壱
「愛が罪になる世界」『竜銘の都』
季候 本来温暖湿潤気候だが、ビル風が強烈で寒い。毒の雨、光化学スモッグにも注意する必要がある。
政治形態 『神』による直接統治
特記事項 男性しか存在しない。
女性は例外なく違法クローンやミュータントである。
女性は見つけ次第殺すことが推奨される。
ただし、性的な暴力を振るうものは『神』の罰を受ける。
『世界』の規模 巨大な『軌道エレベータ』を中心とした居住ビル等。
特産品 狭い世界だが、巨大な塔に畑、工場などを保有する。
反面、資源は極めて貧弱。
『科学』という魔法の産物に加工することで利益を得ている。
「ようこそ。『真なる愛の世界』に」
神官? なのだろうか。彼らは白装束。いや、白衣に身を包んでいる。
「……一つ聞きたいことがあります」
「なんでしょうか」"委員長"がとっさに殴りかかりかけたのを"私"は見逃さなかった。
『電車』の中でも"私"は何度もうっかり殴られているらしい。
彼の能力は説明不要なので極めて便利だが、痛いものは痛い。
「貴方ではなく」
白衣の神官(? )は"私"と"彼女"さんを指差す。
「あなたたちは女性ですか? 」????
「……男だ」"私"のことを言うのなら男で間違いがない。
"彼女"は苦笑いをすると、鎧を脱いだ。
……首だけになった"彼女"を見て、白衣の神官(? )達も苦笑いした。
「問題はないようですね。ようこそ。我らの世界。『竜銘の都』へ」
彼らは"私"達に道を譲る。
私達は、その巨大な塔を降りる道を探し、塔の中に沢山の居住区がある事に驚愕しながら、
住民達も知らなかった道を通って塔から降りる。
吹き降ろしの風が不愉快だ。『拳で語る世界』が快適な風だったのと酷い違いだった。
……。
……「変な世界」他の『世界』を知らない"委員長"は率直な意見を述べた。
この人は妙に子供っぽいところがある。
「人を斬っても良いそうじゃぞ」
ニヤニヤと笑う"組長"に戦慄を隠せない"私"。
「余計なことをしようとするな」"彼"が半眼で"組長"を睨むと"組長"は「……冗談じゃ」と引き下がったが。
チッ。
舌打ちの音が。確かに聴こえた。
……。
「びる降りて初の第一世界びとはっけ~ん!! 」
愉しそうに叫ぶ"委員長"に"私"達は脱力する。とにかく"委員長"は好奇心が強い。
「ねね! 俺達、この『世界』に来たばかりなんだけど、なんか愉しい所とかあるっ? 」
要するに。アレだ。アレ。男には必要なモノ。だそうだ。"私"は良く覚えていないが。
「やだやだ。『童貞卒業したて』は。よほど良かったんだろうが、がっつきすぎ」
そういって"彼"と"組長"は苦笑いしている。
……?
「……まぁ。男はそういうものらしいからな」
"彼女"は寂しそうに笑っている。
「……女だ」
その壮年男性は"彼女"を見て呆然としている。
「殺せっ!!!!!!!!!!!! 」
はい?!!
「女だっ???!!! 殺せっ???!!!! 」
ずらずらと何処からか出てくる男たちに私達は困惑していた。




