第34話
レッスン明け翌日。私は最初の町北西、山中に居た。ここで遭難しかけてたワタリさんと出会ったんだよね……山賊みたいになってるとは思わなかった。
「スプラウトトレントも今じゃ蹴り殺せるしね」
細い幹をボキっと蹴り折れた。lvかなり上がったからね……魔法使わなくなったのは楽で良い。
(あとは普通のトレント、歩くキノコのウォークマッシュが居るんだったかな?)
ちなみに今回は素材集めが目的じゃない。今回の目的は最初の町周辺のボスたちを討伐し、覚醒玉を集めることだね。
集め終わったら今度はその先の町々のダンジョンとフィールドのボスから覚醒玉を集める感じだね。9つの覚醒玉を手に入れるミッションってところかな。
「新しい町に行くための準備……素材はそこまで重要じゃないらしいけど」
メイカ曰く、次の町は遠くてホイホイこっちに戻ってくることは難しい。あとβの時には行けなかった町だから長居するかも分からない……資料室でどんな場所かは調べてるみたいだけどね。
「とりあえず今日は3体で次の町に移動。明日から順繰り攻略だね」
ちなみに攻略については問題無いというか……レベルの暴力になりそう。始めた時に比べてスキルも装備も増し増しだからね。てことでボスまで現在直行中。ここのボスは山の上に居るから分かりやすい。
「ジュギギ!」
「ムシュ!」
山の中を駆け抜けていく道中、邪魔してくるモンスターを避けたり蹴飛ばす。そうして進んでいき、私は山頂に到着した。
「山頂だけど標高そんな高くない山だから達成感あんまり無いね」
多分、標高1000mも無さそう。横に広い感じの山だったし……さて、ボスは何処かな?特に隠れられそうな場所は無いけれど。
モコ……モコモコ……ボゴ!!
「マッシュゥゥ!」
私がキョロキョロとボスを探していると中央辺りの地面から大きいキノコが生えてきた。その見た目は茶色で肉厚な傘、中央には白い十字の切れ込み……って、これ。
「シイタケじゃん。しかも包丁で飾りの入った」
鍋に入ってるやつ。誰?ボスに飾り包丁入れた人。あと他の見た目の特徴はあんまり無いかな……短い足と軸部分に黒いつぶらな目があるくらいだし。あんまりボスっぽくない見た目、もうシイタケのマスコットキャラだよ。
「マッシュゥゥ!」
ボスシイタケは私にボスっぽくないと思われていることも知らずに短い足をテケテケと動かして向かってくる。見た目はあれだけど流石はボスというべきか、見た目よりは速い。
「だけど今の私だと遅いね。【ウォーターバレット】」
私はボスシイタケに向けて【ウォーターバレット】を撃ち込む。水の弾はテケテケ走っているボスシイタケに直撃……しかしボスシイタケはちょっと怯んだだけで変わらずテケテケと近づいてきた。
(あれ?効きが良くないな……もしや水に強い?)
キノコだから水に強いとか?湿気のあるところに生えてるイメージあるし。なら《氷雪魔法》で攻めいこう。私は【ヘイルバレット】を撃ち込む。
「マッシュゥ!?」
ボスシイタケの身体に鋭い氷が突き刺さる。そして刺さったところからボフン!と紫色の煙が発生した。あれは毒の胞子かな?
「近接だと厳しそう。ま、私は遠距離から撃つから別に問題無いね」
おらおらー、【ヘイルバレット】でサボテンみたいにしてあげる。私はボスシイタケへドカドカと【ヘイルバレット】を撃ち込み続けた。遠距離攻撃を持ってなかったボスシイタケは全身に氷の棘を生やしたまま一度も攻撃できずに倒れていった。
「マ、マッシュゥゥ……」
「ふっ、私は強くなり過ぎたようだね…………いや、弱い相手にイキってどうする」
自分にツッコミを入れつつ私はストレージを確認。よしよし、覚醒玉はしっかりあるね。なんか大量にあるシイタケは一旦見なかったことにしよう。醤油があれば焼くんだけどさ……
「よし、それじゃあ次のボスに行こうっと」
というわけで私は北東方向に向かっていった。1回町に帰るよりもそっちの方が早いからね……とは言え距離はあるからお腹は空く。
「もぐもぐ……サンドイッチは手軽に食べれて良いね」
減った満腹度は都度回復。デザートにはフルーツトレントの果物もある。そういえばさっきトレントを倒した時に琥珀出てこなかったね……ワタリさん5個もくれたけど、思ってたよりもレアアイテムだった?
