26話 退院と再会に 乾杯 (終)
順調に回復してきて退院。2週間の入院だった。
ステロイドやタクロリムスを服用しているので免疫が落ちるから
風邪などにも気をつけないといけない。
感染症だけでなくストレスや睡眠不足もクリーゼの
原因になってしまう。
主治医が病室で「よく頑張ったね」と言ってくれた。
「先生の処置が良かったからこんなにも元気になりました。
ありがとうございました」とお礼を言ったら
「いやいや華穂さんが頑張ったからだよ。辛かったと思うよ」と主治医。
嬉しかったけれど、ちょっぴり寂しくなってしまった。
看護師さんや看護助手さんもエレベーターの前まで見送ってくれた。
母が迎えに来てくれて無事 みんなが待ってくれている自宅に帰れた。
数年前に感染症の流行があって 今はどこの病院でも面会については
厳しい制限がある。家族に限り指定されている時間帯の中で15分だけ等の
決まりがあるので 母しか面会に来れなかったのだ。
家に帰ると元お店だったドアの前にお花が置いてあった。
「店長さんが亡くなったことを知りました。お饅頭美味しかったと
伝えたくて来ました。お花を供えてもらえたら嬉しいです」と
メモが挟んであった。
お饅頭を買いに来てくれていたおじいちゃんからだった。
瑞希が有休をとって待っていた。華穂が家につくと瑞希が抱きついてきて
華穂も母も大笑いだった。嬉しくて目がウルウルしてきた華穂。
笑いながらサンルームに向かった。
母が水やりをしてくれていたのでベゴニアはみんな元気だった。
悠斗の写真の前で「ただいま悠斗。頑張ったよ。さみしかった?」と、
手を合わせる。
「瑞希ちゃんがいたからさみしくなかったよ」と 低~い声で瑞希が
言うので またまた母と華穂が爆笑した。
夕方になり城島が帰ってきた。
残業をせずに夕方早く帰ってくるのはめずらしい。
城島も華穂の事を心配しているのがわかる。
だが 城島1人ではなくて直之も一緒なので華穂も瑞希も
びっくりする。
「ご無沙汰していました。華穂さん入院していたんですね。先ほど
城島さんから聞いて、、、悠斗さんの事も・・・」
「久しぶりです。海外勤務から戻ってきたの?」と華穂
「はい、来週から又 出勤です」
直之が悠斗の写真に向かって無言のまま 手を合わせている。
動かない。泣いている 肩を震わせて・・・「悠斗さんすみません。
病気の事も 亡くなったことも知らなくて」涙が床に落ちている。
城島が「直之さん色々とあったようで」と城島がポツリと話す。
「会社から帰ってきたら 門の前で直之さんが立っていたんだ」
直之が話し始めた。
「海外赴任が決まった時 妻は当然一緒に来てくれると思った。
でも、1人で行ってと言われた。だから単身赴任しました。でも
海外に離婚届を送ってきたんです。
実は妻は再婚で二人の娘は前の旦那さんとの子供です。
仕方なくサインして離婚届を送り返しました。
自宅は別れた妻と娘に譲りました。
しばらくホテル住まいしてアパートを借りるつもりです」
城島が言った。
「もし、華穂さんさえ良かったら俺の部屋に直之さんも一緒に住んだら
駄目かな?1人では広すぎるし2人でも十分な広さがあるから」
「えっ」と直之がびっくりしている。
「そうね いい考えだわ 直之さんそうするといいわ」と華穂。
「そのうち ここは高齢者住宅になりそう。みんな家族ね。
1人寂しく老後を送らなくていいね。ここでみんなで支えあって
楽しく暮らせるといいね」と瑞希
みんなもうなずく。
「部屋は広くても やはり何か仕切りでもしたほうがいいのではない?」
と 華穂が言うと
「又 奥田に頼もう~」と城島
直之が「ありがとうございます。助かります」と嬉しそう。
「ホテルキャンセルして今日からここで寝ればいいんじゃない。
直之さんとの再会にみんなで乾杯しましょう。」との瑞希の声で
さくら と奥田にも連絡した。
奥田とさくらもかけつけ 華穂の体調を考えてジュースで
かんぱ~~~い (終)




