座っていた。
「あっ!・・・ピエール!目が覚めた?」
ユキは椅子から立ち上がり、ピエールに駆け寄って肩を貸した。
「えーと?ユキ・・・今、どういう状況?」
「ピエール・・・詳しい事は扉を閉じてからだよ!」
ユキはピエールに肩を貸して部屋の中の椅子に座らせて、扉を閉めた。
【さて・・・説明を始めようか?】
閉めたとたん、部屋の空気が変わったと思ったら、部屋の机の上に小型の30㎝大の泡蟹が出現した。
「・・・どういう事だよ?アワガニ・・・
部屋に結界を貼るなんて警戒しすぎだと思うが?」
【ご指摘はごもっともですが、オレは臆病者なのでその辺は勘弁してください。
それにこの結界はいろいろと都合が良いんだ!
まあ、その辺の説明もしてやるから!】
「了解・・・」
ユキは椅子に座った。
全員が座ったのを確認したアワガニは説明を始めた。
【それではまず、村周辺を修復して中村さん・ピエール・その他一名を治療してここに案内した執事は今回に限り、問題は無しです。
あれは油断ならぬ奴ですが、今回の仕事にはオレから多大な報酬を支払っている・・・それで満足しなかった場合、オレが消すから安心してくれ。】
俺は挙手して発言した。
「その件についてはそっちに任せるよ・・・
それよりもお前のテレパシーがお前に触れなくても届いているのは、この結界せいか?」
【ああ、そうだよ・・・・・・
ついでに説明するがこの結界はテレパシー受信性増幅以外にも、授けた“騎乗兵”の力を安定定着させたり、世界から拒絶反応を起こした者を保護する能力がある。】
俺はまさかと思ってアワガニに聞いて見た。
「おい・・・世界から拒絶って、まさかユキが!?」
【そうだよ・・・その中村雪が世界から拒絶されて消滅しようとしていたよ。】
俺は立ち上がり、ユキの方を見た。
そこには青い顔をして俯いていたユキがいた・・・・・
世界から拒絶されて消滅の危機!!
正規の召喚で呼ばれた者に巻き込まれた者はこの問題が発生した場合、どうするのでしょうか?
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8/27 12:00に更新します。