「……今度何か渡した方が良いかな?」
そんなことを思いつつも無事岩山到着。こっちも標高はそこまで無いし、なんなら木とか生えてないからスルスル登れる。そして敵モンスターに関しては……
「ここの敵は無視。私と相性悪いからね」
ここのモンスターたち、岩を纏ってたり岩自体がモンスターだったりして防御力が高いんだよね。メイカの見立てじゃ今の私の蹴りでもカスダメしか入らないってさ。
(それを思うとここの敵たちの特性は助かるね……採掘しなければ襲って来ないって特性)
そうここの敵はこっちから攻撃をするか、採掘行為をしなければ襲って来ない。そのため最初の町周辺のフィールドでの難易度的には1番低いと言われている。
ちなみに採掘しないって人は基本的には居ない。理由としてはこの岩山に来る人は大体が採掘で手に入る鉱石が目的。お金を稼ぐにしてもモンスターの素材より鉱石の方が高く売れる。私みたいな採掘しないプレイヤーが珍しいというね。
そんな感じでボスの居るところまでは何の障害も無く到着。ここもさっきのボスシイタケみたいな感じのフィールドだね。違うのはゴツゴツした岩があちこちにあるぐらい?そして肝心のボスは。
「ギュイイイ!」
隠れず待ち構えて居たのはデカいアルマジロ。甲羅?の部分がゴツゴツした岩っぽくなっている……見るからに固そうな敵。
(あれには《氷雪魔法》は効かなさそうだね)
毒氷でも撃ち込みたかったけど。大人しく諦める……代わりに強酸をかけるだけ。
「ギュイイイ!」
岩アルマジロは身体を丸めるとゴロゴロと転がり始める。そして私に向かって突撃してきた。軌道は真っ直ぐ……よく見て引きつけギリギリでステップ回避。横を通り過ぎるところに【アシッドバレット】を撃ち込んだ。
バシャ!と強酸を浴びた岩アルマジロはそのままゴロゴロと転がっていき岩に激突。それなりに大きな岩が砕けるのと同時にアルマジロはひっくり返り足をバタつかせる。
(あ、岩に激突させるとひっくり返るのね)
柔らかそうなお腹が丸見え。ちゃんと攻撃チャンスはあるタイプだね……今なら毒氷を撃ち込めそうだけど。強酸で戦うって決めたから強酸で攻めていこう。
「あ、最近使ってなかったこれ使ってみよ。【アシッドマイン】」
私は動作で【アシッドバレット】を撃ち込みながら、私と岩アルマジロの間に【アシッドマイン】を設置。紫色の魔法陣が地面に出現する。
ひっくり返った岩アルマジロがなんとか起き上がり再び丸まって突撃してくる。そして魔法陣の上に来た瞬間、魔法陣からピンクの液体が大きく弾け飛んだ。
「ギュイイイ!?」
地面からの爆発に驚いた岩アルマジロの悲鳴。そして爆発の勢いで転がる軌道がズレて私から離れたところへと転がっていった。
「思ったより威力高……そういえば実戦でまともに使ったことなかったね」
【ウォーターバレット】と【ヘイルバレット】の使い勝手が良くてね。設置型は真っ直ぐ突っ込んで来てくれる相手じゃないと……MPそこそこ使っちゃうし。
「MP回復してと。とりあえず【アシッドマイン】は有効そうだし、回復しながら爆破していこう」
そんなわけで岩アルマジロも魔法でボコボコにしていく形となった。こいつも転がってくるだけだから回避しつつ強酸を浴びせる。強酸のスリップダメージで削り殺した。《恋の一撃》でダメージは加速していく。
「これで2体目。次で終わりだね」
次は丘陵地帯。なんか山とか岡とかばっかりだね……途中でおやつ休憩しつつ向かうとしよう。私は岩山をトットコと下山して丘陵地帯へと向けて移動を始めた。




