第29話
第2章開幕
「昨日は酷い目にあった。あの馬車本当にキツい……」
「《酔い耐性》買えば多少は軽くなるよ?あんまり使う機会の無い耐性だけど……高速で立体的な動きをする人が偶に持ってるスキルだから」
「あれに乗らないという選択肢は無いのね」
始まりの町、私はあのクマみたいな店主のお店でサンドイッチを食べながら愚痴を吐く。本当に昨日は大変だった……あの後気持ち悪過ぎてログアウトして寝たくらいだし。なんか行きよりも振動がキツかった。
ちなみに今は人待ち。例のダンスを教えてくれる人がもうすぐ来るんだよね。どんな人か楽しみ。
「てかあの振動の中、メイカはなんで裁縫できてたのさ」
そうこの生産狂い。あの地獄の振動の中で布に刺繍してたんだよ……それもかなり凝った刺繍を。酔いが酷くて目を開けた時にその光景を見た時の驚きといったら……ドン引きしたね。
「あー、あれは単純に慣れとスキルの影響だよ。いくつかはイベントの覚醒玉で強化したしね。そろそろ攻撃アイテムの開発をして弱いボスの覚醒玉集めもしなきゃいけないしね」
スキル。そういえばメイカの今のステータス知らないや。どうなってるのか聞いてみるとメイカは私に自分のステータスを見せてくれた。どれどれ……
◇◆◇◆◇◆◇◆
メイカ
メイカーlv42
・基礎ステータス
HP:134/134
MP:134/134
STR:104
VIT:94
INT:104
MID:94
AGI:104
CAM:94
・職業スキル
《万能生産》《素材鑑定》
《損耗軽減》
生産道具の消耗を20%軽減
《失敗の糧》
生産失敗時、次の生産の失敗率を30%減少
《生産の鬼》
生産行動時、行動系状態異常の耐性を得る
《悪魔の対価》
MPを消費することで失敗率を上げる代わりにアイテムの品質を向上させる
失敗率と品質は消費MPによって変わる
・自由スキル
《生産大強化》
生産を行うときの失敗率を30%減少
《アイテム大強化》
アイテムを使用する際、効果を30%上昇
《投弾》
物を投げる時の精度と飛距離を強化
また重い物を投げる時、投げるまで軽くする
《交渉強化》
NPCとの取引の時、交渉成功率を10%上昇
《効率代謝》《効率消化》《大食い》《毒耐性》
《麻痺耐性》《睡眠耐性》《悪臭耐性》《火耐性》
《爆発耐性》
◇◆◇◆◇◆◇◆
うん、何このステータス?私と同じくらいのlvなのもびっくりだけど……耐性スキル多くない?
「耐性は生産に失敗した時用だよ。このゲーム、生産に失敗すると爆発するから……状態異常になるアイテム作ってるときに爆発するとその状態異常になるから耐性無いと面倒なんだよ」
「あー、この《悪魔の対価》のカバー用ってことね……どのくらい強化してるの?」
「30%軽減を踏まえて《悪魔の対価》は品質強化60%くらいかな?3割なら妥協できるし、次の生産は《失敗の糧》で確実に成功するからね」
成程ね。そりゃこの耐性の数も納得。ちなみに戦闘面もちゃんと強化してるらしく、今後はバットじゃなくて毒薬とかの薬品を敵に投げつけていくスタイル。《アイテム大強化》や《投弾》がその補助なんだとか。
覚醒玉を使ったのも《生産大強化》《アイテム大強化》《投弾》の3つ。それぞれ前の名前は《生産強化》《アイテム強化》《投擲》。強化系は大強化って名前になるっぽいね。
「ちなみに戦闘スキル取ったけど、戦うのは覚醒玉集めるためのボス戦ぐらいにはなるよ。生産メインで行きたいから」
ちなみに投擲アイテムでの戦闘は非常に効率が悪いとのこと。アイテムの効果依存だからlvが高いから楽というわけではないんだとか。
「鉄球とかはステータスも乗るけど、あれ作るには溶鉱炉とか必要になるし。鉱石も無いからね」
「溶鉱炉はいつもの生産室には無いの?」
「無いね。溶鉱炉は鍛冶用の生産室じゃないと。でもあそこ大部屋で他のプレイヤーも居るからさ……」
「いつものように寝泊まりできないと」
そもそも生産室は寝泊まりする場所じゃないけどね?そんな私の視線を気にせずメイカは溜め息と共に砂糖マシマシのコーヒーを啜った。それ角砂糖6個以上入ってたよね?絶対そこの方ザラザラしてそう。
そんなことを思いつつ、最後のサンドイッチを飲み込んでいるとカラン♪カラン♪とお店のドアが開く音がした。このお店に来る人殆ど居ないから待ち人来たれりってやつかな。
「あ、来た。ドレミさんこっちです」
ドアの方が見えるメイカが腕を大きく振る。コツコツと足音がこっちに近づき、私も見える位置にくると初期装備のお姉さんが見えた。
(凄く仕事ができそうなお姉さんだね)
クールビューティーな感じ。そんなドレミさんはテーブルの横に立つとメイカに視線を向けた。
「久しぶりねメイカちゃん。お祖母様はお元気?」
「元気ですよ。今も多分弟子に活を入れてるか。体型の管理ができなかったクライアントに文句言ってると思います」
「相変わらずね。流石生涯現役を豪語するお方ね」
なんか遠い目をしているんですが。メイカのお祖母ちゃんそんなに厳しい人だったっけ?確かに職人気質な人ではあったけど。
「それで?私の生徒はそちらの角っ子かな?」
「角っ子……はい、モモカって言います。よろしくお願いします」
私は立ち上がって頭を下げた。ドレミさんはふんふん……と私のことをジッと見てくる。なんか怖い。
「その衣装……メイカちゃんの作品?腕を上げたわね。お祖母様も鼻が高いんじゃない?」
「いえ、まだまだです。お祖母様にこれを見せたら10は改善点出てきますよ……」
「あら?昔は30個近く言われてたんだから上達してるじゃない」
なんかレベルが高い話してる。私は会話について行けず某宇宙な猫になっていた。そのあと世間話が一段落した後は私の動きを見たいということで外の草原へと向かい。久しぶりにホーンラビットと戦った。
「ふむふむ。基礎的な動きはできているね。まぁ、動きが変なところやスムーズじゃないところがだいぶ多いけれど」
私の動きを見たドレミさんの採点はこんな感じだった。出来としては3割程……個人的には6割はできてると思ってたからちょっとショック。
「まぁ、ダンスを今まで本格的にやってない。プラス練習時間を考えれば良い方よ。むしろ研ぎがいがあるわ」
「と、研ぎ?」
普通そこは磨くとかでは?変わった例え方だね……
「メイカちゃん。確か教える期間は1週間だったわよね?」
「モモカと相談して集中的教えて貰うのはそうですね。それ以降はモモカの判断に任せます……どの程度動けるようになるかで変わって来そうですし」
そう。今回の指導期間は1週間。素材集め等もしばらくは控えめにしてガッツリと教えて貰う予定。プロの集中レッスンを受けれる絶好の機会!しっかり身につけないと。
「OK。分かったわ……それじゃあ早速始めていくわね。私の指導は厳しいから覚悟してね」
「はい!」
こうして私の一週間集中レッスンがスタートした。




