第33話 ファーストコンタクト
お久し振りぶりです。
取り敢えず、引っ越しのゴタゴタは落ち着きました。
これから再開します!
???side
「ハーハー!!」
息が切れる!心臓もバクバク!!!
全身がこれ以上走れないと叫んでいる!
でも!!今、止まれば殺される!!!
女に産まれた事を後悔すると肌で感じるぐらいヤバイ!?
女は何度も後ろを振り返りながら、深い森の中を走る!
その女の後ろを追いかける小さな黒い影が二つ。
その二つの影はすぐに女に追い付ける身体能力があるが、久方ぶりの極上の獲物を前になぶりたくなる衝動に身を委ね、楽しんでいる。
女は思う。
何でこうなった!?
あたしはただ、夕飯に帰って来ない弟を迎えに行っただけなのに!!
女の名前は中村雪。
高校一年生のピチピチ (死語)の16歳。
今日は双子の弟と一緒に誕生日を祝う予定だった。
早くに母を病気で亡くし、母の代わりに父と双子の弟を支えていた。
部活にも入らず、中村家の家事全般を主婦顔負けで切り盛りしていた。
今日は平日。普通に学校が有ったが、弟は登校しなかった。
あたしは毎年の事だと諦めていた。
あたし達の6歳の誕生日に母を病気で亡くして以来、その日だけは学校をさぼるようになった。
多分、まだ母を失った心のキズが残っているんだと思います。
でも、今までは学校をさぼっても夕飯の夜7時には帰って来るはずなのに今日は夜9時になっても携帯にも出ない。
あたしは父の言いつけで家で留守番をしていたが、携帯が鳴って、そこから聞こえてきたのは死にそうな声の弟だった!
「・・・・・・ユキ、助・け・て・・・」
「ちょっと!?・・・あんた、今何処にいるの?」
「・・・・・い・・つ・もの・・・川の・近く・・の・・・・・土・手で・・・・・」
プープープープープー(携帯が切れた音)
あの弟は気が晴れない時には、母が生前よく連れて行った川の土手に居ることが多い。
あたしはその事から、弟はその土手にいると判断した。
あたしは父に電話をかけるが繋がらない。
書き置きをして、戸締まりをした後、あたしは一人で川の土手に走って行った。
土手に着いたが、辺りに弟の姿はなかった。
途方に暮れていたら、辺りに霧が発生して周りが見えなくなった。
あたしは怖くなって、家に急いで帰ろうと走り去ろうとしたが、目の前には見たことのない森が広がっていた。
携帯を確認しても圏外だったので、森を散策していたら、後ろから嫌な気配を発する二つの影に気が付き怖くなって走り出した。
そして、冒頭に戻る・・・・・
あたしも・・・もう限界!
誰か・・・助けて!!!!!
【ハイハイ、どちら様?オレは田中ですけど、何か助けになれますか?】
これがあたしとあいつのファーストコンタクトだった!
ありがとうございます。
このユキは取り敢えず、ヒロイン候補です。
次回の更新は7/31 12:00です。
感想等、お待ちしています。