弐
「……"呪術師"さん。離れろ」
楽器を手にした少年。確か"委員長"と言ったか。が。"私"の"呪術師"に絡む。正直うっとおしい。
「壊れてしまったな」チリチリ頭の青年がその楽器に目をやる。派手に壊れている。
「あの、Gってヤツは凄かったからのう」そう続ける。
「……"委員長"ではないが、少し離れてくれ」
あんな男に遠慮する必要はないと思うが、"呪術師"が言うなら仕方ないかもしれない。
「私は、男だぞ? 」
そういって、イタズラっぽく笑う呪術師。ふざけるのも大概に。
そういいそうになると、三人の男と、一人の乙女。そして"呪術師"本人がニヤリと笑った。
「まさか」
「私は、ミュータントだからな。女の姿になっているだけだ」
そういって、黒い豹の姿をとる。"呪術師"。
……絶望した。絶望したっ?! 恋の無い世界など絶望したっ?!
「僕は、また"私"さんが野郎になっている事実に絶望しているんだけど」「ヤレネェからか」
"委員長"と、目つきと態度の悪い男。仮に"彼"と呼ぶが。が、何か変な事を言っている。
「いやいやいやいやっ? 」ぶんぶんと首を振る。"委員長"だが、何を言っているのだろうか。
「なかなかいい具合じゃったのう」ニヤニヤと笑うチリチリ頭の少年。
「"組長"?! アンタ、人の女に手を出したのかっ??! 」と殴りかかろうとする"委員長"。
しかし、その身体は相変わらず支えもなく、フワフワと浮いて定まらない。
「じゃれている場合か? 」"彼"が呆れている。
「……外。見てみなさい」"彼女"が窓の外を見るように促す。
その『窓』は透明な素材で出来てきて、開くことが出来ない構造になってる。
「開けるわよ」"彼女"の声と共に『窓』の外のシャッターが開き、外の光景が見えた。
「わぁ……」「わ……を……」「すっご~~~~~~~??! 」「美しいな」
皆一様に言葉にならぬ感動に身を震わせている。窓の中には、いや。
全てから。私たちを上から、下から、右左から。前後から包む輝く。きらきらと輝く。星。
「星……」
「だから言ったろう。『ロケットで突き抜ける世界』だと」
"呪術師"は青いルージュを動かし、艶かしく微笑んだ。




