〜幕間1〜
召喚された男は立っていた。
聖杯により現代の知識を与えられ、これが聖杯戦争であることは理解できた。
しかし、男は自身の召喚者に対し強い怒りを抱いていた。
「お前が俺のマスターか?」
「訛りが酷いな。まぁいい!俺がお前のマスターだ!」
軍服に身を包んだサーヴァントは強く拳を握り締めマスターを殴りつけた。
殴られた男は勢いよく吹き飛び壁に打ち付けられた。
「ないごて子供を生贄にしようとした!」
男の視線の先―召喚陣には、一人の少女が座らされていた。
四肢を縛られ、目隠しまでされている。
「…使い魔の分際で…俺のガキだ!俺の自由だろ!コイツは魔術回路が少なすぎる出来損ないだ!」
マスターの男は悪びれる様子もなく話を続けていた。
「どうせ殺すつもりのガキだ。お前の腕前を見せてみろ。やれ」
軍服の男は気絶するまで殴るのをやめなかった。そして必死に考えた。このままでは、この子がいつか殺されてしまう。
今後について考えていると黒い影のような兵士が近づき耳打ちをすると少し黙り覚悟を決めた。
「やっとくれ…」
先程の影の兵士は意識のないマスターに近づき令呪が刻まれた手を掴む。
淡い光を放ち男の手から令呪が消え生贄となるはずだった少女へと令呪が移った。
生前には知る由もなかった。自分の仲間に魔術の才がある者がいたとは…。
「すまん…」
そう言いながら少女の拘束を解き「俺が守る。安心せい…」そう微笑みかけた。
本当にこの道しかなかったのか?男の心には罪悪感を残した。
守るためとは言え、無垢な少女を戦争に参加させるなど自身を許せなかった。
元マスターを置いて状況を理解しきれていない少女と男は拠点を後にした。




