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異世界冒険奇譚 月狂の歌  作者: 鴉野 兄貴
第四章。誰も信じてはいけない

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 『ロケット』は凄い勢いで星の海の中を飛んでいる。らしいのだが。

「暇じゃ」開口一番、"組長"が悪態をついた。『さぼてん』の手入れをしている。

「だねぇ」そういう"委員長"はさっきから唄を唄ってばかりでとても五月蝿い。いい歌なのだが。

「……まぁ、俺に任せろ」そういう"彼"は完全に破壊された"委員長"の楽器を『魔法』で再生している。


 魔法。そう。この男は魔法を使える。らしい。

"彼女"が微笑み、銀の袋に入った何かを差し出した。

珈琲こぉひぃだ。こぼすと機械に進入し故障原因になることもある。

機械が壊れた場合? ……全員死ぬ事もあるから気をつけろ」


 ふわふわ浮かぶ銀の袋をなんとか受け止め、吸い口に口をつけて、強くすう。

ぶよぶよとしたなんともいえないモノが喉に入ってくる。味自体は。美味しい。


「ゼリー状になってねぇか? 」"彼"が苦言を放つ。

「……こおひいは嫌いではないがのう」"組長"も苦笑い。

「宇宙食はこんな感じだ。慣れてもらわねば困る」"呪術師"が言うなら間違いはない。

「……ホント、不味い」"委員長"。貴様は黙れ。


「釣りでもするか」


 そう"彼"は呟くと、釣り竿を何処からか取り出し。

「釣ってくるわ」「あ、拙者も」「僕もいく! 」


「宇宙服が要るぞ」「不要だ」


 "呪術師"の言葉に"彼"らは笑ってかえし、バルブを開いて外に出る。

「お嬢様もどうですか? 」"委員長"が微笑む。誰がお嬢様だ。

"私"は彼の手をとり、外に出る。


!!!?


 黒一色の空間なのに明るい。周囲には上下左右ひたすら。星。

視界の半分以上を占め、なおかつ全容がつかめぬ円球。その周囲を覆う巨大な。美しい。輪。

その『輪』のふちに私たちは。いる。


「ほいっ! 」


 "委員長"が釣り竿を振ると遥か彼方の星の集まり、天の川のほうで「ぽちゃん」と音がする。

「お前抜け駆けするか? 普通」「まぁ愚痴るな。……殿。拙者らも楽しもうぞ」

"彼"と"組長"が竿を振ると、また天の川のほうで「ぽちゃん」と音がした。


「あ。天の川から汲んだミルクがあるぞ」

なんだそれは?


 そう思っていると、他の連中はその味に舌鼓をうっている。

見てみると、妙に星のような輝く砂粒? が浮いているミルク。

口に含もうとすると、小さな星の砂粒が周囲に舞う。


「おいしい」


 本当に美味い。

ため息をつく私に"彼"はニヤリと笑って。

「星の小便だ」ぶっ?!

「まぁ、人間のそれよりずっと清潔だし、気にするな。呑めば10年若返るって言うぜ」そんなわけあるか。


 憤慨する私の耳に"委員長"の楽しそうな歓声が響く。

「つれたっ?! 」


 バタバタと尻尾?を振る。『ソレ』

「……」無言になる。"私"。


 星と星の間が謎の線で結ばれ、星屑がその線の周囲をかたどり、『魚』の形になっている。姿。

「おー! いきなり大漁だなっ! 」「とうぜん! 」「やったの。"委員長"殿! 」

"私"はいちいち口を挟む愚を放棄した。

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