参
『ロケット』は凄い勢いで星の海の中を飛んでいる。らしいのだが。
「暇じゃ」開口一番、"組長"が悪態をついた。『さぼてん』の手入れをしている。
「だねぇ」そういう"委員長"はさっきから唄を唄ってばかりでとても五月蝿い。いい歌なのだが。
「……まぁ、俺に任せろ」そういう"彼"は完全に破壊された"委員長"の楽器を『魔法』で再生している。
魔法。そう。この男は魔法を使える。らしい。
"彼女"が微笑み、銀の袋に入った何かを差し出した。
「珈琲だ。こぼすと機械に進入し故障原因になることもある。
機械が壊れた場合? ……全員死ぬ事もあるから気をつけろ」
ふわふわ浮かぶ銀の袋をなんとか受け止め、吸い口に口をつけて、強くすう。
ぶよぶよとしたなんともいえないモノが喉に入ってくる。味自体は。美味しい。
「ゼリー状になってねぇか? 」"彼"が苦言を放つ。
「……こおひいは嫌いではないがのう」"組長"も苦笑い。
「宇宙食はこんな感じだ。慣れてもらわねば困る」"呪術師"が言うなら間違いはない。
「……ホント、不味い」"委員長"。貴様は黙れ。
「釣りでもするか」
そう"彼"は呟くと、釣り竿を何処からか取り出し。
「釣ってくるわ」「あ、拙者も」「僕もいく! 」
「宇宙服が要るぞ」「不要だ」
"呪術師"の言葉に"彼"らは笑ってかえし、バルブを開いて外に出る。
「お嬢様もどうですか? 」"委員長"が微笑む。誰がお嬢様だ。
"私"は彼の手をとり、外に出る。
!!!?
黒一色の空間なのに明るい。周囲には上下左右ひたすら。星。
視界の半分以上を占め、なおかつ全容がつかめぬ円球。その周囲を覆う巨大な。美しい。輪。
その『輪』のふちに私たちは。いる。
「ほいっ! 」
"委員長"が釣り竿を振ると遥か彼方の星の集まり、天の川のほうで「ぽちゃん」と音がする。
「お前抜け駆けするか? 普通」「まぁ愚痴るな。……殿。拙者らも楽しもうぞ」
"彼"と"組長"が竿を振ると、また天の川のほうで「ぽちゃん」と音がした。
「あ。天の川から汲んだミルクがあるぞ」
なんだそれは?
そう思っていると、他の連中はその味に舌鼓をうっている。
見てみると、妙に星のような輝く砂粒? が浮いているミルク。
口に含もうとすると、小さな星の砂粒が周囲に舞う。
「おいしい」
本当に美味い。
ため息をつく私に"彼"はニヤリと笑って。
「星の小便だ」ぶっ?!
「まぁ、人間のそれよりずっと清潔だし、気にするな。呑めば10年若返るって言うぜ」そんなわけあるか。
憤慨する私の耳に"委員長"の楽しそうな歓声が響く。
「つれたっ?! 」
バタバタと尻尾?を振る。『ソレ』
「……」無言になる。"私"。
星と星の間が謎の線で結ばれ、星屑がその線の周囲をかたどり、『魚』の形になっている。姿。
「おー! いきなり大漁だなっ! 」「とうぜん! 」「やったの。"委員長"殿! 」
"私"はいちいち口を挟む愚を放棄した。




