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PALETTE ~偏食だらけのインフォーマを添えて~  作者: koyou
第1章 二人の食愛者

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プロローグ

 不可視の化け物は確かにそこにいる。


 ――スポイラー、探知。推定、タイプ:機械種マキナ


 透明といえども、ガラス越しに見る景色のように()()は歪んでいた。すかさず弾を打ち込んでいく。


 黒、黒、黒、黒――――――


 弾痕から重苦しい黒がゆっくりと血管のように伸び、アレの輪郭を徐々に鮮明にしていく。

 それと同時に、壊れかけの機械音が突如として耳を打った。


 「ここだ」

 

 ハンターとして日が浅いながらも、早々に相棒として手に馴染んできた銃に意識を集中させる。

 溜めた力を弾丸に乗せ、撃つ――。 

 銃口から放たれた大きな黒球は、ホログラムの煌めきを纏って胸部を潰す。

 

 悲し気な不協和音を上げながら、小さな火花がちらちらと散っていく。叫びきった一瞬、音が停止し、ドシャッとコンクリートに倒れ伏した。


 僅かに乱れた呼吸を整えつつ、首を伸ばして様子をうかがう。

 全てを飲み込む黒々とした線は、最後に放った弾に付随されたホログラムの残光にかき消され、次第に薄くなっていく。その代わり、そっとチークを入れるように線画の体躯が、申し訳程度に染められていく。

 破損個所から覗かせる、それらしい鈍色の部品やコード。鋭利な鉛白の手足に、繋ぎ目からちらつく謎の露草に似た青の光。

 

 目視で動かないことを確認したのち、腕に身に付けた端末を向ける。


 ――対象、フォックス00・ダッシュ、浸食率E+。問題なし。周囲の安全及び負傷者の有無を確認してください。


 「ふぅー、終わったぁ」

 

 回収班に連絡を入れ、大きく伸びをしつつ緊張を解いた。

 直ぐに攻撃を仕掛けたお陰か、まだ色の吸収がそれほどではなかった。結果、存在が固定化されず碌に攻撃もしてこなかった。

 決して、退勤して直ぐの時間帯にようやく取れた予約必須の東国風食事処【春夏冬(あきない)】の限定パフェの為に速攻を仕掛けて終わらせた訳ではない。全ては市民の安全のためである。


 「よし、これですぐに帰って報告書を書けば残業なしで帰れるよね! 待ってて私のパフェ!」


 彼女、サキの足取りは小鹿のように軽やかだった。

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